観・環・感

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中流層の陥没

2006年11月12日 | 日記
先週の読売新聞「論点」に越智道雄明治大学教授の「米中間選挙」の記事が載っていた。
記事の一部を紹介すると
「自国のデモクラシーの健全さを世界に誇ってきたアメリカ国民だが、進化論を真っ向から否定する、時代錯誤のキリスト教右派に押し立てられたレーガン政権のころから、国民の間で迷走が始まった。
その蒙昧化とも言える減少は、アウトソーシングで失業した国内中流層の陥没によって、アメリカが異様な格差社会に変貌したことに、大きな原因がある。
グローバリズムによってアメリカの資本主義は、富の大半をトップ5%の富裕層に集中させ、アメリカン・デモクラシーの中核を担った中流層を、下層化してはばからない」」非愛国的な資本主義」に変質した。”
日本も官民問わず、事業のアウトソーシングが進み、雇用形態も「請負」、「派遣」でずたずたになり、まさにアメリカの轍を踏もうとしている。
さらに、経団連が強力に打ち出し、政府が取り入れようとしている日本版ホワイトカラーエグゼンプション(ホワイトカラー労働時間規制撤廃制度)が取り入れられると、日本の格差社会化はさらに拍車がかかることになるだろう。
この制度は、いわゆるホワイトカラー労働者の労働時間規制を免除(exempt)するということだが、私流に要約すると、ホワイトカラーのサラリーマンは、全員、勤務時間の裁量生が高く、勤務時間の長さと成果が工場労働者のようにはっきり比例しない。職場でずっとデスクワークをしたとしても、本当に働いているのかどうか分からない、だから、勤務時間内に仕事を完了させられないのは本人のせいだから、ただで残業するのは当然であるという制度。今まで経営者は、違法なサービス残業にビクビクしていたが、これが合法となるのである。
この制度だと、労働時間は経営者の管理対象でなくなるので、従業員が過労死ししても従業員の自己責任だとされ、労働災害にも問われなくなる事例が多くなると思われる。
影響を受けるのは、年収が一定以上の正社員だけに限らず、パートやアルバイトにも影響がある。 今までアルバイトなどにさせていた仕事を、残業代なしで労働時間規制適用除外対象者にさせ、アルバイトなどを解雇するということになるからだ。
最新の情報によると”11月10日、厚生労働省は「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」の対象者要件も「労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事」「年収が相当程度高い人」などと明記を避け、今後の労使協議に委ねた”ようだが、この法案が一度可決されると改悪に改悪を重ね 、結局、全労働者に適用されるようになるかも知れない。