らんかみち

童話から老話まで

ロシアが近づいた日

2007年04月28日 | クラシック音楽
チェロのロストロポービチ氏が死去(朝日新聞) - goo ニュース

 ロストロポービッチ氏の演奏に初めて接したのは、もう今から30年近くも前になるでしょうか。氏が巨匠としての誉れを確立した50歳の頃ですが、当時のぼくは氏のチェロ演奏には特に惹かれませんでした。というのも、まだその頃には日本人を妻に持つピエール・フルニエ(Pierre Fournier ,1906年6月24日 - 1986年1月8日)という老大家が活躍していて、その方の演奏に心酔していたからです。
 
 最後に聴いたたフルニエ氏の演奏は、円熟したというより枯れたという印象がありましたが、ロストロポービッチ氏の晩年の演奏はどんなだったのでしょう。氏が60台半ばにレコーディングしたDVDを観ながらこれを書いてますが、枯れたという印象は少しも受けません。いやはや、今更ながら素晴らしい演奏家だったんですね!
 
 先ごろ亡くなったエリツィン元大統領と共に、旧ソ連の民主化に貢献したというロストロポービッチ氏には求道者のイメージがありますが、エリツィン元大統領に対してはは奔放で気さくなアル中というだけでなく、差別主義者的なイメージを拭えないのは、
「黄色い猿どもが領土を返せ返せとうるさい!」 
と、日本側の北方領土返還要求に対して、当時のエリツィン大統領が言ったとか言わなかったとか伝え聞くからです。
 彼のことを嫌ってたんですが、ぼくと同じアル中を患って日本に来て治療したと聞いては親近感を抱かざるを得ませんし、亡くなった今となっては忘れがたい友だちだったみたいな錯覚さえします。
 
「ロシアのアル中は香水まで飲んでしまうんです。去年はそれで死者まで出たんですよ」
 ロシアに暮らす知人から先日こんなメールをいただきました。さすがにセルゲイとかイワンのやることが違うなと驚きます。
「なので、安物のウォッカは危ないので、非常に珍しい旧ソ連産のワインとブランデーを送ります」
 5月5日はぼくの故郷の大島で「島四国200年」のイベントがあるそうで、ロシアに暮らす知人と会えそうです。子どもの日はぼくのロシア記念日になるかも知れません。