2009.3.22
地図も持たないのに、隣県で知らない山道に迷い込んでいた。
いつ果てるとも分からないまま、延々とつづく山道。
福岡とは違うなあ・・と思いながら。
道幅は相変わらず狭いものの、舗装道路に出て林間をしばらく。
頂上付近で開けて、左手の斜面沿いにわずかな棚田。
ん? 池がある。
小さな、田んぼを1枚潰して作ったような池だけど、
もしかしてもしかしたら・・と入らせてもらうことにした。
もの凄いミズカマキリ。
試みにプラケースに集めただけでもこの数。
30個体くらい?
これまた、もの凄いガムシ。
岸辺をガサガサするとぷかぷか何頭も。
これだけでも40個体くらいか。
やはりいました、クロゲンゴロウも。
30個体以上、すくったでしょうか。
4月後半にでもなれば、これにきっとシマゲンゴロウも。
いやいや、それよりも。
それよりも、「あの方」はどうなのかしら?
これだけ大型種の皆様が多く生息するのであれば。
「あの方」がいても可笑しくないんじゃない。
そう思いながら、網を入れていると・・いました。
タダゲン。
つまり、ただの「ゲンゴロウ」。
福岡では絶滅してしまった僕らには幻のゲンゴロウ。
しかも、複数で、「あの方」でじゃなく「あの方たち」で。
巨大すぎて、網の中でゴロンゴロンという感じ。(私的なイメージ)
もう、わが福岡では出会えない感触。
でも、やはり納得。
「こういうところでしか現代では生きていけないんだ」と。
九州の生息地でも、かつてそう実感した思いが再び。
だから、2008年秋の北九州でのタガメ騒動も、
文字通りタガメ騒動以外の何物でもない。
こういうところでしか生きられないようにしてしまったのに、
その生きられない環境でも見たいと思い、そうしてしまう行為は、
彼らには酷い仕打ちの追い討ちでしかない、と思う。
一緒に生きていくことを求めるならば、それが必要ならば、
まずは一緒に生きていける条件を整えることが先だと思う。
彼らを放つのではなく。
たくさんの大型水生昆虫に、久々ギョブレナリンが噴出し、
ワクワクドキドキの1時間弱を味わわせてもらった。
記録用の1個体、あるいは1ペアだけ持ち帰らせていただき、
残りはすべて元の池に、さようなら。