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くぬぎのたろぐ

くぬぎ太郎の日常的視点

大人の甘酒

2007-12-15 15:22:30 | Weblog
私の冬の楽しみに甘酒がある。
冬でもインドア派の私は、外で何か運動をするわけでもなく、
特別体が凍えるようなこともないのだが、
甘酒を飲んでは、暖かい部屋にいてもともと暖まっている体の体温が
ちょっと高くなる感じを楽しんでいる。

甘酒といっても、私の場合は邪道なもので
スーパーで買ってきた酒粕をお湯で溶いて砂糖を混ぜるだけである。
以前は板状の酒粕をお湯に溶くのに苦労していたが
今年の12月11日にザルでこせば簡単なことを発見して、生産性が飛躍的に向上した。
ザルでこして細かくした酒粕を鍋に入れたぬるま湯に混ぜて、
ヘラで軽くかき混ぜながら弱火にかけ、
砂糖と気分によっては少量の蜂蜜を混ぜて出来上がりである。
美味しい甘酒を作るためには、新鮮な酒粕に良い砂糖を使うことが重要で、
何となく酒粕の風味が落ちる気がするので、
あまり沸騰させない方が賢明であろう。

私の甘酒歴は意外と長く、好きになったのは小学校4年生の頃である。
当時は酒屋で親に買ってもらった瓶詰めの甘酒をレンジで暖めて愛飲していたのだが、
その甘酒は米だけで作られたものらしく、自然な甘みが舌に心地よくて毎晩飲んでいた。
だが幸せな日々は続かないもので、
私が好きだった甘酒を扱っていた酒屋が潰れてしまい、
パソコン通信もロクに発達していなかった当時としては
名前も製造メーカーもうろ覚えな甘酒を手に入れるのは不可能に近く、
私は冬のお供を失ってしまった。

以来パック詰めの甘酒や缶詰の甘酒など、いろいろな甘酒を飲んでみたが
不自然な甘みがある甘酒が多くてどうも好きになれず、
毎日でも飲みたい思える甘酒には出会えないでいた。
今考えると子供の頃愛飲していた甘酒も相当に甘かったのかもしれないけれど、
年を経るにつれて、勝手ながら私は甘くない甘酒を求めるようになっていった。
やがて一人暮らしを始めてスーパーを徘徊するようになると、
冬場の店頭に並ぶ酒粕が目に入るようになり、自分で甘酒を作ることを思いつく。

自分で作るので、当然ながら甘さの加減は自由自在で
私は念願の甘くない甘酒を手にすることができた。
米と米麹から作る本当の甘酒もそれはそれで美味しいのだが、
成人して日本酒の味を知ってしまった今となっては
酒粕にほんのりと残る日本酒の香りが病付きになっている。
酒粕には微量のアルコールが残っているのでまさに大人の甘酒なのだ。

でも会社に行っている平日はさすがに毎日作っている余裕もないので、
会社から早く帰った日や休みの日の夜に作って、
眠る前のささやかな幸せを味わっているのである。
あぁ、冬の幸せ。