自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

果樹へのお礼“寒肥”

2015-02-18 | 日記

果樹や庭木に,冬季に与える肥料を“寒肥(かんぴ)”あるいは“寒肥え”などと呼んでいます。春前の12月~2月に与えて,春の芽出しを助け,土壌に棲む微生物のはたらきを活発にするために行われている作業です。健康な土作りをして木々の生長をサポートするのわけですから,与えるのは有機肥料。

今日(2月18日)は我が家の果樹園で,油粕を施肥しました。果樹園といっても,ごく狭いところです。植えているのはカキ6本,イチジク2本,ビワ1本,レモン2本。昨秋はカキとレモンがどっさり生りました。お蔭で,感動をたっぷり味わうとともに,レモンに至ってはあちこちにお分けしてたのしい話題で花が咲きました。

今年もどうかたくさん生って,自然の恵みをいただけるようにと願って作業をしていきました。片方が実りを一方的にいただいて,何もお返ししないというのでは,まるでバランスがとれません。マアいってみれば,「お礼肥だよ」といいながらの作業なのです。

与え方は,果樹の枝が張り出している辺りに溝や穴を掘り,そこに油粕を入れていくというもの。終われば,土をかけておしまいです。ごく単純な作業です。


さあ,今年の実りがたのしみです。

 


今年のロウバイ(4)

2015-02-17 | ロウバイ

快晴のこの日。ホソヒラタアブがロウバイにもやって来ました。 

見ると,口先をペタペタ付けて餌を口にしている様子。口吻が薄っすら見えます。一つの花に入ると,丹念に食餌をします。

 
しばらくすると,次の花に移動。それに伴なってわたしも移動。わたしの位置は太陽と反対側。つまり,逆光になったのです。これはまずいなと思いながら,とにかくシャッターを切りました。すると,意外なおもしろさが出てきました。ヒラタアブのからだは全体が黒っぽいのは止むを得ませんが,シルエット風に色彩が浮かび上がってきたのです。

しかも,口吻が伸びて餌にあり付いている様子が一目でわかります。


姿勢を変えながら食餌に勤しんでいました。 


ひととき餌を口にすると,また次の花へ。今度は光を全身に浴びてからだが輝いて見えました。写真を見ると,からだのあちこちに,花粉が付いているのがわかります。 


冬でも,比較的暖かくて穏やかな日は多くの昆虫には格好の活動日であることがわかります。“暖かさ”の基準は最高気温が10℃以上というところでしょうか。  

 


ホシノヒトミとホソヒラタアブと

2015-02-16 | 昆虫と花

2月16日(月)。月曜日なのでしごとは休み。居間に差し込む朝日が,いかにも「春近し」といった眩さを放っていました。昼前からぽかっと暖かで穏やかな天気に。こういうときは,冬でも間違いなく昆虫が活動します。農作業をしながら,昆虫の観察・撮影をたのしむことにしました。極上のひとときです。

予感通りです。空き地に咲いたホシノヒトミ,つまりオオイヌノフグリの花に,さっそくホソヒラタアブが訪れました。今の季節はとりわけ警戒心が強いようなので,気づかれないようにして撮影しました。コツは,それが花にとまってからゆっくり近づいていくのです。


移動するときは,わたしが日光を遮ってヒラタアブが陰に入らないようにします。そこまでしないと,感づかれる恐れがあります。


うんと慎重に観察していると,ヒラタアブは気づきません。からだには,花粉がたっぷり付着しています。食餌にはじっくり時間をかけ,次の花へと移っていきました。


頭をすっぽり花に突っ込んで花粉を舐める姿は,なかなか味わい深いものです。もう夢中なのでしょう。けっして驚かさないようにしなくては。


ホシノヒトミが昆虫を待っていたのと同じで,ホソヒラタアブだってこの花を待ち焦がれていたことでしょう。足元の自然は目を十分にたのしませてくれます。

そうそう,最高気温が12.8℃と心地よい一日になったお蔭で,越冬中のタテハチョウが目覚めて現れました。ヒラヒラ舞っているのを見て間もなく,また2頭がもつれ合うように大空を舞っていくのを目撃。いのちはちゃんと春を感じています。

 


冬! この昆虫!

2015-02-15 | ホトケノザ

2月14日(土)。いつも気にかけているホトケノザの小群落。それは住む人がいなくなった廃屋の,犬走りにあります。コンクリートにヒビが入って,そこからわんさかホトケノザが生えてきているところです。

この日はわりあい穏やかな一日で,そこは風が当たらず,加えて日だまりになるという好環境なので,観察にはピッタリ。

さっそく見つかったのがナナホシテントウ。もちろん,そこにはアブラムシがいるので,それを食べようと動き回っているというわけです。わたしが見ている間は,アブラムシを捕えることはできませんでした。

しばらく経って,たまたま目に入ったのがシャクガの幼虫。体長1cmです。さっさと尺を取って進んでいくので,一目でわかりました。


指先をちょこっと触れると,パッと硬直。まるで葉柄のような感じになりました。きっと緊張しているのでしょう。申し訳ない。


このシャクトリムシはホトケノザを食しているのでしょう。ごく小さいので,ふつうなら目に付かない程です。動けば,天敵と思われるクモやハチにも,わたしと同じように見つけやすいのかもしれません。この日,すぐ近くでクモを見かけました。

冬だって,生きていくのはたいへんです。

 


写真展『早春。昆虫の小宇宙』準備完了

2015-02-14 | 日記

2月14日(土)。明日から写真展を開催します。タイトルは『接写で迫る “早春。昆虫の小宇宙”』。会場は市内にある国登録有形文化財の住宅。会期は今月27日(金)までです。そのため,午後,会場に行って準備をしました。


タイトルの“早春”は1月を含む旧暦。この時期は,新暦ならまだ厳冬。早春(厳冬)をいち早く告げて咲く花にロウバイ・マンサクがあります。それを訪れる昆虫を接写レンズでとらえた作品を展示します。

ふつう,昆虫がやって来ること自体,ふしぎかもしれません。もちろん,ごく小さな昆虫なので,注意深く観察・撮影しないと,その姿をとらえることはできません。そこに敢えて目を向けて,展開する昆虫物語に迫った作品です。自分でいうのは気が引けるのですが,たぶん意外性がたっぷりだと思います。常識を覆す生態写真とでもいえるでしょうか。

本ブログに立ち寄ってくださっている皆さまには,おおよその見当は付くと思われますので,そんな駄弁は必要ないでしょう。

これまでに,本ブログでご紹介した写真も含んで30点程。“程”を付したのは,雑多なものを入れるとそれ以上あるからです。そのうち,規格の額入り作品は28点。予め準備していた作品に差し替え,今冬出合った昆虫も入れています。実際は取り上げた種類以外にも昆虫がたくさん訪れているのですが,会場の間取りの都合で厳選するほかありませんでした。これはとても残念な点です。


躍動する小さないのちに,たぶん,「ヘェー!」「ホーッ!」と感じていただけるでしょう。子どもたちが見たら,びっくりするかもしれません。そして,なにか呟くように思います。たくさんの子どもたちに見てほしいですね。

お近くの皆さま,ぜひお越しください。お気軽にご鑑賞くださいますように。

 


冬のタンポポと昆虫

2015-02-13 | タンポポ

タンポポは春の花とは限っていません。一年中咲いています。とりわけ,わんさかと咲き誇るのが春なのであって,四季を通して咲くというのがこの植物のおもしろいところ。

ただ,冬のタンポポは,ほとんどが外来種セイヨウタンポポです。在来のニホンタンポポは基本的には昆虫の手助けがないと受粉できないのに対し,セイヨウタンポポはまことにしたたかな戦略の持ち主で,受粉してもしなくても結実するのです。つまり,虫が訪れなくてもちゃっかりと実を結ぶしくみを備えているというわけです。

写真は2月に撮ったセイヨウタンポポの種子です。充実しているように見えます。


下写真は,つい先日写したセイヨウタンポポです。昆虫のお蔭で,花の一部が受粉できそうです。



受粉して結実する,しなくても結実する,この差はじつは大きな意味があります。 繁殖能力に秀でたセイヨウタンポポの生き方はあっぱれという印象を持ちますが,事情はそれほど単純ではありません。

受粉せずに結実するのは,挿し木などと同じ類いで,親の形質をそのまま受け継ぐことになります。それは,場合によっては生き残り戦略としてはたいへん危険でもあります。なにしろ,致命的な環境下におかれたとき,全滅する恐れがあるのですから。

受粉結実する場合は,媒介昆虫によって他の花の花粉が運ばれてくる確率が高くなります。これによってできた種子は,親の形質に近いものを有しているものの,微妙にそれとは異なっているために,遺伝子の多様性を確保できることになるのです。 

多様であるということは,それだけ環境への適応が柔軟でありうるということです。致命的な事態が発生しても,必ず一部の子孫は残されていきます。在来種は外来種ほどに種子を生産しなくても,環境の変化に合わせながら堅実に子孫を残し続けるでしょう。

冬は訪花昆虫がほとんどいないといった感じなので,咲くのは自ずとセイヨウタンポポ。これが正解なのですが,在来種もときには見受けられます。稀に昆虫が訪れて受粉が完了するか,あるいは万一に備えた保険(自家受粉)を使って種子を生産するか,それとも受粉を果たせずに終わるか,いずれかでしょう。


実際,我が家の近くの道端を観察していくと,今でも在来種が咲いていますが,じつに弱々しい綿毛です。結実までにはたぶん至らないと思われます。 

 


児童引率,雪上体験の試み

2015-02-12 | 日記

2月11日(水)。晴れ。穏やかな一日になりました。県北部の高原(標高540m)に子どもたちを引率して,雪上体験に出かけました。この高原が位置する地域には,2日前,大雪警報が出ていました。この日,高原の気温は最低が-0.3℃,最高が5.3℃。積雪139cm。

こんな話題,豪雪地帯の生活感覚からすればまことに呑気な感じがするかもしれません。しかし,降雪の少ないわたしたちの地方には見られない風景を間近にし,雪に覆われる地方でしかできない体験をするというのはやはり価値があります。まずは,雪遊び入門からはじめて,これから多くの見聞やら体験やらを重ねていけばいいのですから。

きれいに晴れた空の下,スノーシューを履いて林間を進んで行ったり,寝転がったり。ソリに乗ったり,雪合戦をしたり。はたまた,かまくらをつくったり,大きな雪だるまをつくったり。

ワクワクする体験を通して,子どもたちは充実したひとときを過ごしました。そんな活動ぶりを振り返りましょう。

屋根にはつららがどっさり。長いもので1mを超していました。

 
スノーシューを履いて,進んでいきます。

 


ガイドさんに説明を受けます。 

 


野生の動物が足跡を残しています。

 

 
雪の上でダイビング! 繰り返してたのしみます。

 


シャベルで穴掘りに熱中しましたが,到底地面には到達できません。 

 


いっぱいいっぱいの,新鮮な体験をしました。振り返りカードからは,全員が充実感を抱いたことが伝わってきました。ほっ。 

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(8)

2015-02-11 | マンサク

前回掲載したのとは別種のハナバエが訪れました。

からだに生えた棘状の剛毛が際立っています。頭部や脚などにある感覚毛とは異なり,胸部背中に生えた刺毛はどんな利点があるのでしょうか。想像できても,実際に役立っている状況を見ないことにはなかなかイメージが膨らんでいきません。ハエに聞いてみなくちゃわからない,って感じです。

ハエの味覚・嗅覚は相当にすぐれていると,昔から聞いてきた話。そこに,頭を覆う複眼が視覚器官として加わったからだなので,餌場を探る感度は相当なものなのでしょう。 


しばらくして,別の花でも見かけました。 

 

 
ハナバエは名のとおり,花を餌場にするハエです。花をこよなく愛する,とでもいったほうがピッタリです。

この頃は寒さがたいへん厳しいので,ハナバエの姿を見かけることがあまりありません。観察者・撮影者としては,「寒さがすこしでも和らいでくれたらいいのに」とひたすら願っています。そうでないと,花弁がそのうちに縮んで散ってしまいます。それでは,もったいない,もったいない。

 


探検活動 ~急斜面を登ろう~

2015-02-10 | 日記

仕事場の裏手はヒノキの植林地帯。昨年,きれいに整備され,見通しがよくなっています。そこにある斜面がじつに冒険心をくすぐるのです。それで,探検活動で昇り降りする候補地にして,まずは登ることにしました。 

2月7日(土)のこと。そこに行ったのは7人の子。危険を回避するためのポイントを伝え,登り方について説明してから挑戦開始です。

 
まずリーダーが登り,ロープを張りました。それを頼りに,一人ずつ登っていくのです。下では,みんながそれを見守ります。


たいへんな急斜面です。子どもたちは,「下から見たら,反り返っているみたい」といっていました。2年生の女の子も頑張ります。 


おしまいに,最後尾にいる副リーダーが登りました。こうした活動を行う場合,参加者一人ひとりが安全への心構えを持てるかどうかが何より肝心です。全員が無事に登り切れました。ガイド役のわたしとしては,ヤレヤレです。

登り終えた後,一人の子がヒノキの皮を剥いで見つけたのが,エサキモンキツノカメムシ。 背にくっきり浮き出たクリーム色のハートマークが印象的です。あとで調べると,メスが卵の世話をすることでよく知られているとか。

 

一人の子がヒノキの皮を剥いで見つけたのが,エサキモンキツノカメムシ。 背にくっきり浮き出たクリーム色のハートマークが印象的。あとで調べると,メスが卵の世話をすることでよく知られているとか。生き物に目が向くのはいいこと。

帰路,登ったきた斜面を見下ろして,「わあー,こんなすごい斜面を登ったんか」とびっくりしていました。


この日は,登りだけ。次回は,別の斜面を登り降りする予定です。今の子らには,すこしぐらいこわごわする冒険に挑戦できるよう,仕掛けていきたいものです。

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(7)

2015-02-09 | マンサク

ハナバエのなかまが訪れました。わたしの力では,正確な同定は手に負えません。せいぜい「〇〇のなかま」程度でぼかすしかありません。だって,我が国にはハエは3000種生息しているといいますから。「〇〇のなかま」といっても,その「〇〇」がもしかすると間違っているかも,なのです。

それはともかく,ハナバエは静かに花に取り付いて,関心を示しているようでした。 


時間をおいて,別の場所でも同じなかまと思われるハナバエを見かけました。なんとスマートな体形かと,うっとりする脚の長さ。 

 
また別の場所で,今度は,花を覗き込んでいる個体を見ました。これは間違いなく,花蜜・花粉を求めているポーズです。

 
花弁がまだ伸び切っていないのは開花してから日数が浅い証拠。ということは,まだ蜜も花粉も十分に現れ出ていないということです。今は序の段階で,これから昆虫と花とのかかわりがいよいよ本番を迎えます。

大寒でも立春でも,成虫は生き生きと(?)活動をしています。春本番の頃と比べると,動きは鈍いのですが,今だからこそ伸び伸び活動する成虫がいるって事実が肝心です。アクセスしていただいている皆様,そんなふうに思って,身近で咲いている花に目を向けてみてください。意外なドラマが見えてくるかもしれません。