らんかみち

童話から老話まで

体育館で踏み絵をさせられ

2007年04月20日 | 暮らしの落とし穴
 堺市に新しく体育館がオープンしたので、友だちのテル爺と昨日行ってきました。といってもテル爺みたいに卓球をしないぼくは、マシンジムを利用するだけです。
 システムはどこも似たりよったりだと思うんですが、まずはじめに血圧、体重を測定します。このときに血圧が150ミリ水銀を超えているとマシンの利用を断られかねませんので、150を切った値が出るまで測り直します。
 
 いつだったかテル爺と彼の友だちの奈美さんに、ぼくが昨年まで通っていたジムを体験利用してもらったことがありました。あのとき奈美さんは血圧がレッドゾーンを振り切ってしまい、測り直してインストラクターのお許しをもらったんですが、体重計には頑として乗ろうとしません。
「生娘でもあるまいにぃ、潔く乗ったらんかい!」
 あんまり騒がれると、メンバーであるぼくの肩身が狭いので奈美さんを促したんですが、それでも乗りません。
「奈美さん、これは踏み絵とちゃうねんから、乗っても大丈夫やって……」
 さすがはテル爺、年季が入った説得をするもんですが、納得はしたか知らねど、決して説得に応じようとしない奈美さんでした。
 あのときの奈美さんの様子を笑ったぼくですが、ジムをやめて半年で10%ほど増量してしまった今のぼくなら、あのときの奈美さんの恐怖を理解できます。
 
 体重計の横には身長計が置いてありますので、測定してみようとしたのですが、
「あ、身長は計らなくて結構なんですよ」
と、インストラクターの女の子が慌ててぼくを制しました。
「分かってますって、ちょっと計りたくなっただけですヤン」
 素人扱いされてしまったんですが、施設は堺市のものでも民間企業に運営をゆだねているので、親切にチェックしてくれるのがうれしいです。
「あ、そのマシンにはあごをちゃんとくっつけて使いましょうね」
 アドバイスを受けるのは想定してましたが、他人が使ったものに直接あごを付けるのもいやなんで、タオルをしいてあごを乗せました。
「あ、それは間違いです。反動をつけて持ち上げてはいけません」
「はいはい、親切にありがとう」
 どこまでも注意してくださるので、いちいち答えるんですが、彼女たちのこのハイテンションが初めのうちだけでないことを祈ります。