秋は野草たちにとっても実りの季節。充実した種子が穂先に付くイネ科植物が目に付きます。キンエノコロもそうです。穂が金色に輝いて,それらがかたまってすっくと伸びているのを見ると,秋だなあとほんとうに思います。夕方にでもなって,その先に赤トンボがとまっていたら,もう最高!
細くてスラリと伸びた茎,単子葉植物を特徴づける細長い葉。少々の風にも影響されずからだを支え,効率よく光合成をするくらしぶりを思うと,しなやかな繊維が取り出せるのははっきりしています。
これを煮て,ミキサーにかけて紙料を取り出しました。思ったとおり,繊細な繊維が集まりました。
漉いたのはA4判で,コピー用紙として使える薄手の紙。天気のよい日だったので,秋でも一日で乾きました。
網から剥がすときは,極上の気分が味わえます。
“セルロース繊維”というキーワードをとおして,キンエノコロと新鮮な出合いができました。畦や道端に生えているキンエノコロを見ると,これまでと比べて, “この草” のくらしが一味も二味も違って見えてくる気がします。