らんかみち

童話から老話まで

拝石は表現の場だ!

2013年06月28日 | 暮らしの落とし穴


 今朝の新聞折り込みを何気なく開いて、あっと声を上げてしまった。それは地元の石屋さんが出した墓石の広告だったけど、墓石にブロンズ像がはめ込まれている。
 都会の墓所なら驚くことではないけど、万事にコンサバな当地にあってこれは珍しい。いや、驚いたのはそこではなく、ブロンズ像の作者がちょっとした有名人だったから。



 名前が書かれていたので間違いないんだけど、名前を見なくても作風で誰の手によるものかはすぐに分かった。やってくれたぜ! 
 何度もいうけど、当地は非常に保守的で内向きな土地柄だ。地中海的気候風土に育まれて人心は大らかではあるけど、道徳の規準を、宗教などの教えに求めているというより、他人様から後ろ指を指されないか、という所に重きを置いている。法律は守るべき最低ラインの道徳であるが、当地では他人様の目が法律よりも重要視される、といえば、それは言い過ぎか。

 であるから、日頃より後ろ指を指されることに慣れているぼくですら、こういう墓石は建立できない。
 この墓石を見学に行きたい、いや墓参りに行きたい。ご両親を相次いで亡くされた悼みというより、その裏側にあるかも知れない葛藤のようなものが伝わって来る凄みのあるブロンズ像。モデルは作者のご尊顔に違いないのだが、エポックメイキングなこの拝石の実物を是非とも見てみたい。