とても広いクアハウスのようなところの脱衣所。
シャワーと洗面台が並ぶ一角で、
いきなり背中からリュックのようなものを背負わされ、
振り向くと見知らぬハデ顔の女が自由になった両手で赤ん坊の世話を始めた。
背負わされた他人の荷物を相手に叩きつけ、
何のつもりか知らないが無礼にもほどがある!と怒りに震えながら抗議したら、
「ふふん、“無礼”だなんて、どれだけプライド高いんだ」と嘲笑われた。
理不尽だ、納得できない、と憤慨しながら場所を移ると、
いつも陽気な友人が、見たことのない生き物を連れてきた。
象牙のように全身が白い、大きな亀。
勧められるままに背中の甲羅にまたがると、
すうっと動き出して空中を自由自在に飛び回る。
水の中を泳いでいるような、とらわれるもの何もない感覚。
不思議なことに、心の中で思ったほうへ、
言葉にしなくてもすいすいと向かってくれる。
なんて気持ちがいいんだろう。
元の場所に戻ってきたところで甲羅から降りて、
ありがとう、ありがとうね、とお礼に何度も首のあたりをなでると、
微笑んだような顔をして、またすうっと去っていった。
なんだかとても、吉兆の夢だったのかなという気がする。