ヒイラギ日記 ~Holy Holly's Diary~

小粒でも ぴりりと辛い 博士な日々。

くらしのかがく(2)――退化の科学技術?

2006-08-21 21:49:57 | くらしのかがく
甥っ子がまだヨチヨチ歩きのころ、大人たちが出かけようとする空気を察知して、自分も連れて行ってもらわなきゃと必死で靴下を履こうとするのですが、なかなかうまく足が入らないことがありました。靴下が履けてないと置いていかれると思っているらしく、「カタイ~。カタイ~。」ともがいているのですが、大人が手を貸そうとすると、半泣きになって「ジブンでジブンでー!!」と抵抗したものです。その姿を見て、“自分で”というのは人間の本能なのだなぁと気づきました。

そんな動物的本能さえ忘れさせてしまう科学技術は、本当に「進歩」と言えるでしょうか?人類を退化させてしまう科学技術なんて「進歩」ではないのでは?そんな疑問をいつも持ちながら、私は新しい技術のニュースを見聞きし、原稿を書いています。

たとえば、エスカレーター。
私たちは階段しかない建物のほうが多いころに育ちました。階段が動いて運んでくれる便利さへの感動も、電気が停まればただの金属の階段だという事実も、両方わかっていて、使い分けることを知っています。ひぃふぅ言いながらも階段を上り下りすることで、足腰は鍛えられ、スマートに上り下りできる所作が身に付いています。

少しあとの世代は、階段が動くのが当たり前の環境で育ちました。すると、階段を上手に上り下りする身体能力、特に脚の力を要する下りる動作が、うまくできない若者が出てきました。後ろ体重で、膝を不恰好に前に突き出して、一段一段、落っこち続けるような、妙~な所作が街のそこここで見かけられます。

さらにあとの世代はもっと身体能力が衰えて、なじみのエスカレーターにすら、いったん立ち止まって足元をじっと見つめながらじゃないと乗り降りできない若者まで出始めました。まるで老人のような所作です。「1億総老人化なんてフレーズが浮かびます。空恐ろしいではありませんか。

金属の階段が動いて回転してくれる。そんな画期的な発明だったはずのエスカレーターも、もしかして人類の退化を惹き起こす科学技術だったのか・・・。年取ったヒヒのような姿勢で階段を下りていく若い女の子の背中を眺めながら、ブラックSF的な空想が頭を駆け巡るのでした。
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