ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

オジカ沢の頭:予定変更

2018年04月02日 22時21分57秒 | Weblog
2月の後半に八ヶ岳方面に登りに行く予定であった。
「いよいよ来週かぁ・・・」などと期待に胸膨らませていた矢先のことだった。
「なんか喉が・・・」
「熱っぽいかな・・・」

そう思っていた日の夕方頃だった。
一応熱を測ってみたのだが体温計の数値を見た瞬間、あれだけ熱っぽかった体が凍りついた。
38.6℃

「これって・・・冗談じゃないよ・・・」
トホホの数値にがっくりとなってしまった。
間違いなくインフルエンザだろう。
まぁ時期的にこれは仕方のないことかも知れないが、トホホな問題は来週に控えている八ヶ岳だ。
一般的に5日間ほどの休養として、その直後の八ヶ岳登山はあまりにも厳し過ぎる。
「どう考えても無理かなぁ・・・。やっぱり無理か。」
病院へ行き早速検査を受けた。
「A型ですね」
重い一言だった。

同行するAM君に連絡を取り、急遽取りやめとした。
しかしこのままではもともと取ってあった休暇がもったいないと思い、AM君と相談。
「軽く近間で一泊程度なら」と、年末に登った谷川岳に予定を変更した。
谷川岳とは言っても「トマ・オキ」だけではなく、前回行けなかった「オジカ沢の頭」まで足を伸ばそうと計画した。


車中泊をし、一番のゴンドラリフトに乗りスキー場をスタートした。
天候は問題なしのどピーカン!
だが、どことなくまだ体が重い。
寝ている間の三日間は食欲が無く、野菜ジュースとアセロラドリンクばかり飲んでいた。
ザックの重量は約15キロほどに抑えてはあるが、その僅か15キロがいつもと違った重さに感じてならない。
不安が走る・・・。
「肩の小屋までなら3~4時間あればなんとか登れるだろう。」
そんな浅はかな経験値から来る判断だったが、体は正直だった。
「きつい・・・重い・・・つらい・・・」
慣れているはずの雪山登攀なのに、足が思うように上がってくれない。
ストックを用いて腕の力も併用しているのだが、それでもいつもとは違う体の感覚を感じていた。

1時間ほど進むと熊穴澤小屋のポイントまで来た。
さすがにこの時期ともなれば一年で最も雪深く、小屋そのものがすっぽりと雪の中に埋まってしまっていた。

見えているのは煙突の上部だけ。
これは正確には煙突ではなく、このように完全に雪に埋没してしまった場合の最低限の空気を取り入れるためのパイプの様なものだ。
そして登山者の為への目印ともなっている。


小休止を取り再び登攀開始。
天気は最高だが、まだ体が出来上がってこない。
いつもであれば1時間も登っていれば十分に体がこなれてきて「よっしゃ!」ってな具合になるのだが、やはりインフルの影響が残っているのだろう。
「まだ乗り切れていないなぁ・・・」
そんな独り言が何度も出てきた。

途中「天狗のたまり場」などのポイントで休憩を取りながら登り続けた。
次第に調子が出てきたようで、スムーズな足運びとなってくれた。
「これなら(オジカ沢の頭)まで行けるな」


宿泊予定の肩の小屋が見えてきた。
正直ホッとした気分だった。
小屋まで休憩を入れて丁度3時間の登攀だった。
幸い足がつることもなく、クエン酸を摂取した甲斐があった。


自分たちの真後ろに一直線に伸びている稜線の先にオジカ沢の頭が見えている。
雪は固そうだった。
初めてのルートだけに慎重に進まなければならない。

小屋の利用者は他には誰もなく、自分たちだけのようだ。
だが、大型のザックだけがポツリと置いてあり、誰かが利用した、或いは利用している形跡があった。

「先ずは飯。終わったらアタックザックに必要な物だけを詰め替えて出発しよう。」
軽く昼食を済ませ、必要最低限の物だけをアタックザックに詰めた。
小屋スタートが丁度13時。
どれほど遅くとも16時頃までには戻ってきたい。