自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

春を告げる畦焼き

2015-02-08 | 日記

2月8日(日)。曇り時々雨。肌寒い風が吹く一日でした。集落では,総出で恒例の畦焼きとクリーンキャンペーンが行われ,出役しました。総出というのは,それだけたいせつな行事ということなのです。安全対策上,消防団も出ます。国道脇の作業も入るために,交通安全係も配置します。

昨年は雨で中止になったので2年ぶり。この行事は近隣集落がこぞって1月待つから2月にかけて行うもので,この日,他の集落辺りからも,畦焼きの煙が上がっていました。春を告げるといわれる,奈良若草山の山焼きとそっくりの行事なのです。

 


やっている最中に,小雨が。そのため,枯れ草が湿って草が燃えなくなりました。

止むなく,わたしはクリーンキャンペーンに専念。国道脇には空き缶,空き瓶がどっさり。田舎でも,こうです。日本人の道徳心は諸外国と比べて評価されることはありますが,こうした実態を見ていると,まだまだ。


今日の行事に関した話題を一つ。作業中,近所の駐在所からパトカーがやって来ました。「通行人から,煙が邪魔になって困る」との通報があったとか。通報を受けたら確認・指導する建て前があるので,これはしかたないこと。

隣りにいた知人いわく「国道から遠く離れた水田で,枯れた黒豆の枝を燃やしていて通報され,パトカーがやって来た。それも,通行人の通報やった」と。そのときは「農作業で,物を燃やすときは,バケツで水を準備しておいてほしい」といわれたとか。そういって苦笑していました。変な話です。野焼きが問題になることがありますが,慣習や農業等の最少の作業は条例でも認められています。係も配置した作業なのに,まことに世知辛い話題です。

若草山の山焼き,文句を付ける人があるのかなあ。それに,今回通報した人って,国道脇に停車して携帯電話をかけたのかなあ。それより,そもそも国道って法面の管理は管理事務所の所管なんだろうな。

畦焼きは,たぶん,なくならない大事な伝統行事です。農業が田舎の主要産業であり続ける限り,続くでしょう。もちろん,安全・迷惑等には万全の配慮が必要ですが。

こんなわけで,春を迎える準備が一つ完了。

 


今年のロウバイ(3)

2015-02-07 | ロウバイ

ロウバイの蕾をいち早く訪れたのはツマグロキンバエでしたが,わたしが観察した限り,開花後いちばん早くやって来たのもツマグロキンバエでした。さすがに,キンバエならではの貪欲さが光ります。

ロウバイの花はほとんどが下向きに開きます。それで,訪花昆虫を確認しようと思うと,自ずと見上げる姿勢になってしまいます。低い枝だと,とても疲れます。「それでも,きっちり見届けておこう」,そんなふうに思いながら確かめます。

幸い,このときツマグロキンバエが目に入ったのです。からだには花粉がいっぱい! ロウバイにすれば,とてもありがたい訪問者です。 

 
個体は,花から出ると,枝に移っていきました。そこで,盛んに脚や口吻をきれいにする動きを見せました。


ひとしきりその作業をしたあと,再び同じ花に戻ってきました。もちろん,歩いて。 


ここ,花弁の外側で, また掃除を繰り返しました。


掃除が終わると,花の中に入っていきました。余程気にいった花のようです。 

 
そこで,しばらく花粉を舐めていました。それが終わると,ゆっくり花の外へ出てきました。びっくりしたことに,花粉がさらに増えてまるで花粉まみれといった感じに見えました。

 
一連の動きやからだの様子から,送受粉の大いなる貢献者であることが一目でわかります。ロウバイは頼もしい昆虫を友としたものです。

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(6)

2015-02-06 | マンサク

 2月に入り,マンサクがわっとばかりに咲きかけました。

過ごしやすい,無風の日のこと。さっそくホソヒラタアブが訪れました。今活動している昆虫では大きめなので,目が慣れればすぐに見つけることができます。

アブは開いて間もない花をじっと覗き込んでいました。たいへん慎重に確かめているといったふうでした。 

 

 
間もなく,歩いて隣りの花に移動。脚場に脚をしっかり置いて,からだを伸ばすようにして,ここでも中を覗き込んでいました。口吻が伸びているかどうかはよくわかりません。

 


しばらくすると,そこを離れて下方向に向かいました。「まだ時期尚早なのかなあ」とでも思っているかのよう。 

 


さらに歩いて,枝に。前脚を口先にもっていって,掃除をしている様子。生来の清潔好きが出ています。からだには,まだ花粉は付いていません。葯から花粉がこぼれ落ちるほどまで花が熟すには,まだ時間がかかりそうです。 

 

 
この日のヒラタアブには,満腹感が味わえなかったようです。しかし,それを味わえる日はそう遠くありません。いずれ食餌行動にお目にかかれるでしょう。

アブは,ぷいっとばかりに飛び去りました。 

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(5)

2015-02-05 | マンサク

小さな小さなハナバエが訪れていました。見ていると,花がとても気になっている様子。しかし,わたしが見ているときは花に入ることはありませんでした。 

 
すこし時間をおいてから再び見ました。すると,花弁の端にいて,からだをきれいにするしぐさをしている最中でした。蜜を吸った後なのでしょうか。からだには,りっぱな毛が見えます。小さくても一人前なのです。

 
しばらくすると,お馴染みのヒマラヤアミメケブカミバエがやって来ました。見かける数は多くはありませんが,キクにもタンポポにも来る常連客です。


こんな小さな昆虫が次々に訪れます。しかし,余程目を凝らさない限り,そこにいるのかいないのか,さっぱりわかりません。普通サイズに馴染んできた目からすると,それほどの極小世界なんだなと感じてしまいます。  

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(4)

2015-02-04 | マンサク

1月でも穏やかな日中だと,結構昆虫が現れるので,観察をたのしめます。

マンサクの蕾がほんのすこし膨らみ加減になったところだのですが,さっそくツマグロキンバエが訪れていました。さすがに敏い感覚の持ち主です。しばらくじっとしていたので,慌てることなく写真に収めることができました。 

 
開いた花はすくないのですが,そこを訪れる昆虫が目立ちます。遠くからでも,ちゃんとわかるのは花が色・匂いでシグナルを発しているからでしょう。名前は不明ですが,ハエのなかまです。花弁の幅が1mm程度なので,体長はせいぜい2mm。


ヒメコバチが花を覗き込んでいました。葯から花粉がこぼれていないのは,まだ開花して間もないという印でもあります。蜜源を探しているような姿勢に見えます。 


ふつう考えると,冬,昆虫と出合うというのはふしぎな出来事かもしれません。そのふしぎを,わたしはたっぷりたのしんでいます。 

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(3)

2015-02-03 | マンサク

初めて見る昆虫です。

花の中にすっぽりからだが入っているので,はじめは気がつきませんでした。よくよく見ていると,からだの色合いと周りの色との違いから,どうも昆虫がいるような気配がしました。小さな小さな甲虫です。花弁の幅が1.0~1.5mm程度なので,それと比べてもじつに小さな甲虫だといえます。

しばらくすると,花の奥からゆっくり出てきました。 

 
そうして,歩いて隣りの花の脇に移動しました。わたしはカメラを移動して,なんとか撮ろうと試みました。幸いそこにしばらくいたので,撮れたのが下写真です。


名はまったくわかりません。マンサクの花を訪れる昆虫はじつに多彩な顔振りです。冬の昆虫の豊かさを感じます。 

 


今冬もクビキリギス

2015-02-02 | 昆虫

1月の終わり,草原でクビキリギスを見かけました。この昆虫については,これまでに何度か話題にしてきました。成虫越冬することでよく知られているので,見かけたこと自体はめずらしいわけではありません。しかし,何度もこういうチャンスはないわけで,重なりますが,書きとどめておこうと思います。

体色はイネ科植物とそっくりの褐色型。これなら天敵の目を欺くことができそうです。

 


モデルになってもらい,生息環境を取り込んで写しました。河川敷で撮ると,奥行きがぐっと出てきました。対岸の水際,その向こうのガードレールが曲線になっています。それが効果を醸し出しているのでしょう。「クビキリギスはこんなところで暮らしているのだなあ」,そんな実感がしてきます。

 


小高い丘から,道行く自動車を取り込んで写しました。田園と山並みが景観を形づくっています。まるで,クビキリギスが何かを見ているような錯覚に陥ったりして……。


堤防の上で撮りました。遠景との間に空間が見えないので,景観のおもしろさはあまり伝わってきません。しかし,これはこれで生活臭があるように感じられます。 三角頭の“クビキリギスならでは”からくる雰囲気なのかも。

 


こうして見ていると,一つのいのちが冬景色にきっちり収まった感がします。

寒くても,クビキリギスはゆっくりゆっくり動こうとしていました。大きなからだが寒さに耐えて生き延びていくのは,考えてみるとスゴイことです。

 


探検活動 ~マイギリ式発火法をマスターしよう~

2015-02-01 | 日記

1月31日(土)。この日の探検活動にメンバー全員が揃わないことがわかっていたので,特別(予備)プログラムを組んでいました。それはマイギリ式発火法をマスターしようというもの。

参加できた子どもは3人。3年生と5年生です。

今回も,わたしの役割は見守り中心。発火の手順を教えた後は,火切り棒の取り替え及び火切り板の切り込みを入れ,コツとポイントを一言二言伝えただけ。要するに,直接手を貸すことなく,子どもが自力で炎を得るまで応援するのに徹するのです。

北風が強く吹く日だったので,種火をつくるのは玄関の内側で。炎にするのは外側,ということにしました。はじめに麻の紐をほぐして繊維のかたまりを準備。そのあと,さっそく火起こし開始。


子どもたちは大したもので,短時間で,滑らかに火切り棒を回転できるようになりました。それでも,回転部分が摩擦で止まりかけます。それに打ち勝つのはたいへん。子どもたちに声かけをしているうちに,なんとかうまくいきかけました。

すこしして,5年生のKさんが成功。火種ができると,もぐさに移します。そしてそれを麻繊維でくるみ,空気を送り込みます。すると,一瞬にして炎になりました。続いて,3年生の2人も成功!


終了時刻が来るまで,試みていました。

「キリモミと比べたら,とっても簡単! たのしかった!」。3人ともそんなふうな感想を述べました。たった1時間で,こんな火体験ができるなんて,じつにハッピーな過ごし方だと思います。次回の特別プログラムでは「ヒモギリ式発火法にチャレンジ!」を予定しています。

そうそう,おもしろい感想を言った子がいました。「木を擦って火を起こす方法のほかに,水でもできるってテレビで見たことがある。太陽の光が水に当たって,レンズになって光が集まるって。やってみたいな」。それを聞いた子たちは「やりたい!」と反応。夏にやってみることにしました。子どもがプログラムをつくるって,すてきです。

 


クロヒラタアブの顔

2015-02-01 | ヒラタアブ

我が家のサザンカは,開花時期を過ぎ,ほとんどが枯れてしまいました。

その中に,わずかに残った花があります。それを見ていると,クロヒラタアブ(メス)が花弁でじっとしていました。「それなら,前から撮ってみよう」と思い,レンズを向けたのが下の写真です。 


よく見ると,あちこちに水滴が付いています。脚に花粉らしいものが付着しているのが見えます。 

 
さらに拡大してみると,顔つきがよくわかります。収納された口吻のなんと大きなこと! 頭じゅう,どこも毛だらけ! それに,頭の後部にはヒゲ状の毛がなんと行儀よく並んでいることでしょう!

 

 
小さないのちに整然と細かなしくみが備わっていることは,スゴイこと。何度見ても,驚いてばかりです。