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五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 『GANTZ -ガンツ- 』36巻 感想

2013年03月21日 | ◆マンガ 感想

『GANTZ -ガンツ- 』36巻 (奥浩哉 先生)

 Gantz_36

 35巻感想はこちら

 私はコミックス派なので連載を追っておりません。

 なので、見当違いのことを書いてしまうこともあるかもしれませんが、

 ご容赦いただけると幸いです

 

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

【終息に向かう戦争】

●間近の勝利に酔いしれる人類

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 ついに、“カタストロフィ”が終わりへと向かう場面。

 敵母船へと転送された加藤たち。

 「ここに来たことには意味がある」と告げる少年により、

 何やら奥へと案内されますが・・・ と始まった36巻。

 

 

 Gantz_36_p025_2

 ついに、答えが出る!?

 途中、人間側の非道と、それに対する加藤たちの怒りが描かれつつも、

 GANTZという存在に対する答えが明らかになるという展開に、期待が高まります。

 

 

 

【真理の部屋】

●語られる真実とは?

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 案内され、転送された行く先は・・・

 謎の人型が2体立っている部屋=「真理の部屋」。

 不可解な状況に、奇妙な感覚がわきあがる場面。

 ですが、各国からやってきた人々が、この謎の存在に次々に質問をぶつけ、

 回答を得ているのを見ると、どうも敵ではないらしい。

 そこでさっそく、加藤&玄野も核心に迫る質問をぶつけることに・・・

 

 

 

●何のために、なぜ闘わされてきたのか?

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 全ての答えが、今ここに!

 いや~、ずいぶんとあっさりしていましたね。

 内容については、今までの状況や情報から推測できるもので、

 巨人軍団に対抗するための勢力育成が目的だったということでした。

 

 まあ、巨人軍団襲来が「カタストロフィ」として時間設定されていたことを考えれば、

 だいたいの察しはつくのですが、何と言うか、そのまんまといった感じでしたね。

 ただ、予想とは違っていたのは、あのゲームのようなやり方は

 GANTZをもたらした存在のアイデアではなく、人間が創り出したものという点で、

 このあたり、人間のイヤらしさを感じさせる要素になっています。

 

 他にも、様々な質問への回答がありつつ、

 最後は、人類がGANTZをもたらした存在への感謝の念を伝える場面に。

 感激する人間たちの姿が、まるで神にすがりつくかのように見えるシーンでしたが・・・

 

 

 

●「神などいない」

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 GANTZをもたらした存在から告げられたのは、強烈な一言。

 人類を救うつもりなどなく、むしろその傲慢さをなじるような言葉に凍りつく一同。

 そしてとどめとなったのは、「神などというものは存在しない」という言葉でした。

 これには世界各国の、おそらく信仰をもった人々が嘆き悲しんでいます。

 「真理」として告げられた衝撃は、計り知れないものでしょうね・・・

 

 しかしそうなると、ぬらりひょんが言わんとしていたことって何なのでしょうね?

 なぜ自分たちは戦うのか? という加藤に質問に、ぬらりは神うんぬんと答えていました。

 なので私は、「神」もしくはそれを気取った存在によって戦わされている、

 といったことを言いたかったのではないか? と考えていたのですが、

 むしろ「神」気取りの存在から、「神などいない」という発言が出てしまいましたねえ。

 

 少なくともGANTZの世界では、「神はいない」ということが真理として語られました。

 これがどのような意味を持つのか?

 というと、大いなる絶望と、人類の孤独とが明示されたことになります。

 この世界に救いなどなく、人間はただ生きて死すべきものである、それだけということ。

 それが真理であると決定したことは、とてつもない絶望感を人類にもたらし、

 その活力を奪い、モラルすら危うくしてしまうおそれがあるでしょう。

 

 まあ、彼らの言葉にもけっこう矛盾があったりして、

 本当に真理を語っているのかどうかあやしい部分もあるのですが、

 とりあえず人知を超えた科学力をもった存在が言っていることとして、影響は大きそうです。

 

 

 

●「人間の命はチリやゴミと変わらない」

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 人間はチリと同じ、ただの物質でしかない。

 そう語るGANTZをもたらした存在。(この時の顔がホーキング博士だったのは意味深い)

 対して加藤は、「人間には感情がある」と言い返していますが、

 それすらも彼らにとっては無意味らしく、一蹴されてしまいます。

 

 人間はただの物質であり、何の価値も意味もないと決定づけられる絶望。

 そうしたものが場を覆いますが、玄野や加藤は雄々しく反論。

 ところがそれさえも、GANTZをもたらした存在の激烈な「説教」によって、

 もろくも崩れ去ってしまいました・・・ ってゆーか、ここまですることぁないだろうに。

 その結果、あえなく玄野2号も、彼らの言葉を証明するようにチリとなってしまうとは・・・

 ただ彼の場合、死んだ人の元へ行きたいという想いが感じられて、より切なかったですね。

 

 「魂」の行く先については、あの世の存在がないことを示していて、

 輪廻転生の考え方に基づいているのは興味深いですね。

 これも、ある種の絶望感をもたらすものではありますから・・・

 

 それにしても、セバスチャンもあちら側の存在だったことが明らかとなりましたが、

 彼のやったことって人間側からしてみたら、とんでもなく非道なことでしたよねえ。

 あれ、何の意味があったのよ? と問い詰めたくもなりますよ。

 それこそ人間をゴミのように扱って、傲慢そのものじゃないですか。

 人間の傲慢をなじりながら、自分たちも傲慢にふるまうその姿勢、

 決して理性的とは言えないものだと思うんですけどね・・・

 

 

 

【最後の戦い】

 Gantz_36_p153

 一方、地上で戦いの経緯を見守る玄野(1号)とタエ。

 終結が近い戦争は個人戦となっていますが、人類側のお遊び感覚により、

 なんとも一方的なゲームのごとき勝負に・・・

 

 余裕を見せる人類側、喝采を送る観衆。

 いつかの巨人たちによる、人間を見世物にした場面のように、

 今度は人間側が巨人の殺戮を見世物にしているのは、

 双方ともに同じようなものだということを示していますね~。

 

 そして、玄野がタエに、自分がどのような存在であるのかを語っているシーン。

 自分自身が使い捨てにされてきた命=ちっぽけな存在ではあると述べつつも、

 それでも、ちゃんと生きているとハッキリ告げているのは、

 チリやゴミと断定された人間について、意味深いものを感じずにはいられませんでした。

 

 

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 いよいよ、最後の戦いか・・・?

 軍神イヴァ・  グーンドの出番となった個人戦。

 対するは、連戦連勝中なアメリカ・メンバーの男でしたが・・・

 

 グーンドは、ここから玄野との勝負に持ち込もうとするのでしょうか。

 はたして、どのような結末を迎えることになるのか。

 一通りGANTZの謎は明らかにされ、GANTZをもたらした存在の干渉もなくなった今、

 これから展開は、今一つ緊張感を欠いたようにも感じてしまうのですが、さて・・・?

 

 正直言いますと、あれだけハッキリと答えが得られてしまうと、

 なんとなく拍子抜けな印象も受けてしまうんですよね。

 『GANTZ -ガンツ- 』の魅力は、意味不明で不条理なところにありましたから。

 ただ、この巻で描かれてきたことは、おそらく人間という存在の小ささ、

 その絶望感を演出するために必要なものだったと、私は考えています。

 ゆえに、その絶望感をどのように乗り越えてゆくのか。

 いろいろ語りたいことはありますが、今後も楽しみです!

 

完結の37巻感想はこちら

 

 


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