散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

吉本隆明の詩めぐって~斎藤誠教授とのTwitter上でのやりとり~

2012年03月20日 | 吉本隆明
吉本隆明氏への追悼を書いたあと、斉藤教授の追悼をTwitter上で読んだ。吉本が引用している芥川龍之介の詩を引用しており、筆者が引用した詩「佃渡し」と響き合うものを感じた。高名な方に反応するのも、とも思ったが、返信したところ、やりとりを頂けた。深謝!

斉藤教授の「競争の作法」は大竹英雄・阪大教授の書評を介して読んでいた。慣れない経済学の本で、どこまで理解できたのか、甚だ心許ない限りではあるが、経済学的思考の一端を少しは理解できたと思っている。また、「原発危機の経済学」はネットに公開されている「はしがき」等を読み、その問題意識の深さ、的確さに認識を新たにさせられた。

吉本隆明氏の詩をめぐる斉藤教授とのやりとりは以下のようになる。
斉藤教授
追悼というわけでもないが、大学帰りがけ本屋で吉本の文庫本『真贋』を買って読んだ。少し驚いた。こんなにしなやかな文章に。あとがきの最後に芥川の詩を引いている。

  汝と住むべくは下町の
  水どろは青き溝づたひ
  汝が洗場の往き来には
  昼もなきつる蚊を聞かん
  合掌
筆者
このしなやかさが吉本隆明の特長だと思います。詩の「佃渡しで」がいいですね。
斉藤教授
学生時代に読んだ吉本があまりに自分の理解を超えていたので、ずっと敬遠していたのですが、この機会にじっくりと読んでみようかと思っています。
筆者
朝の返信は通勤電車の中で慌てて書きました。芥川の詩は随分昔に読んだ吉本の芥川論に書かれていた、あの詩だ、と直感したからです。その時、芥川のイメージが変わりました。
小生の吉本追悼はこちらです。
斉藤教授
確かに、吉本の「芥川龍之介の死」で引いていた芥川の詩です。「佃渡しで」、なかなかいいですね。自分は頭が決して性能のよくない散文構造で、それもかなり苦しむ方なので、詩人が切り取った、もしかすると、通り過ぎてしまうような風景の表現に、憧れをもっています。

このやりとりをここで書いた理由は、斉藤教授の詩的感受性の源泉を表現しているように感じたからだ。それは、「つぶやき」の短い文面にも、先の新書版の著作にも自ずと表れている。更に、以前の「つぶやき」を当たってみると、吉本に関する的確な発言がある。
吉本死去を伝える共同英文電に、
He reportedly continued to be supportive of reactors due to his belief in the progress of science.将来に向かって影響を残す彼の言葉の一つになるかも。
松岡正剛千夜千冊1458夜には、昨年8月5日・日経の吉本隆明談話のコピーがあるが、復興や原発について本当に真っ当な発言をしている。技術者で詩人であった吉本の真骨頂でないか。朝日で吉本隆明の経済学(?)を語っていた中沢を含めて反原発論者の面々は、吉本との距離感をどうとるのだろうか。

             
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 吉本隆明氏を追悼する~都市... | トップ | 政治問題と社会問題の区別-政... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

吉本隆明」カテゴリの最新記事