虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

伊予宇和島独案内

2009-08-23 | 宇和島藩
図書館に「宇和島」の本が少なかったので、国立国会図書館のHPを見てみた。
さすが、近代史文庫などの史料がずらっと並んでいる。でも、所蔵は東京で、関西館にはないらしい(関西館も行ったことがないけど)。

近代デジタルライブラリーを見てみる。ここは、史料を画面で見ることができる。
ここにもいいのが見つかった。「北宇和郡誌」。
大正6年に愛媛教育協会が出したそうだが、井関や告森、林などの旧藩士が書いたもののようだ。これは宇和島藩についての1級の史料だろう。人物編もあって、宇和島藩士についてもかなり詳しそうだ。いつか読んでみよう。

もうひとつ、「伊予宇和島独案内」、明治24年9月発行。筆者は藤井南陽。
この中に短いけど、無役地裁判の記述を見つけた。

「明治24年6月、大井憲太郎、小久保喜七、旧庄屋無役地事件にて宇和裁判所に訴訟を起こせり。蓋し、維新前、旧里正と人民の間の田地納税の事件、数年解けず、これを訴えるも利あらず、今また、再燃す。市村秀麻呂を首としこれを主張しよってこの訴訟あり」という文字が読める。

新聞をのぞけば、無役地事件を報じた最初の本ではないだろうか。
しかし、ネットでこんな史料が読めるなんて、便利になったなあ。

宇和島の歴史はどうなってる?

2009-08-23 | 宇和島藩
リクエストしていた宇和島市誌(上下)、取り寄せた、という連絡を受けたので図書館にいく。大阪府立から取り寄せたもので、館外貸し出しはできない。館内で閲覧し、必要なところはコピーしようとはりきって出かけたのだが、がっかりだ。

分厚い上下2冊を机に運んで、本を開けるが、ペラペラとページをめくり約2分で、返却。「もういいんですか」「はい、ありがとうございました」。

コピーをするところもなかった。市誌ということで、明治以降から現代までで、藩政時代のことが書かれていないのはしかたがないが、それにしても内容がまるで市制案内みたいなのもので、つまらない。だれが書いたのだ?と編集委員を見ると、助役さんとか市役所関係のえらいさんの名前がずらり。

これでは、宇和島の歴史は勉強できないよ。もう1冊リクエストしていた「宇和郡の民俗」は貸し出しができるので、持って帰ったが、こちらの方がまだまし。しかし、これも昭和36年に出版されたもので、学者の調査報告書みたいなものでおもしろいものではない。

大阪府立図書館のHPで「宇和島」で本を検索してみると、35件しかでない。その中から選んだものが、今回の本なのだ。

宇和島市立図書館のHPで「宇和島藩」で検索してみた。さすが126件でた。だが、ほとんど、伊予史談とか研究史料で貸し出しは不可で、一般向きの宇和島の歴史を書いた概説書はない。宇和島市立図書館に出かけたとしてもあまり役には立たないようだ。

これでいいのだろうか。意外な気がする。宇和島は、四国の端のあまり広くない土地(それも山国)だとはいえ、藤原純友をはじめ、伊達宗城、山家騒動、武左衛門一揆、高野長英、村田蔵六などなど、豊かで奥深い歴史を秘めた土地だ。宇和島を旅すると、宇和島人はぜったい歴史が好きだろうな、と感じていたのに。それなのに、宇和島の歴史を書いた市史すらもないのだろうか。(あるのだったら、教えてほしい)