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■北海道抽象派作家協会、秋季展は今回が最後です(2013年9月30日~10月5日、札幌)

2013年10月05日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 今年の春、第40回記念展を開いた「北海道抽象派作家協会」。
 1973年の創立以来、ほぼ毎年、年2回の展覧会を開いてきた、非常に勤勉なグループで、85年からは、本展を4~5月に札幌市民ギャラリーで、秋季展を9~10月ごろに札幌時計台ギャラリーで開催するというスタイルが定着してきた。秋季展は同人のみ、春の本展は同人プラス招待作家という顔ぶれであった。しかし、同人の体力的、金銭的な負担を軽減する意味もあるのだろう、秋季展は今回が最後ということになり、ちょっと寂しい感がある。

 もはや「抽象か具象か」などということは、大きなテーマではなくなっており、そういう中で「抽象」というくくりだけで、グループが40年も続いてきたこと自体、興味深いことである。
 今回は、立体が無いこともあって、会場は非常に静かというか、落ち着いた雰囲気に包まれている。

 それでは、最後の記念すべき秋季展の、同人の作品から紹介しよう。



 三浦恭三「連鎖I」。
 水色の地の上に、さまざまなかたちが躍る。この軽快さ、さわやかさは、三浦さん(小樽)の持ち味だと思う。
 「連鎖 II」も出品している。




 今荘義男「古里」シリーズ。左から、イ、ロ、ハ、ニ。
 右端の小品については聞き漏らした。
 画面を上下に分割し、茶系を主軸にまとめた画面は、あいかわらず、深遠さをたたえている。
 上っ面ではない、日本の土の色が、ここにあると思う。
 今荘さん(岩見沢市栗沢町)は創立当時からのメンバー。




 林教司「ECLIPSE」「種子シリーズ1」「種子シリーズ2」「種子シリーズ3」(左から)
 エクリプスは、日蝕にっしょくや月蝕を指す英語。
 遠目では非常にシンプルな画面に見えるが、近づくと、黒い部分は、多くの手数を加えて塗り込められていることがわかる。黒鉛を塗っているのかもしれない。単なる黒一色とは違う、深みがある。
 林さんも岩見沢市栗沢町。ギャラリーたぴおの主宰者でもある。 




 鈴木悠高「MIDORI」
 鈴木さん(札幌)は、2009年加入の若いメンバーで、当時は黄色い絵ばかり描いていたので、こういう展開になっていたとは思いもよらなかった。
 画像は、上のほうが、表面が電灯を反射していて、実際よりも白っぽくなっている。 




 名畑美由紀「情」
 名畑さん(札幌)は2010年加入。現在の同人の中では最も新しい。
 いままで筆者が見た彼女の作品ではたぶん一番シンプルなものになっていると思う。
 


 後藤和司「9月のscene」
 8枚組。秋季展とは思えないほどの大作である。
 しかも、色の膨大な積み重ねからなっており、そのレイヤーの複雑さにはため息が出そうだ。左は、近づいて撮った画像。
 後藤さんは札幌在住。 

 トリは、佐々木美枝子「作品A」「作品B」
 今荘さんとともに、創立以来の同人である。

 赤系統を自在に配置した、佐々木さん(札幌)ならではの世界だ。




 ちなみに、来春から同人が一気に4人増えて11人になるとのこと。
 スクープ、というほどのことでもないですが、その4人は、札幌の宇流奈未さん、苫小牧の田村純也さん、札幌の能登智子さん、石狩の宮部美紀さん。
 若手の加入は楽しみだ。今後とも抽象派作家協会が続いていけばおもしろいと思う。 



2013年9月30日(月)~10月5日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)



□公式ブログ http://tyusyouha.blog.fc2.com/

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