海外に行くと意外とストレス感じるのが、トイレ。
自分でバケツに水を汲んで流すとか、
紙を使っちゃいけないとか、
国によって事情はさまざま。
生理現象にかかわるこのテの“思うようにできないこと”って、
長期滞在では結構こたえるもの。
昔々、ロシアにバレエ留学をした友人がいた。
最大の、どうしても慣れなかったカルチャーショックはトイレ、
と帰国してから嘆いていた。「仕切りが何んにも無いねんもん!」
チュチュやレオタード姿のバレエダンサーたちが、
便器がダーッと並んだだけのトイレで平気な顔して用を足すのだとか。
なんだか変な想像力を掻きたてられる光景だ~・・・
さすがに21世紀のロシアでそれはなかろうと思いながらも、
若干の不安を抱えつつ、さて、初めての“ホテル滞在”。
モスクワのホテルのトイレ事情はどうだったかというと。
やっぱり、ノー・ストレスではなかったんだな、これが。
つい最近まで“アゼルバイジャン大使館”だったというこのホテル。
建物は古いけれども、部屋はこざっぱりと清潔にしつらえてあって、
ちゃんとバスタブがあって、蛇口からお湯も出るバスルーム。
タンクのてっぺんの丸い金属のボタンを押して水を流す、
一見ふつうの、ところがどっこい、これがクセモノだったトイレ。
用を足して、ボタンを押す。「スコン…」
あれ? ボタン全然きかないぞ?
何度か押してみる。 力加減を変えてみたり、指を変えてみたり。「スコン…、スコン…」
やがて試行錯誤の末、コツをつかんだルームメイトの先輩名取。「ボタンごと“1時の方向”に少ぉ~しだけずらしてプッシュするみたい!」
この“1時の方向”がまた、ビミョ~なことこのうえない。
ボタンを押下できる引っ掛かりが感じられる部分の狭いこと、狭いこと。
無事に水が流れるまで延々繰り返す「スコン…」は、
夜中なんぞ、ものすごく虚しく響いて、ちょっとイラッと来たりして。
結局、ただの一度もできなかった「スコン…」なしの一発水洗。
日本の暮らしってありがたいほどベンリ!、って思い知った。
そんなこんなのロシアでの日々。
あれからちょうどひと月という時間が経って、
ぼちぼち細かな記憶の断片も薄らいできたところで、
『ヒイラギ日記 in Moscow 2008』は幕といたしましょう。
До свидания!(ダ・スヴィダーニヤ)
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