らんかみち

童話から老話まで

イノシシと原発は巡り巡る

2011年06月04日 | 暮らしの落とし穴
 イノシシの被害が切実なものとなり、ホームセンターに出かけて店長のお姉さん(ホームセンターは島に二つある)に対策を聞いたら、「恰好のトタン板が入荷してます」と、実績のある対策法を伝授してくれんですが……。うちの畑は人通りのある所に面しているので、無粋なもので囲ってしまうのはどうかって思い、防獣ネットとか呼ばれる網を張ることにしました。

 イノシシ対策をネットで調べていたら「寛延の飢饉(1749-50)という、八戸藩(青森県)の猪飢饉(いのししけかち)があったそうな。イノシシと人間の攻防は今に始まったことではないらしく、100年くらいの単位で起きているというのです。
 その飢饉で人が飢え死にすると、イノシシたちの食べる農作物もなくなるわけだから彼らだって餓えるし、人間の食糧となったりして、それから100年後にイノシシたちは絶滅の危機を迎えたというのです。

 巷ではイノシシが増えたこととエルニーニョの関係を考えてみたり、少子高齢化と里山の荒廃を想像してみたり、原発との因果関係を疑ってみたりしてますが、これという決定打は出ていない。それもそのはず、人は100年前の動物由来の飢饉なんて覚えていないからです。
 
 100年に一度といえば地震と同じじゃないですか。東南海地震だっていつ起きても不思議ではないと喧伝されてますが、イノシシ被害のビッグバンだっていつおきてもおかしくなかったんですね。
 日本はいま未曾有の国難にさらされているかのように思っていたんですが、今までにも何回もこのような危機に直面していた、つまり忘れていただけだったんです。

 このまま100年経ったら、ひょっとすると原発事故も忘れ去られ、また原発の建造ラッシュが始まる。今よりは進化しているだろうけど、イノシシ対策が出来ないのと同じように、また被爆する人が出る。我々に出来るのは、福島原発跡地に醜悪なモニュメントを建設して、事故の記憶を風化させないことかもしれません。

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