自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサク,そして昆虫(1)

2016-01-13 | マンサク

1月2日(土)。ネットを見ると,今日は「3月並みの暖かさ」「沖縄で25度以上の夏日です。2日は各地で朝から気温が上がり、お正月とは思えないくらい暖かくなっています」と報じられていました。

我が家の前栽に植えているマンサクがちょこっと花弁を覗かせています。正月に枯れ葉が付いたままこうですから,相当に暖かいという印かと思います。このマンサクもまたロウバイと同様,冬,わたしの好奇心を引き付ける花です。この調子だと,早々と昆虫の訪れを確認できるでしょう。

 

 


1月3日(日)。ここで初めて見た生きものがクモ。体長は5mm程度。網を張って獲物を待っていました。 

 

 
ほんの数分後に見ると,獲物が見事(!)に引っかかり,糸でがんじがらめにされているところでした。

 
クモが離れた隙に確認すると,被害に遭ったのは虫はどうやらアブラムシのようです。よもやこんなところに仕掛けがあるとは思いもしなかったことでしょう。

 
よほど注視していかない限り目に触れることのない世界の出来事です。食物連鎖の網が容赦なくかぶさっています。小さないのちにも小さな魂が宿り,小さな魂をわずかなエネルギー源が支え続けます。いのちのバトンタッチでもあります。 

 


粉雪を接写

2016-01-13 | 日記

1月13日(水)。今日は冷え込みました。もちろん最低気温は氷点下ですが,最高気温は7℃台。朝起きて外を見ると,細かな細かな粉雪が降っていて,ほんの薄っすらと積もっていました。「ほほーっ。これは見て置く値打ちがあるなあ」と思い,さっそく接写で撮影。

場所は草花の間。そこにクモの糸が張られていて,その糸に結晶が引っかかっていました。見ると,いわゆる雪の結晶らしい6角形の板状結晶でなく,氷がごつごつっと固まったような団子状の結晶でした。


おもしろいので,さらに接近。やっぱり柱状結晶が団子になっているのです。


柱状の一つひとつが具体的に見えればおもしろいのですが,そこまでは無理です。


どのようにこの結晶が成長してここまで降ってきたのか,気になるところです。これ以上はわたしには解決できません。

先に,細かな粉雪,団子と書きました。大きさを記録するために,定規(一目盛りは1mm)を置いて撮ったのが下写真です。しかし,結晶は解け始めています。


ミクロの目で観察すると,意外な世界が見えてきます。

 


ハクサイと蛹

2016-01-12 | 生物

野菜を作っていると,農薬を撒くのは健康を面を考えて極力避けたいと思ってしまいます。すこしの農薬ぐらい大したことはないという見方もありますが,わたしはまず使わないことに決めています。その代わり,防虫ネットをかけます。こうすると,昆虫が葉に卵を散布するのを大抵防ぐことができます。

 
ネットで覆ったハクサイを収穫しているとき,たまたま目に付いたのが蛹。体長25mm。赤味のかかった黒色をしています。

 
正体はなにか,気になります。なにしろ初めて見かけた個体なので,突きとめたいと思っています。予想なのですが,ネットで覆っているのでもともと地中にいて,そこから出て来た幼虫がハクサイの葉を食べ,育ったものではないでしょうか。ということは,ヨトウガのなかまの可能性が大です。

 
周辺を観察すると,脱ぎ捨てた幼虫の殻がくっ付いてありました。


くわしく見ると,頭部の殻らしきものと脚が残されています。 やはり,幼虫のときはこのハクサイを食べていたのでしょう。

 

 
ガが誕生すると予想して,春まで待つことにします。結果報告はいずれ。 

 


わくわく,クズ粉採り

2016-01-11 | 随想

本日付け記事の第2話です。


このほど探検活動でクズ粉採りをしました。作業場は近くにある交流施設の調理室。集まったのは子ども8人,おとな2人,計10人。わたしも入れて,みんなはわくわく。それに新年早々うれしいことに,新しいメンバーが2人加わりました。現メンバーの楽しそうな誘い話に,すっかり引き込まれたそうです。「そんなに楽しいのなら,絶対に体験したいと思いました」なんて,いっていましたから。

はじめに,安全上の注意と使用上の心得について話してから,作業開始。

デンプン採りをしたことがあるメンバーはなし。それで,準備していたジャガイモを使って,皮むき,おろし金を使ってすりおろし,ガーゼで包んで揉み洗い,新聞紙の上で乾燥,そんな実演をしておきました。これが基本形になって,以後の作業が段取りよく進んでいきました。

クズの根はさすがに硬いので,それを切るのはお母さんお二人にお任せしました。切る長さは20cm程度。


それを子どもたちが洗って,おろし金でおろしていきました。子どもたちは,隊長Kさんの指示で4班に分かれました。こういうときに班内がさっさとバランスよく構成され,事がうまく進むというのは,子らの活動意欲,群れる力なんかが大いに関係しています。


すりおろし作業に,子らはたいそう手こずりました。根の繊維のすごいこと! なかなか手馴れないという感じなのです。クズの野性味が如何なく現れ出て,「なにくそー!」と踏ん張っているかのようです。


それでも1時間も経つと,すりおろした繊維がソフトボール程度の団子大になりました。ほんとうはもっとたくさんできると予想していたのですが,おろし金の具合にもよったため,これだけ。


次にそれを3等分してガーゼで包み,水に漬けて揉み洗いをしました。揉んで,絞って,揉んで,絞って,……。この繰り返しです。


こうしてできた濃い茶色の絞り液を4つの班から集めました。茶色液にはアクやデンプン以外の不純物が入っています。それをしばらくじっとしておくと,デンプンが底に沈殿していきます。


待っている間に,はじめに作ったジャガイモデンプンを熱湯で溶かして試食。味付けはまったくなし。それでも,「結構いけるね」「ちょっとジャガイモみたいな味がするかな」「おしまいは,確かにジャガイモの味だね」という会話で盛り上がりました。


クズデンプンの入った容器を傾けると,上澄み液の下にわずかながらデンプンが! みんな納得。もちろん,白い!

しかしながら,いずれ試食するにせよ,量が少なすぎる! というわけで,残りの根をおとなが責任を持って処理することにしました。方法は電気器具に頼るということに。「ミルを使ってはどうか」という提案があったからです。おろし金ではたいへんだということが,みんなに理解できました。そんなにして採り出す程なので,市販されているクズ粉ははやり価格が高い!  もちろん価値も!

調理室使用の心得どおり,子どもたちは,わたしがなにもいわないのに「箒はどこかな」「きれいにしなくちゃね」といいながら汗を流していました。「調理室に感謝!」の気持ちですね,きっと。

締めくくりは,ちょこっと反省と次回の相談。反省は五七五調でまとめます。「クズの根が りっぱに変身 新発見」「クズの根は かたくてがんじょう すれないな」「すりおろし 大根とちがって かたかった」……。「だれが,いつ,こんなデンプンを見つけたのかな」なんて質問も飛び出しました。Tさんいわく,「自然の草はさすがに大したものやなあ」。わたしはわたしで,この日の活動はお母さんお二人の力に感謝!

わたしたちが行っている探検活動の内容は,学校では学べない,学校では教えない『知』『方法』で構成されています。それらは生きる上で必ずしも必須の事柄ではありませんが,生きる力を底支えする知恵になるでしょう。 

 


クビキリギス,超接写

2016-01-11 | 昆虫

クビキリギスは成虫で越冬します。といっても,低温下ではからだが休眠状態です。日が当たって暖かくなると,冬でも動くことがあります。いのちと温度の関係はおもしろいものです。

そんなクビキリギスの生のかたちを撮る機会は,そうあるものではありません。今回貴重な機会を得たわけで,このかたちを接写によって記録しておこうと思いました。


ぐっと近寄って頭部を見ました。ずいぶんツヤを感じさせる体表です。外骨格によってからだを保護しているのです。先端のくびれが際立った特徴です。 


角のようにとがった先,くびれに,どんな意味があるのか聞いてみたくなります。複眼を見ると,赤紫の帯があります。これもなんらかの働きがあるのでしょう。 


真横から見ました。色の妙,かたちのふしぎ,外骨格のスゴサ,そんなことを感じさせてくれる一コマです。 


横向きに寝転んでもらいました。口の辺りが見え始めました。 

 
真横から見ると,バッタ類の口元がはっきりしてきます。ここが赤味を帯びている意味はなんでしょうか。

 
複眼を超接写しました。個眼がぎっしり。ずいぶん透明感のある眼です。


翅の表面を見ました。翅脈が見事です。自然の造形美に勝るものはありません。 

 
接写の世界は自然の“ふしぎ” “巧み”を届けてくれます。わたしに付き合ってくれたクビキリギスに感謝。 

 


ツチイナゴが育つ風景 ~虫の目レンズ~

2016-01-10 | 昆虫

ジャンプ力を誇るバッタ類。このツチイナゴの跳躍も大したもの。手で持っていると,体全体が弾けるっていう感じなのです。この写真を撮って改めて感じるのは,後脚のスゴサ。なんとも力学的な構造に見えます。というよりも,機械よりずっと力学的とでもいえるような,いのちの詰まった機械とでもいうような。


タイミングよくポーズを写し撮るのはむずかしい! このとき,日はずいぶん西に傾いていました。

広がる遠景を虫の気持ちになったつもりで眺めるには,田や峰,空が見渡せるところがぴったり。すこし高いところでじゅうぶん。ただ,ピョーンと飛び跳ねると探すのに一苦労します。それで,大急ぎでシャッターを切らなくてはなりません。冬は草がすっかり枯れているので,見通しのよいこと! 


こうして見ると,やっぱり後脚はたくましい! 

 


冬,ホシノヒトミと訪花昆虫(続々)

2016-01-09 | 昆虫と花

本日付け記事の第2話です。


 1月9日(土)。土曜は出勤日。昼食後のウォーキングの話題です。

「今日は暖かいので,昆虫に出合えるだろうな」と期待して歩きながら,いつも気にしているホシノヒトミの小群落で立ち止まりました。そうして,ゆっくり,じっくり目を凝らして花を一つひとつ見ていきました。

いました,いました。こういうときは,「予想が当たったー!」って感じです。まるで宝くじにでも当たったという気持ちです。ハナバエの一種かと思われます。体長は5mm程度。


写し終わると,次のポイントまで歩き続けます。そして,そこでも確認。いました,いました。しかし,わたしの気配を感じてか,すぐ飛び立ちました。さすが,警戒心はいつもあるようです。 

またしばらく速歩で歩いて次のポイントへ。そこでも1匹発見。ミズアブのなかまかもしれません。


近づいて,そうして気づかれないようにしてもう一枚。蜜を舐めるのに,もう夢中です。


春の大群落では当然訪花昆虫にたくさん出合えますが,冬の小群落でもそれなりに出合えます。こんな調子ですから,わたしのたのしみは尽きることはありません。

 


マツの剪定,蛹の殻,カナヘビ

2016-01-09 | 随想

我が家の前栽にある木々は,自分で剪定できて作業に危険が伴わないように背の低いものを集めています。マツも高さは2m。マツの剪定はいつも秋にしていますが,今回はあれやこれやで冬まで伸びてしまいました。というわけで,正月を過ぎてからの作業になりました。

古い葉を取り去って,小枝を間引いて,残す枝に付いた葉を短く切り揃えて,というふうにするのがわたしの流儀。といっても,じつに自分流で整枝後の見栄えは大したことはありません。

今回作業をしていて,生きものとのおもしろい出合いが2つありました。

その1。蛹の抜け殻が繭に入ったもの3個体。葉の間にありました。正体はガだと思われます。


1つの繭では,繭が覗いていました。


そのガはなにか,ですが,ヒントらしいものはあります。夏,このマツで幼虫を見かけたことがあります。マツがお気に入りのようで,何度か見ました。それはマツカレハです。マツケムシとも呼ばれ,マツの害虫としてよく知られています。

その2。枝にカナヘビが引っかかっていて,からだが垂れ下がっていました。指でつまんでみると,まだ軟らかい感じがしました。もしかすると,モズの早贄(はやにえ)ではないかと想像しています。葉が伸びているのに,わざわざこの枝に付けたというのはちょっと理解に苦しみますが,可能性はあります。


過去に,この前栽で二度早贄を見ています。モズは家の周りに棲んでいるので,わたしの中ではなんとなく両者がつながる感じです。

時期遅れの剪定作業を終えて,気持ちはすこしさっぱりしました。春に元気よく芽吹いてくれたら,いうことなしです。

 


冬,ホシノヒトミと訪花昆虫(続)

2016-01-08 | 昆虫と花

ウォーキングをしながら,道端の花にいる昆虫が見えるようになりました。キョロキョロして歩いているわけではけっしてありませんが,なんだか昆虫たちが目に飛び込んでくるといったらいいか。マア,そんなところです。

冬の真っ只中なのに,春のように暖かなこの日。「きっとなにかが来ているだろう」と思いながら歩いて行くと,やっぱりそのとおりなのです。

ホシノヒトミを見ながら歩いて行くと,初めに目に入ったのがフタホシヒラタアブ。 今にも茎が倒れそう。口吻が動くのが見えました。

 
フタホシヒラタアブが去ると,ふしぎ,ふしぎ! 入れ替わるようにして現れたのがホソヒラタアブ。ホソヒラタアブとホシノヒトミは,わたしのこれまでの観察事実からはすてきな組み合わせです。この草にはアブラムシがよくいて,産卵場所に選ぶことがよくあるのです。それに花は小さいながら,たいせつな花粉・花蜜源。

 
着地すると,もちろん栄養を補給します。


そこから舞い上がると,近くの別の花に移動。花は多くはありませんが,花弁の色が目印になっているようです。あんなにでっかい複眼なら,割合簡単に目に入るにちがいありません。 


ヒラタアブの活発な動きは春とそっくり。

近頃のポカポカ陽気をとおして,納得できる事実に出合えた気持ちがしています。それは,気温が一定以上あれば,越冬成虫が活動し始めるし,活動する姿をずいぶん見かけることができるということです。冬だから昆虫に出合えないと単純に解釈すると,とんでもない勘違いをしてしまいます。

 


ナズナとフタホシヒラタアブ

2016-01-07 | 随想

本日付け記事の第2話です。


1月7日(木)。今日は七草の日でした。無病息災を祈って受け継がれてきた伝統食“七草粥”。ルーツは古代中国。粥を食することがすなわち無病息災につながるかどうかは別にして,季節感のあるこうした行事は,自然と暮らしを共にする日本人の生活様式,先人の知恵袋と重ね合わせてたいせつにしたいと思います。“自然となかよしおじさん”としては,マア当たり前のことなのですが。

それで,こんな記事を例年のごとくアップするのは控えようと一旦は思いました。しかし,なんと今日,ウォーキングをしていてナズナの花にヒラタアブがとまっているのを見かけた! それで,やっぱり触れるわけにはいかないなあという気持ちになった次第です。

じつは,わたしの家では毎年畑でスズナ,スズシロを採ってきて,残りの5種の草は近くの乾田で採集し,粥を作る習慣になっています。ところが今年はまだ未採集。結果,明日8日に採って,一日遅れで粥を食べるってことになりそう。冬の今,元気に息づいている植物の味覚・恩恵に与るにはちょっと遅れようと大した違いはあるまいし,と居直っているところです。

パック入り食材をスーパーで買う人は季節感だけでもという気持ちがあるのかもしれませんが,田舎暮らしだとそこら至るところに七草があるのでありがたい限り。自然に囲まれて生きているという雰囲気です。この野草を買うしかない人のために栽培をして商売にしている方があるって,やっぱりスゴイなあと,田舎者の“おじさん”は思っています。

それで,記憶遺産にしておくために,朝刊で見たスーパーの商品広告を掲載しておきます。

 

 


さて,昼のウォーィングで見かけた路傍のナズナのことで。花穂の先には開花した花が付いて,下の方はもう実ができつつあります。この穂の先端にとまっていたのが,近頃よく見かけるフタホシヒラタアブ。といっても,見かけたのはこの1匹だけ。1匹だけでも「ほほーっ!」と感嘆してしまう事実です。

 


ヒラタアブがここで栄養を得ていたのかどうか,それはわかりません。しかし,今の時期でも,天気がよければ送受粉に貢献している可能性はじゅうぶんにあります。ちなみに今日は最低気温1.7℃,最高気温10.5℃でした。貴重な目撃になりました。