五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ ヤングキングアワーズ 感想

2015年02月05日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

2015年3月号

 

 今月の『ナポレオン -覇道進撃-』感想はこちら
 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 表紙は、劇場版アニメも公開中の『蒼き鋼のアルペジオ』
 潜水艦「イ401」をバックに、イオナと群像が向かい合った姿が、
 凛々しく映えます。
 
 

 『ますらお 秘本義経記』 (北崎拓 先生)

 那須与一、その過去・・・

 意外だったのは「与一」の名を持つのが、1人の少女であったこと。
 馬を駆り、弓を射ようとする彼女は、「捨丸」という少年と出会います。
 片目の色が違う捨丸は、与一の“弟”となり、弓の才を見せつけることに・・・

 といった風に、与一の過去が描かれた今回でしたけど、
 この捨丸こそが、前回登場した後の与一であることを考えますと、
 「与一」と捨丸の日々は、穏やかには終わらないのでしょうねえ。
 2人の関係、そして与一の弓、諸々が気になる展開でありました。

 

 『ガーゴイル』 (冲方丁 先生/近藤るるる 先生)

 前回、新撰組をめぐる「縁」について語られましたが・・・

 今回、本物の近藤勇が命を落とした池田屋事件の一幕が描かれていました。
 土方の到着を待たず、先陣を切って踏み込んだというあたりは、史実通り。
 しかし、その後の展開は、近藤勇の死という大きな異変。

 取り乱す土方をいさめる「いさみ」。
 ここから近藤勇は入れ替わったようですが、近藤さん自身は
 己の死を予見していたらしく、ますます謎は深まるばかりでしたね~。
 八瀬童子とは違った何者か・・・ まだまだ面白くなりそうです。

 

 『それでも町は廻っている』 (石黒正数 先生)

 夢幻小説の後編! 歩鳥の存在が忘れられた日常・・・

 紺先輩や静さんも、家族ですら歩鳥を知らない世界で、歩鳥の孤独が極まります。
 歩鳥が関わった事象が、すべて書き換わっているということは、
 歩鳥が存在しなかった世界の姿であり、それは何よりも恐ろしく、寂しい。

 また、静さんの雰囲気が違っていて、「門石梅和」の小説がないことが、
 大きな意味をもっていたことに、納得感ありましたね~。
 「門石梅和」は、歩鳥がいなければ、存在しえなかったということですから・・・

 そうした点から、人が人に与える影響の大きさ、かけがえのないピース、
 歯車の1つでも掛け違えれば、まったく違った世界・自分になるということが、
 よ~く感じられた一遍でありました。
 人は存在しているだけで、何らかの影響をふりまいているもの・・・ なのかもです。

 

 『スピリットサークル -円環-』 (水上悟志 先生)

 新たな過去生へ跳ぶフータでしたが・・・

 「平凡で何も成さず、誰とも争わない」 そんな過去生。
 けれど、いつもとは性別が逆で、フータは女性に、コーコは男性になっていて、
 なおかつ“宇宙人”が出てくるのだから、なんだこれ面白い!

 時代設定が今一つよくわからない「昭輪91年」の風景は、現代と変わらないもので、
 そこで出会った“宇宙人”は、神秘というより、まるでコメディチックで可笑しかった。
 しかし、彼らの言語、よ~く見ると解読できそうでしたね、×印を避ければ読めますし。

 なんだか、転生の事情も知ってそうなやりとりでしたので、きちんと読みたいかも。
 「フルトゥナ」うんぬん、「英雄コーコ」うんぬんと、興味深かったですね~。
 でも、最後のフータのセリフには、共感を覚えつつ笑ってしまいました!

 

 『聖骸の魔女』 (田中ほさな 先生)

 「最初の魔女」2人目が覚醒・・・!?

 危地を脱するためとはいえ、2人目を目覚めさせたことは、ニコラにとって受難!
 「聖約」は、男女間の特別な契りであるため、2人の魔女にはさまれて、
 うらやま・・・もとい、大変そうで(^^;

 しかも、さらには浄皇庁の知る所なるや、本格的な窮地に!
 魔女裁判が緊張感あふれてましたけど、ニコラの猊下への信頼は絶大・・・
 と思いきや、おやおや~な展開で、なかなか引き込まれてしまいましたよ!
 にしても、2人の魔女ですでにハーレム状態なのが、うらやま・・・けしからぬ(ぇ

 

 『MUJIN』 (岡田屋鉄蔵 先生)

 コミックス1巻、2月28日発売! そんな今回、父倒れ・・・

 八郎の父上が病に倒れるも、取り乱すのは八郎の方で、父は毅然と
 息子をしかりつけるのだから、その人間の大きさが伝わってくるというもの。
 死を前にして、取り乱さないための心構え、それはこれまでの生き様・・・

 そのようなことを感じる言葉が、どっしりと腹の底にまで響きます。
 父の心を受け、己の情けなさと向き合う八郎も、決して惨めではないですよ。
 父への手向け、そして別れ・・・ 寂しさがありつつも、新たな出発です。

 

 『ラスカル』 (七竈アンノ 先生)

 裏切り者・レイへの処罰へ動き出すアロンソ一党。

 カギを握るのは、ラスカル!
 何も知らぬ風を装い、レイのもとへ侵入することで、人質に取られるという
 そんな展開に、緊張感と同時に、どことなく緩さを感じてしまうのが面白い。

 そして、機転を利かせた策が、痛快でしたね~。
 その後、いかにもマフィアといった雰囲気の内容が、ビシビシ厳しさを感じさせ、
 動揺しつつも目をそむけぬラスカルの覚悟が、頼もしいものでした!

 また、レイもひとかどのリーダーだったんだな~と思わせる
 迫力と覚悟っぷりが、恐ろしくも妙な高揚感を覚えさせてくれましたよ・・・
 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

【コミックス1巻、発売中!】
●超人ロック ラフラール (聖悠紀 先生)

 

 かつて、ラフノールで司祭長となったロック・・・

 帝国宰相ブリアン・ ド・ラージュの要請により、司祭長に就任したロック。
 1度は断ったものの、前任の司祭長が起こした事件をきっかけに、
 承諾したとのことですが・・・

 そうした話を、メルルとしているテト。
 色々とラフノールに起きた出来事について、わかり始めてきましたが、
 主席司祭補に、あの人物が収まっていたことは、大きな意味がありそうです。

 テトを取り巻く人々、その思惑とはいったい何なのでしょうね。
 私は、ラフノールの物語を存じ上げないため、どのあたりが繋がっていて、
 そうではないのか、よくわからないのですが・・・

 そして、テトに秘められた何か。
 ジェフへ向けそうになった憎しみは、その何かを解放してしまう恐れがある?

 超能力を使えないことに対する劣等感を持ちつつも、
 自分をコントロールすることの大切さを学ぶ少年という図は、
 なかなか良さげでしたが、ジェフの参加がどう影響してくるか、少し不安かも。

 ラフノールで起きた事件。
 それが、テトたちとどう関わって来るのか・・・ そして、ロックは?
 まだまだ謎が多いですけど、今後も楽しみです!
 
 

 
 

【最終回!】
●清々と (谷川史子 先生)

 

 「乙女たちの物語・・・ クライマックス!!」

 ということで、最終回を迎えた本作品。
 最後は、清さんとみやびさんの関係、そして本八幡先生への恋心、
 それぞれに、ひとまずのケジメをつけてのシメとなりました・・・

 卒業式をひかえ、これまでの時間に想いを馳せる清さんとみやびさん。
 みやびさんの気持ちが、清さんに向いていることは、
 すでに清さんも知る所でしたけど、屈託なく「ともだち」であることを感謝し、
 そのことを伝える場面が、とても清らかで優しくて、素敵でしたね。

 「人の気持ちを考えること」や「大切に思ってもらえる嬉しさ」を
 知ることができたのは、みやびさんのおかげだという言葉に、じんわり。

 そして、ここでみやびさんが、本八幡先生のもとへ、
 清さんを送り出していたことは、大きな意味がありますよね。

 彼女は清さんが好きだから、本八幡先生へ清さんが近づくことを
 あまり良くは思っていないはずなのですが、それでも送り出すのは、
 清さんのためだという、真心ゆえでしょうからね・・・
 そうした思いが伝わってきましたよ。

  

  

 

 そして、卒業・・・

 バラ園にて、真正面から本八幡先生を見つめる清さん。
 そこで、先生もまた悩んでいたことがわかって、その悩みを
 清さんがいたから乗り越えられてきたなんて、感謝されていました。

 「恩人」ということなのでしょうが、立場をわきまえたギリギリの言葉は、
 ほとんど告白めいていて、でも、そうとは言わないあたり、
 なかなかどうして、もどかしくも清々しいものでした。

 先生だって、清さんの気持ちには気づいていたはず・・・
 だからこその言葉だったのかな、とも思いますが、
 それでも、いつも通りのやりとりになっていて、それ以上踏み込まない2人が、
 とても素晴らしく感じられました。

 
 なんて素敵なやりとりだろう・・・ と思わされつつ、
 2人の再会と笑顔が、朗らかな最終回。

 清さんは、教師と生徒という立場でわきまえていたからこそ、
 こうしたカタチで再会しに来たということなのでしょうね~。
 もう、たまらなかったですよ!

 本作は、名門女子校を舞台に、
 様々な少女たち(大人の女性もいましたが)の思いが描かれてきましたが、
 その1つ1つが、丁寧かつ繊細、そして清らかな物語であり、
 タイトル通り「清」を感じさせる透明感が、何より心地よい作品でありました。

 コミックス最終3巻は、今春発売とのこと。
 楽しませていただきましたー!
 
 

 
 

【読み切りシリーズ】
●虹の雫 雨の町 (鈴木小波 先生)

 

 雨が降り続ける町、その理由は・・・?

 年中、雨が降っている天晴町。
 そこに住む幼なじみの男女、虹くんと雫さん。
 そんな2人のうち雫さんは、雨が降る原因に関わっているらしく・・・

 雨の中、登校する2人のやりとりが、愉快だったりもしましたが、
 実は雫さんの気分が、天気を左右してしまうらしく、
 彼女が笑えば雨は小降りとなり、モヤモヤすれば雨が強まるという
 そんな状況が、なかなか面白かったり(^^;

 虹くんが雫さんを気に掛けるのは、子供の頃、雫さんを泣かせたことで、
 雨が降り続けるようになったと考えているためで、だからこそ雫さんを
 笑顔にしておきたいということだったのですが、そこで問題が起きてしまい・・・

 といった展開が、ラブコメ調で楽しめました。
 まあしかし、雨が降り続ける原因に、大きな勘違いがあったと判明する終盤。
 それが、まさに天晴な雰囲気で、スッキリ感ありましたね~。
 なるほど、そーゆーわけだったのかと、腑に落ちる感覚がよかったです。
 面白かった!