ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

年の瀬に・・・・2008年の手帳から

2008年12月30日 | 女性の自立





年の瀬に、お気に入りのFilofaxの手帳に一年書き留めたメモを読み返しました。
その中から、今のわたしにとって一番印象に残っている文章をキャサリン・グラハムの自伝「わが人生」から引用します。


「わが人生」については→http://www.amazon.com/Personal-History-Katharine-Graham/dp/0375701044


メディア業界で成功した大富豪の家庭に生まれたキャサリン・グラハムは、アメリカのジャーナリズムの発展に多大な貢献をした優秀なキャリアウーマンかつとても魅力的な女性。他方、恋愛結婚した夫は若い女性と不倫してさらに精神を病み自殺してしまい、キャサリンは仕事の成功とは対照的に苦渋に満ちた私生活を送りました。



"We had been brought up to believe that our roles were to be wives and mothers, educated to think that we were put on earth to make men happy and comfortable and to do the same for our children (わたしたちの役割は妻になり母となることだと信じさせられて育ち、男性が幸せで快適に過ごせるために自分たちは生まれてきたのだと教育を受けた。そして、子どもたちにも同様に接するようにと。)" 

Personal History, Catherine Graham, 1998, VIntage books






多くの女性は、キャサリンのような「気づき」のないまま、与えられたジェンダー規範を内在化して一生を終えます。仮に気づく機会があったとしても、その状況を変える勇気のある女性はほんの一握り。

自分にどんな可能性があるのか、人生で何を成し遂げたいのか、一人でも多くのカンボジア女性に気づいてもらえるよう来年もがんばりたいと思います。キャサリンがぐっと踏みとどまったように、つらいことにも折り合いをつけて前向きに対処し、信念を貫ける女性になりたいです。




年の瀬に・・・・結婚しちゃったのねぇ

2008年12月30日 | 女性の自立


長年、遊び仲間だった友達が12月28日に結婚しました。今は結婚ラッシュの時期。プノンペン市内のいたるところで毎日結婚式が開催されています。





カンボジアでは夫が妻の家庭に入って、新婚生活は妻方の両親といっしょに開始するのが一般的です。他方、この友人は、結婚式の前からすでに妻の両親といっしょに生活し、結婚式の後はしばらく夫側の両親といっしょに生活、そのあとに二人で独立の家で生活するそうです。ちなみにこの友人、家も四輪駆動車もお父様からのプレゼント。プチブル的かつモダンなカップルといえます。






女性は結婚すると友達と遊びに行く回数が減ってしまいますが、男性は独身時代と同様に遊び出ても平気です。独身/遊び仲間がまた一人減るのは残念な気もしますが、長く独身を通した結果、それでも結婚する勇気が出た友人は尊敬してしまいます。






伝統的な「クメール人男性」である友人は、結婚後は妻が家事全てを担当するそう。ジェンダー専門家の友達とは思えない頼もしさです。




ゴージャスのこと その2

2008年12月29日 | みゃんこ





ごーじゃすは、我家で一番ゴージャスなにゃんこ。ずっと男の子だと信じていたら、2週間ほど前、突然女の子だったことに気づいて大ショック。


友人からもらった男の子の「おおたけくん」と同じサイズなので、「妊娠したら大変!」とあわてて不妊手術に動物のお医者さんに連れて行きました。



おおたけくん


これまですでに6匹お世話になっている先生は、リン・パク先生。オスの去勢は20USドル(2000円程度)、メスの手術は35ドル(3500円程度)です。


重さをはかってから、麻酔の量を決めます。ごーじゃすは体重2,5キロ。



手術は無事終わりましたが、すぐに元気になったおおたけくんと違って、ごーじゃすはとっても痛そう。




お魚がたくさん泳いでいるベッドカバーで元気を出してもらおうと思っています。早く元気になってもらって、これまで同様に他の素敵な男性にゃんこ4名を楽しませてもらえるようになってほしいです。





いつまでやるの?カンボジアの歯医者さん

2008年12月28日 | カンボジアの生活


歯の詰め物がとれたので、歯医者さんに通ってすでに2ヶ月半。
ソックチア歯科医院のモック・ピルン先生にお世話になっています。http://sokcheaclinic.com.kh/


わたしの担当だったソック・チア院長は日本で研修を受けたベテランで、10月以降イタリア研修・韓国研修に出る大忙しの先生。治療中に携帯電話にも出て夕食の待ち合わせ場所まで相談している多忙ぶり。鼻歌や超たのしい冗談が絶えないので、治療をうけている患者としては「まあ、ベテランなのかなぁ、カンボジア的だなぁ」と頼もしく思っていました。




写真はピルン先生と助手


ソック・チア先生が韓国に行ってしまったので、担当は20代後半のピルン先生に交代。ピルン先生は日本で3ヶ月研修を受けたことのある優秀な歯医者さん。冗談など言わず、「クリスマスどう過ごしたの?」「年末どうするの?」などプライベートな質問をばんばんしてくる以外は、とても真面目に治療してくれます。詳細にわたる説明もクメール語に加えて英語でも丁寧にしてくれるので、安心しておまかせできます。

日本と違ってカンボジアの歯医者さんで大変なのは、毎回1時間半から2時間治療に時間がかかること。延々と終わらない治療を受けていると、「何やってんだろう」と不安になることもあります。ただ、治療にかかる費用は、最初に総額を提示されて合意してから治療が始まります。支払いも最終段階で一括払いでOK。その意味では、「まあ、時間がかかっても仕方ないか」と思ってしまいます。

先日ちょっとついでに治療してない歯のレントゲンをとってもらったら、かなり深刻な虫歯が見つかってしまい、順番に治療していたらあと半年くらい治療に時間がかかりそうです。楽しいけれど、時間がかかる歯医者さん通い、来年もまだまだ続きそうです。



Sok Chea 歯科医院

Tel: (855-23) 88 55 95

Mobile: (855-12) 81 81 16, (855-16) 81 81 16

#58-59Eo, Jawaharlal Nehru (215) Phsar Depo II Khan Toul Kork






真面目だからかわいい?ポルノか芸術かの議論

2008年12月27日 | カンボジアのジェンダー規範




12月26日、女性がインターネットを活用するための能力向上を目指している非政府祖組織「OPEN INSTITUTE」主催で、「インターネットと女性に対する暴力」と題するセミナーが実施されました。
OPEN INSTITUE のサイトは→http://www.open.org.kh/en


そのセミナーでは、今カンボジアをにぎわしている話題:「セクシー・アプサラ」をめぐる激しい議論が繰り広げられました。
セクシー・アプサラについては→
http://reahu.net/




観光省副長官モニカ女史は、「クメール女性の尊厳を損ない、許せない!みんなで名誉毀損で訴えよう!」と激しい勢いでサイト主催者を攻撃しました。女性省幹部によると、すでに女性省から通信省に対してこのサイトを閉鎖するように正式な要請省を出したとの由。

偶然、会場でわたしの元上司でありカンボジアではオピニオンリーダーかつカリスマ弁護士のソック・サムウーン氏を見つけたので、こっそりつかまえて意見を聞きました。「自分としては、表現の自由だと言いたいとも思っている。他方、アプサラはクメールの伝統文化であり知的所有権もクメール文化にある。その観点からは、こういった芸術は許されないしサイトは閉鎖されるべき。」と、相変わらずなのですが、とても弁護士とは思えない発言でした。


写真左から、Open institute代表マナビー女史、女性省シー・デフィン副大臣、CDP代表ソック・サム・ウーン氏

カンボジア国民は、外国文化に対して許容力もあり、新しいものには飛びついていく国民性。他方、時には信じられないくらい閉鎖的になって外国文化を攻撃することもあります。「名誉毀損だ!」って大騒ぎした結果何がおこったかというと、この「セクシー・アプサラ」の知名度が上がっただけ。「こんなものくらいでクメールの伝統は損なわれない」って割り切って無視してほしいものです。





国連女性差別撤廃条約と国会議員

2008年12月26日 | 女性の自立
国連女性差別撤廃条約は、世界185ヶ国が批准している国際条約。女性の権利擁護と女性の地位向上を前面に打ち出した画期的な条約で、カンボジアは1992年に批准、日本も1982年に批准しています。

国連女性差別撤廃条約については http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/


この条約をカンボジアの国会議員にもより理解してもらうため、国連女性基金(UNIFEM)が12月19日カンボジア国会にてセミナーを開催しました。参加者の多くは男性国会議員でした。
カンボジア国会のHPは→
http://www.cambodia.gov.kh/unisql1/egov/english/organ.assembly.html


写真は、開会の辞を述べる国会第一副議長

印象的だったのは「女性と社会福祉などを担当する第8委員会」副委員長の発言。彼は「国連女性差別撤廃条約は、国際法である。国際的には女性差別は問題かもしれないが、カンボジアでは女性は差別されてこなかったため、他の国といっしょにされては困る」とまず断言し、女性が社会進出してきた歴史を、数えられる限り挙げてスピーチされました。裏情報では、彼は自分でスピーチ原稿を準備したそうで、悲しすぎるくらいセミナーの主題から外れる内容でした。男性が女性の権利について話す機会を与えられると、ついつい「女性は差別されてない」という点を強調したがるのは、世界共通のようです。






現在、カンボジア女性評議会(Cambodia National Council For Women, CNCW) が中心になって、2009年に国連女性差別撤廃条約委員会に提出する政府報告書の作成が進められています。国会でも、すでにある法律で女性差別を含む法律の見直しなどが進んでくれればいいと思います。






芸術かポルノか:真面目な議論?

2008年12月24日 | カンボジアのジェンダー規範



アメリカに住むカンボジア人の芸術家たちが、コンピューターグラフィックを使ってカンボジア女性のセミヌードを描いてネット上で発表していることがカンボジア語の新聞で報道され、カンボジアの女性指導者たちから厳しい反論をうけています。

サイトはこちら→  http://reahu.net/


女性省のある長官に意見を聞いたところ、「絶対許せない、クメール女性の尊厳を傷つけることにつながる!WEBサイトはすぐにアクセス不可能にしてもらうよう、女性省から抗議文を出す準備をしている」とのこと。女性省大臣も、「即刻サイトを閉鎖してもらうように強く申し入れる」と強く主張されています。女性省前大臣であるムー・ソクア国会議員も、「このようなポルノが流出するとレイプが増える」と当地のカンボジアデイリー紙にコメントしています。



他方、Open Institute というインターネットを活用して女性の能力向上などを目的とする活動を展開するNGOの代表チン・マナビー女史に意見を聞いたところ、「表現の自由であり、苦情を申し入れること自体が間違っている」とのこと。彼女はかなり伝統を重視する古いタイプの女性ですが、この点についてはわたしと意見が一致して頼もしい気がしました。

ちなみに、この議論に対する若者の反応は。「ま、いいんじゃなーい」と特にコメントがないみたいです。若者の間では、ハードポルノもすでにかなり出回っているので、この程度の画像では驚かないというかんじでしょうか。

芸術なのかポルノなのか。この程度の露出度で真剣に議論を戦わせるカンボジア人たちは、かわいいなあと思ってしまうのは私だけでしょうか。



女性の自立:スバイリエン農業祭 その3

2008年12月23日 | 女性の自立
スバイリエン出張に行っていつも楽しいのは、米で作ったお酒を男女を問わずにみんなで飲むこと。カンボジアでは女性がアルコールを飲むのはよくないとされていますが、スバイリエン女性はそんなことを気にせず昼からでもくいくい飲んでいます。

農村地域で一般的に生産しているのは透明の米酒ですが、農業祭ではあずき色のついたお酒を発見しました。ペットボトルに入れて販売されています。



スバイリエンが産地で、アンコール・スマッチと呼ばれるあずき色の米があります。
農業大臣も大好きだそうで、このアンコール・スマッチをいつも大量に買い付けていらっしゃるそう。そのお米から作ったお酒が、あずき色のお酒です。





自宅で生産したお酒を、ポリタンクに入れて農業祭会場まで運び、販売する際にはペットボトルに入れます。一本350MLで20円程度。




写真の販売している女性は、「朝からずっと販売してるから、すっかり酔っぱらっちゃったー」と声を上げ、周囲の人も大笑いしていました。

お酒作りは基本的に女性の仕事です。当日は農業祭ということで、夫たちはどこかで飲んでいたのでしょうか、販売も女性が担当していました。