自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

早春,マンサクの花と訪花昆虫(16)

2015-02-27 | マンサク

小雨模様の早朝。その小雨がたまたま止んでいる午前7時。「この天気で昆虫が来ているだろうか,もしかすると昨夜,マンサクの枝をねぐらにした昆虫がみつかるかもしれない」,そんな淡い期待を抱いて,ちょっと行ってみました。

そして,アカバナマンサクを見ていくうちに驚いたことが! さっそく食餌をしている個体が見つかったのです。ユスリカのなかまです。


隣りの花は上向きに咲いているので,中には水が溜まっています。ユスリカが訪れている花は,幸いにして横方向に開いているので,ユスリカが餌にありつけるというわけです。

動きから,しきりに食していることが伝わってきました。その動きとは,ほとんど静止状態で頭部をぐっと入れる,そして出す,またぐっと入れる,そんな動作なのです。動きが止まることもあります。また,からだの位置を変えることもあります。

しかし,他の花に移動することなく,一つの花で集中して食餌をしていました。

わたしが,さらに驚き,こころからうれしく思ったのは,口器(下写真の矢印)が伸びて,「あっ! 汁を吸っているみたい!」と見える場面を目撃できたことでした。このチャンスを逃さずに写真に収めることができたのです。わたしにとってベストショットです。


昆虫の写真を撮るということは,昆虫行動学の視点に立てば「ある目的を持って行動している姿」「一連の生活環における,確かな変化」を画像に残すことだと,わたしは考えています。

雨模様の日に昆虫などまず活動していないだろうと思いつつ確認していった,思わぬ結果が,このようなすてきな目撃に結び付きました。

 


写真展,終了

2015-02-27 | 日記

2月27日(金)。

2週間の日程で開催してきた写真展『早春。昆虫の小宇宙』が,今日最終日を迎えました。会場にはほとんど行けなかったので,ご来場いただいた方々には申し訳なさを感じています。出かけた日は,とても印象深い出会いがありました。それで,「ずぶの素人なのに,大胆にも写真展を開催してこれでよかったのかなあ」と思う反面,「ほんとうによかったなあ」という気持ちもあります。


寒い最中に,昆虫が生きて活動している意外性をお伝えできたことが何よりです。「冬でも昆虫が見られるんですか」という声に,思わずニコッ。子どもたちにも見てもらえたこと,うれしいですね。

作品を通してお伝えしたかったことが何とかお伝えできたように思います。このことを考える上で,芳名録に書かれた“ちょこっと感想”は貴重な手がかりになりそうです。いくつかご紹介しておきます。

  • 身近に,こんなたくさんの種類のハエ,ハチ,アブ,アブラムシがいるのですね。
  • ハエって,こんなに美しいのですね。
  • ただただびっくり!! 害虫じゃなかった。
  • 生命の輝きを感じました。
  • いつもいやがってたハエ,カ。花にとってはたいせつな生命の担い手。愛情を感じました。
  • 先生らしいせめ方の写真でした。
  • 見に来てよかった。クモもお願いします。
  • 久し振りに,大学で岩槻邦男先生の研究を聴いたことを想い出しました。すばらしい世界がありました。
  • 別世界をのぞかせて頂きました。説明を読んで,更に感動!
  • good!!

作品準備に当たってお世話になった恩師に終了の報告に行ったのですが,「ただただ驚いた。根気がよく続いたものだ。チャンスを実にうまくとらえたなあ」という感想をいただきました。高校で生物を教わった先生だけに,わたしにはとくべつうれしい一言でした。

冒頭,出会いのことを書きました。新聞記事に取り上げていただいたお蔭で,うれしい出会いがありました。教え子との20年振りの再会。何年も出会えていなかった知人との出会い。……。写真展を介した数々の出会いに深謝。

さらには,会場を管理していらっしゃるスタッフ,ボランティアの皆さんからいただいたご配慮には,ただただ感謝です。

あれやこれやで,思っていた以上の作品展になったこと,うれしく感じています。