自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その349)

2015-10-08 | ジャコウアゲハ

10月6日(火)。夕方のこと。国勢調査員で担当区域を回っているときに,ヨッさんに出会いました。

「あんなあ,ジャコウアゲハの幼虫のことやけど,変な虫にようけたかられて食べられてしもうたんやな。それを写真に写しとるさかい,見てえな」。そういって家の中からカメラを持ち出して来られました。見ると,たしかに寄ってたかって襲われている様子(下写真/ヨッさん提供)。問題の葉をちぎって別の葉の上で撮った写真です。実際は襲った昆虫たちはかたまっていたのです。この写真からでも凄まじさが伝わってきます。


口吻を見ると,からだに突き刺して体液を吸い上げることが如実に理解できます。


問題の場所に行ってみると,もう1個体も被害に遭っていのちを失っていました。2個体が,こうして集団で襲われたようです。幼虫が体内にもつ有毒成分アリストロキア酸などものともしない様子。

襲った昆虫の正体なのですが,今のところ名はわかりません。サシガメのなかまではないでしょうか。それにしても,こんなジャコウアゲハの幼虫にこんな新たな外敵がいたとは! 

 


ススキ紙!

2015-10-08 | 野草紙

ススキは秋の七草の一つ。この草ほど,日本人に馴染みのある野草はないといっていいほどよく知られた野草です。

このススキを素材にして紙をつくるのはとても魅力あることです。というのは,イネ科植物なので良質の紙がつくれる期待が持てますし,実際扱いがとてもやさしいからです。ただ,茎の硬い部分は木質化しているので,それを除いて使うことが必要です。それ以外なら,葉も茎も使えます。それらの素材はススキが生えているところでならいくらでも採集できます。

扱いが容易だといっても,全体としてはかなり硬いからだつきなので,十分煮なくてはいけません。今回煮るのに要した時間は5時間でした。アルカリ剤は重曹です。わたしは水酸化ナトリウムはまったく使いません。理由は簡単です。誰にでも安全に,しかも比較的簡単に紙づくりができることが大事だと考えており,どの例についてもそれを実証したいからなのです。

重曹は弱アルカリ性の物質なので,強靭な繊維は手強い相手になります。ススキやタケはその代表例です。したがって,辛抱強く煮なくては紙料が得られません。これはやむをえないことなのです。

煮たススキから,下写真のような繊細な繊維が取り出せました。使った道具はミキサーです。繊維の長さ,細さ,強度からみると,明らかに良質な紙が漉けることがわかります。

 


今回漉いたのは葉書サイズとA4サイズ。いつものように,ステンレス網に直に湿紙をのせ,そのまま水切りをしながら乾燥させます。ただ,今回は,剥がしやすさを考慮してとくべつにソフトチュールを挟みました。そうすることで,とても薄い紙も漉けるようになります。


薄いので,一日で乾きました。

 


こうして秋が匂う,すてきな紙が誕生しました。コピー紙としても使えそうです。