今回日本滞在中に、じっくりと読みたいと思っていたナオミ・ウルフ。「性体験」は、彼女が自分の子ども時代から、同じ世代の女性たちがどうセクシャリティと向き合ってきたかを書いている本。
筆者が投げかける、難しすぎる哲学的問いは、
「わたしたちはどうやって少女から大人になったのだろう?」
↓大勢の子どもたちにもまれて遊ぶ子ども・・・いつ少年になるんだろう?
ナオミ・ウルフは、この難しすぎる問いに回答するために、幼い時から30歳ごろまでの経験を、記憶をたどりながら、少女時代の友人たちとの再会と対話を通じて分析。
確かに、自分はいつの間に大人のオンナになったのだろう?
そもそも、わたしは大人のオンナなのだろうか?
オトナのオンナであるための最低基準なんて、あるんだろうか?
↓お寿司を食べるのは、大人って印象があったけれど・・・・・
この本は、正直、いまいちだった。
女性のセクシャリティが抑圧されている過去を、資料や実例から分析しているのだけれど、資料分析がどうも浅いしナオミ・ウルフの都合のいいように解釈されている印象があるのだ。たとえば、キリスト教では女性の性欲が男性の性欲よりも強いから国家は女性の性を厳しく抑圧しなければならないっていう歴史がある一方で(これは事実)、中国では女性の性欲を満たすことが男性の義務となっていて、女性の意に反した性行為は厳しく禁じられているとか、ほんとか?って思ってしまう対比があったり。
加えて、今回はとりあえず日本語版で読んだからかもしれないけれど、セクシャリティっていう単語がいろんなコンテクストで使われているので、ちょっとわかりにくい・・・・「性体験」が書かれたのが1997年なので、その当時にセクシャリティっていう単語がどう理解されていたのかちょっと不明なのである。
ただ、少女はいつ大人のオンナになるのか、っていう問いは面白いテーマなので、学生たちと議論してみようと思ったのである。