散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

世界人口のメガトレンド~先進国の衰退と途上国の台頭

2015年03月17日 | 先進諸国
超高齢化・少子化のなかで、日本の人口は著しく衰退し、中でも地方の一部は消滅するとのレポートが、地方創生のバラマキ予算の発想に繋がって、来年度予算に反映することになった。しかし、それは先進諸国共通の危機でもある。

世界人口の動向も、表題の報告が「フォーリン・アフェアーズ・リポート 2010/11号」『世界を変える四つの人口メガトレンズ』に一部が掲載されている。
 (ジャック・A・ゴールドストーン(ジョージ・メイソン大学・政治学教授)

「概要」は以下である。これが世界の成行きなのだ。
21世紀の新しい現実は、世界のどの地域で人口が減少し、どこで増大するのか、どの国で高齢者が多くなり、どの国で若者が多くなるか、世界の人口動態の変化が、国境を越えた人の移動に与える影響で左右される。

欧米を中心とする先進国は人口面でも経済面でも衰退し、世界経済の拡大はブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、トルコ等の新興途上国の経済成長によって刺激される。

しかも、若者の多い途上国から労働力不足の先進国へと大きな人の流れが必然的に起きるし、一方で、経済基盤の脆弱な途上国の若年人口が世界で大きな混乱を作り出す恐れもある。必要なのは、こうした21世紀の新しい現実に備えたグローバル構造の構築を今から始めることだ。

次に部分公開された「世界経済に占める欧米の比重は低下」を紹介する。
18世紀初頭、世界人口の20%は(ロシアを含む)欧州で暮らしていた。産業革命の到来とともに欧州人口は増大し、一方で、欧州からアメリカ大陸への移民の流れも生じた。第一次世界大戦前夜までには、欧州人口は4倍以上に増えていた。1913年当時の欧州人口は中国よりも大きく、欧州および北米の旧欧州植民地国に世界の総人口の33%が暮らしていた。

だが、このトレンドも第一次世界大戦後に医療技術と公衆衛生概念が貧困国へと広がりをみせ、変化する。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの人々の寿命が延び、出生率も基本的に上昇し、低下した場合でも、穏やかに止まった。2003年までに、欧米加の総人口が世界人口に占める比率は17%へと低下した。

2050年までに、この比率は、1700年当時よりも少ない世界人口の12%規模へと低下する(この予測は、途上国の出生率は低下、先進国では上昇と仮定する国連の「中位推計」を基にしているが、現実を過小評価している。先進国の出生率が上昇する根拠はない)。

人口に加えて所得の変化を考慮すれば、欧米の相対的衰退はもっと際だってくる。産業革命はヨーロッパの人口を増大させただけでなく、経済的に豊かにし、一人当たり所得も大幅に上昇した。

経済史家のアンガス・マディソンによれば、19世紀初頭には米欧加経済が世界の国内総生産(GDP)合計の32%を生産するようになり、1950年までには、その比率は(購買力平価でみると)実に68%に達していた。

だが、いまやこのトレンドは大きく覆されつつある。
1950年には68%だった米欧加経済が世界の経済生産に占める比率は2003年には47%へと低下し、今後さらに急速に低下していくだろう。

2003-2050年の米欧加における一人当たり所得の伸び率が1973-2003年と同様に、年1.68%で推移するとしても、世界の他の地域の所得における伸び率が年平均で2.47%だとすればどうなるだろうか。

米欧加経済のGDPは2倍に増えるだけだが、世界の他の地域のGDPは5倍に拡大する。この場合、2050年の米欧加経済が世界のGDPに占める比率は30%を下回ることになり、1820年当時以下の比率へと落ち込む。

つまり、2030-2050年におけるGDP成長の約80%は、欧米加の外側の世界で起きることになる。21世紀の半ばまでには、車、家電などの耐久消費財の多くを購入するのは、現在の途上国の中産階級層になるはずだ。

世界銀行の予測によれば、途上国の中産階級の規模は2030年までに対2005年比で200%増の12億人規模に達する。これは、途上国の中産階級層の人口が、アメリカ、ヨーロッパ、日本を合わせた総人口よりも大きくなることを意味する。

当然、今後の世界経済の拡大は、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、トルコ等の新興国家の経済成長によって刺激されると考えるべきだろう。

      
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