近寄って花の写真を撮りました。ヒルガオ科の花らしい姿が,きれいな曲線を描いて開いています。
花の奥は色が極端に濃くなっていて,ちょうど中心部にめしべがニョッキと頭を覗かせています。花に「どうしてそこは濃い色なの?」と尋ね,答えてくれるとすれば「その方向に蜜源があるシグナルなんだよ。誘導色かな」とでも答えてくれるかも。
柱頭のかたちは特異です。まるで粒々が寄り集まった感じがします。メシベに「どうしてそんなユニークなかたちをしているの?」と尋ねれば,こんな返事が返ってくる気がします。「もし虫が来てくれたら,花粉がくっ付きやすいように,付いた花粉が落ちないようにわたしなりの工夫をしているんだよ」。
品種改良を行っている農事研究センターでは,人工授粉をしているわけですから,自然界でもミツバチやハナバエなどの訪花昆虫が訪れているはずです。
写真を撮っていて気づいたことですが,アリが目立つのです。あちこちの花で,複数で,という感じです。蕊の根もとに蜜源があって,それを舐めているのでしょう。からだの大きさとかたちから考えると,アリは頼もしい送受粉者というふうには見えません。うまく蜜を得ている,ちゃっかり者なのでしょう。
あとで写真を点検してよくよく見ると,蜜源に複数のアリの姿がありました。そのときは,そこまで確認していませんでした。ルーペでもあればよくわかったのでしょうが,持ち合わせていなかったので観察機会を逃しました。
オシベはぼんやり見えますが,メシベの柱頭の下にあります。メシベが突き出していることからいえるのは,どうやらサツマイモは受粉に際して近親交配を避けているということです。他の花の花粉を付けた昆虫が訪れ,そのからだがまず柱頭に触れれば,そこで受粉が成り立ちます。こう考えると,つじつまが合いそうです。
花の奥はどうなっているのか,とても気になりました。これについては,持ち帰った花で調べることに。次回,結果を報告します。