らんかみち

童話から老話まで

怖い話には、わけがある

2009年03月09日 | 童話
 怖い話というのは嘘っぽいけど怖いので、わざわざ本を買って読むことはありませんが、たまに書いてみようかと思うことはあります。
 ミステリーでもラブストーリーでも、苦手だからこそ書いてみるべきなのかもしれない。去年文庫本にアンソロジーとして収載されたのもそんな気分で書いた作品でしたが、今年は色気を出して上位入選を狙ったものの、結果は前回と同じく佳作入選でした。
 
 締め切り日の日記を読み返してみたら、やっぱり当日消印有効のその日に書き上げて投函してました。たった5枚とはいえ、なめた真似して結果は着いて来るはずもありません。せめて1週間、いや1日でも推敲していたら違った結果になっていたかもしれないのに、後悔先に立たずというやつです。
 でもそれは仕方ない。まだ怖い話のツボが良く分かってないんですよね。だから取っ掛かりにぐずついてぎりぎりになってしまうんでしょう。ところが先月、阿刀田高さんの短編を読んでいて、うわっ怖ぇー! こういう風にかけば怖いのか、とツボが少し分かりました。
 
 怖いもの、お化けとか怨霊とか、そういったものをいきなり出して、どやっ怖いやろ、とやっても駄目なんでしょう。そこにいたるプロセス、どうして化けて出たかのか、その背景を知っているからこそ怪談を聞かされて我々は震え上がるんでしょう。
 たった一枚の皿のために命を落とす羽目になり、死んでなおその皿を探し続けるお岩さん。さぞ無念であろう、恨めしいであろう、という昇華できない情念が、嘘っぽい話にリアリティーを持たせるのかもしれません。
 
 振り返って今回の怖い話は、やっぱり実在の人物、舞台をイメージして書きましたし、エピソードもそれに準ずるもの。いわゆる噂、憶測の域を出ない、ありがちなもので、なおかつ怖い背景が書けてない。佳作が相当であるより、良く考えればラッキー! 
 それにしてもこの作品、文庫本に掲載されても、またペンネームを変えられるでしょう。いかにもそれらしい名前が、作品の信憑性を著しく低下させそうだからです。それなら本名で発表するか? ダメダメ、できの悪さが恥ずかしい。いやそれより、関係者各位に突込まれる恐怖こそが、作品の怖さに勝るでしょうから。

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