観・環・感

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岸壁の母に思う

2013年08月03日 | 旅・風景・グルメ






羽咋郡志賀町富来領家町にある、道の駅「とぎ海街道」に立ち寄り、「世界一長いベンチ」と「岸壁の母」石碑などを見た。
岸壁の母については、ソ連ナホトカ港からの引揚船が入港する度に舞鶴の岸壁に立つ母をモデルにした流行歌や映画を知っているが、どうして碑が
この場所にあるのだろうか。
「岸壁の母」のモデルとなった方は、「端野いせ」という女性で、1899年(明治32年、石川県羽咋郡富来町(現在の志賀町)に生まれたので、
ここに石碑が建っているのだ。
今日、この写真を見ていて7月29日の麻生副総理のとんでも発言を思い出した。櫻井よしこが理事長を務める「公益財団法人 国家基本問題研究所」
の講演会における発言は、朝日新聞デジタルのこの 麻生副総理の憲法改正
をめぐる発言の詳細
に掲載されている。
麻生大臣の「ある日気づいたらワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。あの手口に学んだらどうかね」という発言を取り上げてみたい。
「ヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。
全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。」という彼の発言は、そのまま、
「日本国民は自民党を選挙で選び、そして安倍晋太郎を首相としているのですよ、間違わないでください。」ということになる。
次に「ワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。」という発言を、「日本国憲法という当時アジアで
もっとも進んだ憲法下にあって安倍晋太郎は出てきた。」に置き換えると非常に恐い文章になる。
最後に「しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。」という発言は、日本国民全員が憲法改正について大いに議論して
決めるのではなく、国民に選ばれた国会議員の多数決で粛々と改正すればいい。」という趣旨になる。
ナチス誕生時のドイツは、第一次世界大戦の敗戦によって多額の賠償金を支払う羽目になり、経済は停滞し国民は疲弊していた。そこへ強い国家を標榜する
ヒトラーが登場。国民の圧倒的な人気を得て政権を掌握。このナチスに立ち向かったのは共産党だけという状況だった。
一方、日本は長いデフレ不況で閉塞気分になっていた国民がアベノミクスというネーミングの幻に引き付けられ、あまりにも不甲斐ない民主党のせいもあり、
先の衆院選、参院選で自民党を大勝させた。ナチス誕生時の状況を今の日本の状況に例えるのは不適当とは思うが、安倍政権を真っ向から批判しているのは
社民党と共産党くらいという点は似ている。
ところで、ドイツの閣僚が憲法改正に対してこのような発言をすれば、即時辞任そして首相も責任を問われるだろう。(話は変わるが、ドイツは憲法を幾度と
なく改正している。国民投票はないが両院の3分の2以上の賛成を必要としているし、両議会で十分議論をした上で可決されている。)
今回の発言だが、舌禍事案の多い麻生大臣の不適切というより、日本国の大臣として国会議員として不適格な発言は、単に口が滑ってしまって発言しただけの事
なのだろうか。そうではなく、彼の本音というか、今の自民党執行部=日本の支配者層の思っている事を語ったのだろう。それをタカ派のシンクタンクいわば身内の
集まりの場だったので、当然、共通認識として理解が得られるだろうと思い、発言したのだろう。
この発言に対し、例えられたドイツをはじめ諸外国から大い批判が出てくるのは当然だろう。ドイツをはじめとする今日の民主国家は、ナチスの反省の元にできた
ものなのだ。
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