観・環・感

野鳥観察や旅行、映画などの趣味と日常生活や世の中の状況について、
感じる事を書いています。

聖カテリーナ修道院

2006年06月03日 | 映画・テレビ
NHKスペシャル「千年の帝国ビザンチン」を見た。
ビザンチン帝国は、東西に2分されたローマ帝国の東半分の帝国で東ローマ帝国(395~1453)の別名。6世紀のユスチニアヌス大帝のときに,イタリア、北アフリカに勢力を伸ばし、ローマ帝国の旧領をほぼ回復。イスラム軍や十字軍に攻められ国力が衰え、1453年オスマン・トルコに滅ぼされたギリシャ正教の帝国である。
番組のテーマは、キリスト教とイスラム教の共存である。ハイライトは、アフリカ大陸とアラビア半島に囲まれたシナイ半島のシナイ山の麓にある聖カテリーナ修道院である。ここは、世界遺産(2002年登録)になっている
この修道院は、6世紀に建造され、現在も活動を続けている修道院としては世界最古の修道院である。神がモーセの前に現れた「燃える柴」があるのがこの場所とされている。
モーセ(モーゼ)は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3宗教が神の預言者と認めている人物であり、紀元前13世紀から12世紀頃の人とされている。(当時120歳まで生きたとされており、実在の人物かどうかは定かでない)私にとってモーセと言えば、チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナー出演の映画「十戒」だがここでは言及しない。
この修道院が立つ位置は、聖地でもあるとは言え、場所が場所だけにキリスト教徒とイスラム教徒とのせめぎ合いの地である。
この修道院が、今日まで存在し、活動している謎を披露し、また、現在のキリスト教とイスラム教の対立の構図を非難している。番組の中では、ここの修道士が過去の十字軍の活動(修道院はエルサレム攻略のための立ち寄り先として使われた。)を非難していたが、現在のイラク戦争にも通じる話である。
ところで、この修道院にはかってムハンマド(マホメット)が立ち寄り、歓待を受けた。そのためにここには、後生この修道院を侵略しないようにという趣旨の署名入りの勅令(歴史家は疑っているが、修道院側は本物と信じている)がある。また、修道院の中にイスラム教徒のためのモスクもあり、実際多くのイスラム教徒が祈りを捧げている。
現在の院長は薬剤師でもあるので、自ら車を運転し、修道院周辺の人々の健康相談等を行っている。さらに、教会の儀式に使う大事なパンも週に1回ギリシャ正教徒とイスラム教徒が一緒になって作っている。これが、修道院がこの地で現在も活動を続けている姿である。