ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

三度(みたび)赤岳へ 「文三郎尾根」 

2014年04月13日 22時30分02秒 | Weblog
明日のピーカンを信じつつ、20時過ぎに就寝した。
夜中に2度程目が覚めたが、5時前にはスッキリと起床。
すぐに窓辺に行き天候を確認。
「おぉ~期待通りだぜぃ!」
一刻も早くスタートしたい思いはあったのだが、やはり朝食は大切。
カロリーだけは十分に摂取しておかねばならない。

この小屋を7時に出て行者小屋まで行き、そこから文三郎尾根を経由して頂へ。
地蔵尾根から下山し行者小屋には12時頃までには戻ってくる予定だ。
小屋のスタッフにお礼を言い、アイゼンを装着。
日の差さない樹林帯の雪道を登り始めた。
途中左手を見上げれば、「大同心・小同心・横岳」の岩稜地帯の上部から徐々に日が差し始めてきていた。


行者小屋には2名の登山者がおり、これから自分と同じルートで登攀するらしい。
そう言えば、同宿者の若い男性も単独で文三郎コースを登ると言っていた。
自分よりも1時間程早く小屋を出発していたから、今頃は尾根道の樹林帯を越えたあたりだろうか。

7時55分に行者小屋をスタート。
前回とは逆コースとなるが、気になるのは雪の状態だ。
残雪期の雪の状態とか量なんてものは、はっきり言って行ってみなければわからない部分が多い。
たとえ一週間の間まったく降雪が無かったとしても、わずか7日間の間に状況は一変してしまうことだってあり得る。
本当につかみどころがないと言っても過言ではない。
それが残雪期なのだ。

樹林帯は相変わらずの雪の多さだった。
幸いトレースがきっちりと残されており、踏み固まった状態だった。
そして前回わずかに見えていたメッシュの金属階段は完全に雪に埋もれており、アイゼンの爪を引っかけてこけてしまう心配は無かった。

それにしても今日は暑い。
それを予測してのレイヤリングだったが、汗がしたたり落ちてくる。
ほぼ真正面からは太陽が照りつけている。
「だぁ~あつぅ~。でも気持ちいい~。りょうちん分かるか?ピーカンだよピーカン。たまんないね!」
思わず超の付く程の雨男を思い出し、一人で笑ってしまった。


雪はほどよくしまっているのだが、近くに来てみて改めて積雪の多さに驚いた。
この先は雪のため斜度が増していることは明らかでも、この好天がその不安を僅かに払拭してくれていた・・・のだが。

ここで小休止。
水が美味い! 煙草もこの上なく美味い
早くも下山してくる人がいたのでシャッターをお願いした。
「この先の最後の登攀が厳しいですね。なんともいやらしい状況でしたよ。」
う~ん、静かながらも真綿で首を絞めるような不安を煽る言葉を頂いてしまった。


とりあえずこの先の分岐点まで登ろう。
見上げたルートには当然一面の雪。
このポイントは、1月末に下った時の状況をよく覚えている。
雪らしい雪は殆どなく、むしろ岩肌が多く露出していたところだ。


標高が2700mを越えたあたりから急に風を感じ始めた。
そして時折突風となって襲ってくる。
実はこの突然の突風により、この後「おいおい、冗談じゃないよ!」と言う程のトホホなアクシデントが起きてしまった。(あぁ情け無ぁい)


遙か先には南アルプスが見えた。
もうそれだけでも心は躍った。
ここから見る眺望はもちろん初めてでも、山頂からの眺望はやはり冬がいい。
引き締まる寒さの中だからこそ、夏とは全く違った感動を与えてくれる。

さぁて、もうすぐ核心部(危険地帯)だ。
慎重なアイゼンワーク、ピッケル操作術が試されるだろう。