自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ルリタテハの蛹化場面

2015-10-07 | ルリタテハ

アゲハの庭園で地面付近の前蛹を採集。ほんとうはそのままの場所で観察したかったのですが,位置や蛹化時間帯やらがあって,室内に持ち込んだのです。そうである限り,きちんと見届けなくちゃ。そんな思いで観察を続けました。

観察をしているうちに,蛹化が間近な兆候が見え始めました。昼間のことで,大助かり。その様子を記事にしておきます。

10月5日(月)午前8時05分。釣り針型の姿勢で,まだ動きはまったくありません。

 


10月5日(月)午後8時09分。 一日が経って動きが出てきました。下写真からは,からだ全体が垂れ下がり,細長くなってきたことがわかります。併せて,筋肉の収縮・弛緩運動が現れてきました。


10月6日(火)午後0時46分。表皮が上に向かって送られ始めました。そして,頭部の皮が裂けました。  


 午後0時48分。頭部がはっきり見えかけました。  


午後0時50分。 触角・口吻・翅にあたる部分がよくわかります。皮はどんどん上方に送られていきます。  

 
午後0時53分。皮が完全に送られ,その皮をなんとか落とそうともがきます。  

 
午後0時55分。皮が落ちないと,動きがもっと大きくなりました。しかし,それでも落ちません。皮が落ちたかどうか,どうやって感知できているのかと考えると,まことにふしぎな感じがします。


午後3時41分。結局皮は落ちませんでした。こういう例はときには見受けられます。   


前蛹から蛹への大変化は,観察する者の目を釘付けします。大きなドラマです。

 


チカラシバ紙!

2015-10-07 | 野草紙

秋,道端や畦にはイネ科植物チカラシバがたくさん生えてきます。チカラシバを漢字で書くと“力芝”。名の通り,この株を力を込めて抜こうとしてもけっして抜くことはできません。それだけ根が土を抱いて,地中に張り巡らされているのです。


地上部の茎も相当に強く,簡単に折れるようなことはありません。とにかく,強靭なからだの持ち主なのです。

これを素材にして紙を漉くと,やはり丈夫な紙ができます。薄い紙でも丈夫で,コピー紙も作れます。かつて,知人の教師から「学校で野草紙を漉きたい。子どもたちに教えてほしい」という依頼を受けたことがあります。せっかくなので,子どもの好奇心をくすぐろうと思い,あらかじめわたしは,薄手のチカラシバ紙を漉いて,それに知人の小さな頃の写真を拡大コピーしておいたことを思い出します。

それを見た子どもたちの反応は上々でした。あとに続く活動が活気に満ちたものになったことはいうまでもありません。ミキサーを使わず,臼と杵を使いコツコツと叩いて紙料をつくっていったのでした。

ひさしぶりにこのチカラシバを手にしました。それをじゅうぶん煮ました。

 


そうして,叩解。今回はミキサーを利用。 


溜め漉きで漉きました。写真は水切り,乾燥の様子です。 

 

 
好天気に恵まれ,一日で乾きました。あとは剥がすだけ。この瞬間のワクワク感はなんともいえません。

 
チカラシバ紙は,からだをしっかり支えている繊維の集合体だけあってさすがに強さを感じます。大したものです。チカラシバは,野草紙の素材としては秋の代表例といってよいでしょう。