ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

やっと雪の世界へ:雲龍渓谷

2016年02月28日 12時03分59秒 | Weblog
職場へ向かう車の中、フロントガラスからは日光方面の山々がはっきりと目視でき、毎年雪を纏った男体山を見ることが楽しみであった。

一月の後半になり、栃木県でもやっと降雪らしい降雪があった。
「ギリギリ雲龍渓谷に間に合ったかな・・・」
そんな思いで1月25日、今年も雲龍渓谷へと向かった。

今年のメンバーは職場の若い女性。
雪山の経験はあまりないが、雲龍渓谷であれば大きな問題は無いだろう。
強いて言えば「滝壺」まで行くかどうかだった。
氷柱までであれば大丈夫だが、そこから滝壺までの約15分はそれなりの斜度を登り、崖に沿ったごく狭いルートをトラバースしなければならない。
そこまで行くかどうかは現地に行ってみて、彼女の気持ちも含めて決めることにした。
本音はアンザイレンをして無理矢理に連れて行くつもりだったのだが(笑)

平日と言うこともあり、車は最深部まで行くことができた。
これなら3時間程で着くことができる。
実は、車で雲龍渓谷に行くには正規の駐車場が無く、神社の敷地とか路肩駐車をする以外になかった。
車で行ける最深部には5~6台は駐車できるスペースがあるのだが、休日ともなればすぐに満車状態となってしまう。
今日は平日、ラッキーだった。

スタートして約一時間はなだらかな斜度のつづら折りの道を登らなければならない。
初めての人はこれで飽きてしまうこともあるのだが、彼女は大丈夫だった。
最初の休憩ポイントで一服したが、ここからは渓谷の様子が僅かながら見えてくる。
徐々に期待感も膨らんでくるというものだ。


更に30分程歩くと、「洞門岩」という分岐点へと着く。
ここから、今まで歩いてきたルートをそのまま行くか、それとも渓谷へと降りて行くかに別れる。
当然ここは渓谷ルートを選択。
起伏の変化もあり、つららも見え始めてくる渓谷ルートの方が遙かに面白いのだ。

アイゼンを装着しいざ渓谷ルートへ出発。
思っていた以上の積雪に嬉しさがこみ上げてきた。
しかし、氷柱はあまり期待できないだろう。
それでなくても今季は暖冬。
途中にある「友知らず」の氷壁も出来具合が気になるところだ。


先ずは渡渉。
多くの先行者がいたことの証に、スタンスポイントに石が置かれていた。
アイゼンの爪はかえって滑りやすくなってしまうが、ゆっくりと確実な一歩であれば問題はない(はず)。

しばらく歩くと今度はちょっとした上りと下りになる。
ここの上りの取り付き口は毎年僅かに違ってくるのだが、確実に行くのであれば素直にトレースに沿って上る方が間違いはない。

下るポイントにはフィックスロープが設置されているのは分かっていたが、これがよく工事現場にある「トラロープ」であって、ナイロン製のためかとてつもなく滑りやすい。
あくまでも補助的な物として活用すべきだ。

彼女はいたって笑顔でここを下ってきた。
「私、本当に不安なんですぅ。雪山なんて経験ないしぃ♪」
昔風に言うなら「ぶりっこ」ってやつだろうか(笑)

まったくどこが不安なんだか・・・。

二度目の渡渉の次は再びの上りとなる。
この上りは先ほどよりもちょっとだけ距離が長い。

いやどうしてどうして、堂々たる雪女っぷりの彼女だ。
アイゼンワークもしっかりとしている。

実は、この二ヵ所の上り下りにおいて、じっくりと彼女を観察させてもらった。
観察と言っても何もいやらしい意味での観察ではなく、基本的なアイゼンワークと表情や言葉などを含めたメンタル的な部分だ。
この二ヵ所の上り下りを見て、滝壺に行くかどうかを決めようと考えていたのだ。
「これなら大丈夫かな。」
この時点で滝壺まで行くことを決定した。