ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

25年目のもう一つの山(本編):少しだけ淋しい下山

2012年11月07日 22時44分11秒 | Weblog

PEAKでは、必ずではないが標高がしるされている標識版と自分の高度計とのツーショット写真を撮っている。
とは言っても、高度計は常に正確な数値を出しているわけではなく、ほんのちょっとした気圧の変化で数値は変わってしまう気まぐれ者。
あくまでも目安となる程度のものだ。
それ故、意図的に数値を標高に合わせて撮ったもの(笑)。
これも記念写真のひとつなのだ。


西側を見下ろせば「小槍」が見える。
アルプス一万尺の歌でお馴染みの「小槍」だが、実際にアルペン踊りを踊ることはおそらく無理だろうなぁ(笑)。

下山をする前にどうしても言っておかなければならない「思い」があった。
2年前の暮れに逝ってしまった友への思い。
言葉としてではなく、思いとして空へ向かって伝えた。

学生時代の4年間を同じ屋根の下で暮らした。
吹けば飛ぶような木造の男子寮だったが、そこで夢を語りあい、酒酌み交わし喜怒哀楽を共にした。
できることならば槍のてっぺんで、あいつに少しでも近いところで寮歌を歌いたかったのだが、羞恥心に負けてしまった。


腹ペコ山男さんは槍のテント場で一泊し、自分はここから「槍沢ロッヂ」まで下山する。
この時はHPの管理人さんとはつゆ知らず、大変失礼なことをしてしまったと思う。

腹ペコ山男さんと別れ、東鎌尾根ルートで下山を開始。
時刻はそろそろ12時を過ぎる。
どこかで昼食タイムをとりたいのだが、どうせなら槍が見える場所にしたい。
とは言え、細いルート上で荷物を広げることなどできるわけもなく、ちょっと危険ではあったが稜線上に上がり、そこでお湯を沸かして昼食とした。


将に「線」の上での昼飯だ(笑)。
南岳小屋で作っていただいた弁当はとっくに冷めてしまっていたが、熱いスープと一緒でありこの上なく美味かった。
「あ~ラーメンが食べたい」
槍ヶ岳山荘で食べることもできたし、非常食用のカップ麺を食べても良かったのだが、やはり完全下山した後の松本まで我慢我慢!

槍沢ロッヂまではひたすら標高を下げるだけ。
今回の山行における登攀はもう無い。
何となく淋しくもあるが、疲れた足腰には少しだけありがたかった。


たぶん「とりかぶと」だと思うのだが、高山植物を含めた花に目を留めるようになったのも、「危険」からの開放感があってのこと。
高山植物はこれまでも視界には入っていたが、花より団子ならぬ「花より岩壁」だった。


あまり時間を気にする必要もなくなり、雪渓の上で大の字に寝てみた。
標高が下がったこともあり、体中が火照っている感じだったし、とてつもなく贅沢な天然のクールダウンとなってくれた。

「ババ平」のテント場を過ぎればロッヂまでもうすぐだ。
そしてそのロッヂでも不思議な出会いが待っていた。