らんかみち

童話から老話まで

坂井宏朱選手を悼んで

2012年01月16日 | 釣り船とバイク
 一昨年は富沢祥也選手、昨年はマルコ・シモンチェリ選手、そして今年、オートレーサーの坂井宏朱選手。バイクレース界は3年連続で訃報を聞かねばならなかった。
 オートレースというのは日本だけの非常に特殊なレースで、バイクの見た目も一般道を走るそれとは全く違う。実はレース観戦はもちろん、テレビでも観たことがない。博打に興味がないので接点がなかったのだが、ここ数年のうちで元グランプリライダーが出場し始めたり、モトクロスから転向する選手が現れ、昨年ついに女子選手が2人も誕生した。これはもう観戦に行くしかない、と思っていた矢先に坂井選手の事故死である。

 富沢選手とシモンチェリ選手の場合は後続車に轢かれたことによる死亡事故だったが、坂井選手の場合はフェンスに衝突して跳ね返ったところへ自分のバイクが衝突したらしい。
 シモンチェリ選手のときに「どうしてエアバッグが開かなかったのか」と問題になったが、エアバッグは開発途上で着用していなかったらしい。アイルトン・セナのときもそうだったが、人気選手が亡くなって初めて対策が講じられる世界だ。

 オートレースはオーバルコースを周回する、挙動が少なく速度の低い競技なので、エアバッグの導入は比較的容易に思える。ロードレースやモトクロスのようにライダーの挙動が激しい競技の場合は開発も難しかろうし、ライダーも装着を嫌がるだろう。
 しかしマシンの性能が上がり、人間がコントロールできる限界をむかえている現在、何はさておき安全対策を優先するべきだろう。「危険と隣り合わせの競技だからエキサイティングなのだ」などと言っている場合ではないのだ。
 オートレースでの犠牲者は坂井選手で93人目、女子では5人目らしいと聞けば、安全対策がどれだけ疎かにされてきたかだろう。44年ぶりの女子選手という、オートレース界の期待を背に練習に励んだ結果の殉職である。坂井宏朱選手の冥福を祈らずにいられない。

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