ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

私を山に連れてって♪ 「emergency gear」

2012年05月27日 22時03分15秒 | Weblog

3月末の筑波山とはいえ、それなりに気温が低くなるだろうということは予測できた。
が、今日に限って言えばかなり汗ばむほどの気温に襲われた。

オーバーかな・・・とも思ったが、念のためアルパインジャケットを着用してきた自分が恥ずかしい(笑)。
登攀中はハーフスリーブシャツでも十分な程だ。

今日はいつもと違うミドルレイヤーでのいでたちだ。
以前からどうしても欲しかった「ホグロフス」というメーカーの「インテンスシリーズ」のシャツを着てみた。
このホグロフス。
スウェーデンのアウトドアメーカーで、日本でもかなり知名度と人気は高い。
もちろんそれだけではなく、クライミング業界でも信頼性のある屈指のメーカーだ。
自分にとって何が気に入っているかと言えば、一言で言えば「見た目のシンプルさ」であろうか。
ギヤもクロージングも派手な柄物は殆ど無く、いたってシンプルさを表面に出している。
チャラチャラした連中には似合わない・・・と言うより、彼等(彼女等)にしてみれば物足りなさを感じるだろう。

2月に東京にある日本で唯一のホグロフス専門店まで行き、やっと購入してきた今日のシャツ。
着心地は当然GOOD♪
吸汗速乾性、伸縮性、通気性、保温性共に言うことなしだ。
(でも一番のお気に入りは、やはりmont・bellかな)


初めて筑波山に登るりょうちんにしてみれば、いろんな感動があったようだ。
いよいよ「奇岩」達がお出迎えだ。
「へぇ~」「うぉ~」という歓声が聞こえてくる。


「ここまでくればPEAKはもうすぐだよ」
娘も少し安心したようだ。
なにせここまでかなり飛ばしてきただけに、ややバテ気味。
「だから言っただろう」とは言わなかったが、自分のペースなど分かるはずもなく、致し方のないところだろうか。

PEAKはもう見えている。
「はやく飯にありつきたい」が本音だ。


だが、PEAKの直前の登りでちょっとしたアクシデントと遭遇した。
とは言っても自分たちではない。

突然「どなたかガムテープを持っている人はいませんか?」
登ってきている人達に向かって、何度も繰り返し聞いている人がいた。
先頭を登っている自分にも尋ねてきた。
「どうしましたか?」
「実は靴底が剥がれてしまったんですよ。」
「ガムテープは持ってきてませんが、ちょっと見てみましょう。何とかなるかも知れないです。」

本当にPEAK直前であり、みんなで一緒に感動を味わうことは後回しとなったが、ここで見て見ぬふりをしたらクライマーの名が廃る(ちょっと大袈裟)。

家族で来ていたグループのようだった。
どうやら父親のスニーカーのソールが剥がれてしまったようだ。
みごとに前半分だけがパックリと口を開けていた。
「ああ、これなら何とかなりますよ。」
そう言ってザックからエマージェンシーギアを取り出した。
まずは土やドロを落とし、幅広のテーピングテープを何周か巻いた。
次に「細引きロープ」を用いて縛る。
仕上げはもう一度テーピングテープをぐるぐる巻き。

「あくまでも応急処置ですから、無理はしない方がいいと思います。できれば下山はロープウェイかケーブルカーを利用した方がいいですね。」
そういって、余ったテーピングテープを渡した。
「剥がれそうになったらこれで巻き直してください」

何度も御礼を言われたが、とても気分が良かった。
「いいことをした」とか「人助けをした」とかではない。
自分自身のことなどではなく、ギアが役に立ったことがことのほか嬉しかったのだ。
「万が一の時のために・・・」そう思い常備してきたが、使用することは無かった。
エマージェンシーギアが無駄に終わること。
それは最高の結果であるのだが、実際に役立ったことが嬉しかった。

「備えあれば憂いなし」
「転ばぬ先の杖」
それは山であれば尚のこと言えることだと改めて感じた出来事だった。