1月の終わり,草原でクビキリギスを見かけました。この昆虫については,これまでに何度か話題にしてきました。成虫越冬することでよく知られているので,見かけたこと自体はめずらしいわけではありません。しかし,何度もこういうチャンスはないわけで,重なりますが,書きとどめておこうと思います。
体色はイネ科植物とそっくりの褐色型。これなら天敵の目を欺くことができそうです。
モデルになってもらい,生息環境を取り込んで写しました。河川敷で撮ると,奥行きがぐっと出てきました。対岸の水際,その向こうのガードレールが曲線になっています。それが効果を醸し出しているのでしょう。「クビキリギスはこんなところで暮らしているのだなあ」,そんな実感がしてきます。
小高い丘から,道行く自動車を取り込んで写しました。田園と山並みが景観を形づくっています。まるで,クビキリギスが何かを見ているような錯覚に陥ったりして……。
堤防の上で撮りました。遠景との間に空間が見えないので,景観のおもしろさはあまり伝わってきません。しかし,これはこれで生活臭があるように感じられます。 三角頭の“クビキリギスならでは”からくる雰囲気なのかも。
こうして見ていると,一つのいのちが冬景色にきっちり収まった感がします。
寒くても,クビキリギスはゆっくりゆっくり動こうとしていました。大きなからだが寒さに耐えて生き延びていくのは,考えてみるとスゴイことです。