ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

ジェンダー視点を取り入れて成功

2015年11月03日 | Books- Japanese

 

 

日経の連載で、一回だけ読んでとっても関心があった篠原さんの「わたしの履歴書」が本になってたので、さっそく読んでみることに。

↓七顛八起の人生、プライベートの失敗から事業を立ち上げた

女性だけで、女性の強みを生かして事業を経営していたけれど、男性の視点を取り入れて、苦しい時期を乗り越えて事業は成長する。

若い頃、結婚には2回失敗してる。

さらに、スイスに英語留学にいったのはいいけれど、ドイツ語の学校だったっていうのは笑える・・・・山ほど失敗をしているので、どん底から這い上がる強さが身についたのかな。

わたしが日経で読んだ彼女の「履歴書」は、株式の上場についての部分。なぜ印象的だったかというと、東証役員との面接のために必死で準備していって、恥をかかないようにしたのに、面接はあっけなく簡単に終わったというところだった。「面目がたたない」という言い回しに、トップになるというのは、ほんとうにたいへんなんだなと思った。

本にまとめてくれたので、とてもうれしい。若い世代にも、こういう苦労話から、いろいろ学んでもらって、失敗を恐れないよういしてほしいな。

 

 

 

 

 

 


更年期からの性を生きるー快楽ー

2015年10月27日 | Books- Japanese

 

かなり衝撃的だった本、更年期の女性の性の話。

↓最近カンボジアでの結婚式はこういった招待状が増えてる・・・・

 

50歳代で、夫とセックスしている女性は皆無だそうな。

子供が成長した夫婦の性生活って、あまり知られてないと思う・・・・わたしの学生が、「お母さんは、まだもう一人子供を生むってがんばってる」って言ったので、「直接聞いたの?」って言ったら、「友達と話してた」とのこと・・・そりゃそうだろう、20歳の息子に家族計画はあまり言えないだろうなあ。

 


神様の女房ー松下幸之助の妻

2015年10月20日 | Books- Japanese

 

とにかく移動が多い10月なので、気軽に読める話をとおもって調査に持参した本。

企業とかあまり関心なかったから、松下幸之助は名前しか知らなくて、この本を通じて初めて彼のことを知ったというかんじ。淡路島出身の女性を妻として、借金だらけの生活からパナソニックを作り上げたのね・・・さらに、いつもお世話になってる身近な井上記念館とSANYO研修所は、そういう関係だったのね・・・・きっといろいろ両親から聞いていたんだろうけれど、あまり理解してなかった。そもそもつい2ヶ月前に井植さんの豪邸レストランでランチ食べてたんだ!!

わたしは結婚したことがないし、もしかして将来するかもしれない可能性はいろいろあるけれど不明だし、「大奥様」って呼ばれて過ごすようになった女性の記録というのはとってもおもしろかった。

 

戦後の日本はほんとに立派な志のある人がたくさんいたんだー当たり前の事実だけれど、この本を読んで改めて思った。

わたしの学生も「この国をよくしたい」「若い世代にもっとチャンスをあげたい」(本人も若いのに)っていってる人がかなりいて、なんだか頼もしいのである。

この本は、極めて優れている本で、読めてよかった。「女房」ってタイトルは好きでないけれど、多分時代がそう言わせたんだろうな。

 

 

 

 

 

 


南アに持参した本たち

2015年09月19日 | Books- Japanese

 

何冊も本をもって移動しないと落ち着かない・・・今回も学会でいろいろ調査の本をゲットすることはわかっていても、やっぱり持って行ってしまうのである。

 

↓中国嫁日記

 

中国の本ならなんでも読んでみたいかんじだったので、気軽に読めそうかなと思ったら、確かにすぐに読んじゃった。国際結婚ものとしては、ダーリンは外国人のほうが視点が鋭くて面白いかもしれない。

紛争下の母性の本をまだ書いてるので、母子保健についてもちょっと知識を深めようと思って、 「アフガン母子診療所」も読んでみた。

↓日本の産婦人科医の本、なかなか面白い

 

アフガンの助産師が言う、「子どもがいるから、なにがあっても行きてゆけるのよ。産んでみたらすぐわかるわ」というのは、クメールルージュ時代に子どもを産んだ女性たちが必死に生き抜こうとした強さと似てるところがあるかな。驚きは、この人が滞在していた2003年は、未婚女性が出産するのは犯罪で、指定病院でしか出産できず、出産後に警察の捜査をうけて刑務所送りになる場合もあるそうな・・・・ 

 

せっかくなので、アフリカ関連も持ってきた。

↓Do They Hear When You Cryーずいぶん前に英語で読んだ本

一時期、FGM関連の本にかなり凝っていた時期があって、その時に読んだ本。わたしが女性の権利を守るために人生をかけたいって思ったのは、FGMっていう極端な女性の権利侵害を知ったから。それにしてもこの本は見事な翻訳で、英語も簡単に読めたんだけれど、これほどレベルの高い日本語なら、翻訳で読んだほうが理解が深まると思うのである。

↓毎日飲んでたワイン、一本35ランド、300円くらい?

久しぶりに恋愛小説でも読もうと思って、「砂の上のあなた」も読んでみた。 

 

人間関係が複雑すぎて、ワインを飲みつつ読んでたら、途中から登場人物の関係性がわからなくなって、かなり混乱した・・・・主人公の父が、死んだら自分の骨を妻ではない恋人だった人といっしょに埋葬してほしい、っていう遺言のようなものを残すんだけれど、この設定だけでも十分に面白かったのでは?自分のルーツを探すっていう観点は面白いけれど、複雑すぎる・・・

↓南ア関係で面白そうなのも持ってきた

 

ちょっとカンボジアのことも出てきて、筆者が幅広く調査しているのがわかる。南アの真実委員会みたいに、加害者を人前で罵るというか批判するっていうのはカンボジアの社会ではちょっと無理だろうから、別の手法で「真実」を探すんだろうなあ・・・

 

日本から短期交換留学でくる数カ国混合チームの学生さんたちにカンボジアの女性と平和・安全について講義するので、この本を参考にしながら、以下のスライドをつくってみた。

 

Some questions to consider- いくつかの検討課題・視点

•Justice for who? Who defines justice?

誰に対する正義なのか?正義の定義は?

•Who are victims and who are perpetrators?

誰が被害者で誰が加害者なのか?

•What are magnitudes of crimes, human rights violations?

犯罪(被害)の規模、人権侵害の深刻さは?

•What do survivors want?

被害者は何を求めているのか?

•Who can provide what for survivors?

誰が何を被害者に与えられるのか?

What about the rights of perpetrators?

加害者の権利擁護は?

 

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与えられた90分で、これ以外のこともたくさん話すので、どこまで話せるんだろうか・・・・

 

Motherhood at War の本も、草稿を編集する作業の大2ラウンドが終了。性犯罪調査(統計分野)の第一人者の一人であるエマが今回話していたのは、「複雑な調査の結果を、いかに簡潔に提示できるか、できればメッセージは1に絞り込んだ方がいい」って言ってるのをきいて、そうだよな・・・って反省。大量にある女性の声を、簡潔にまとめて(出版費用も助かるし!!)、ごちゃごちゃしないように努力しよう。

 

 

 

 


売る男、買う女

2015年09月11日 | Books- Japanese

 

 

タイトルに惹かれて買ってみた、「売る男、買う女」。

最初は、女性が男性から性を買う話を売る側の視点で語るインタビューかとおもったら、男性に男性が性を売るのもかなり語られている。

インタビューの視点というのか、性を売る男性たちにインタビューをしているのは、なかなかおもしろい。相当お金をかけてインタビューをとったのか、ちゃんとインタビューが予定通りにできたのか、とか、いろいろ想像してしまうのである。こういう、なかなか声を聞けない人の声をひろうインタビューは、どうやってやったのかな、とか、インタビューの設定はどうだったのかな、とか、本では紹介されていない裏側のほうが気になる。

↓ブラウンで朝食、学校に近いからとっても便利

が、「私もかつて売っていた」っていう筆者のコメントがかなり出てきて、同業者として紹介したいのか、自分に常にスポットを当てていたいのか、視点がちょっとずれがち。

↓ブラウンの麺は、細かくきてあって子どもには食べやすい

この本を読んでて思ったのは、男性が、「売る男性」をインタビューしていたら、また別の視点でおもしろかったのでは?

↓セックスワーカーたちへの迫害について、講義でゲストに話してもらう

 

セックスワーカー、どうしても女性に焦点があたるけれど、カンボジアの男性(ストレート)でどの程度セックスワーカーがいるのかっていう調査はないなあ・・・やってみたらおもしろいかも。

 

 

 


女たちの八月十五日

2015年09月05日 | Books- Japanese

 

 

たまたま見つけた本「女たちの8月十五日」。作家の女性達が戦争の時のことを綴っているのをまとめた本。

 

さすが、作家だけあって、文章力は見事。それぞれの作家が書いている文章は短いのだけれど、筆者たちの本が紹介されているので、さらに読書の世界が広がるのである。

どの作品も素晴らしいのだけれど、中でも印象的なのは、佐藤愛子さんの文章。戦争から避難したいがために結婚をした自分の体験について書いてる。まさに、強制結婚と同じシステムなのである。「我が身を守るため」に結婚して、戦後離婚せざるを得ない状況になり、さらに子供は夫の家に預けて自分だけで婚家を去る。

「結婚しなければよかったのか、したほうがよかったのか。誰にもその答えをだすことはできないだろう。確かにわかっていることは、間違っているとわかっていても、あの時はああするしかなかった、そういう現実だろうか」

戦後は、佐藤愛子さんのように生き残るために多くの女性が結婚して、夫は戦死したり、夫は戦死しても子どもは生まれていて一人で必死で育てたり再婚せざるを得なかったり、不幸な結婚で離婚した女性がたくさんいたそう。

昨日、仕事で参加してた政府のハイレベル会合で議長をしていた女性が、「クメールルージュ時代に強制結婚させられた女性に対する賠償や救済法についてですが・・・・(ちょっと考えてから)、わたしだって強制結婚させられたけれど、今更、なんとかしてくれとか言わないですけどねえ」 ちなみに、彼女の夫はすでに数年前になくなっているけれど、軍のハイレベルの人で、妻も政府でかなりのポストまで登っている。さらにランチタイムに、政府高官たちと雑談しながらわたしの調査の企画を紹介してたら、ある要人がクメールルージュ時代に子供グループで集団生活させられていて、毎日1時間政治教育させられたとか言ってて「インタビューさせて!!」っていうと、隣にいた別の女性が「わたしも子供グループだったけれど、クメールルージュの政治教育の先生が小学校2年生までしか出てなくて、わたしはすでに5年生まで勉強してたから、どっちが先生だかわかんなかったわよ。クメールルージュ時代の学校はひどかったわよねえ」とか言い出して、まあ戦争時代を経験している人だらけだと改めて感じるのである・・・ただ、やはり40年たってるので、使ってる用語が当時のものから変わって自分たちなりに過去を咀嚼して話していたり、用語については配慮が必要だなあと思ったのである。

 

日本の作家たちによって残された戦争の記録。こういった記録が、カンボジアの女性たち自らの手で記されるようになるといいのだけれど・・・でもきっと多分それはかなり難しいから、わたしが学生たちとその隙間を埋める作業をやって時間をつなげているってかんじかな。

 

 


新幹線ガール

2015年08月27日 | Books- Japanese

 

 

新幹線ガールは、新幹線パーサーという仕事についての実体験を20代の若い筆者が書いた本。

新幹線に興味がある人なら、かなりマニアックなことも書いてあるし、相当面白い。

 

甲子園の時期など季節的な行事のときが一番混雑するという話とか、東海道新幹線の醍醐味がいろんな視点で書いてあってかなりおもしろい。

でも車内放送を必死で録音していたお客さんは、きっと鉄ちゃんではないだろうし、なんでそんなことやってたんだろう・・とか、いろいろ考えるのであった。今回の滞在では、残念ながら北陸新幹線の旅は中止しなければならなくなったんだけれど、ぜひ将来金沢にも新幹線で行きたいな。あと、山陽新幹線のプラレール車両も(新大阪〜博多)、うまく計画を立てて幼稚園を休まずに乗れるようにしたかったな・・・今年の夏、この2つに乗れなかったのは、かなり残念なのだ。

 

 

 


虹色の空ー久郷ポナレットさん

2015年08月25日 | Books- Japanese

 

やはり楽しい本屋さんでのショッピング。本屋に加えて、日本に夏戻ると、洋服をいろいろ買えるのが嬉しい。でも自分のより子どものものを買う方が多くなってるけれど・・・・

↓三宮でたまたま見つけたクメールルージュの本

(本の帯には、「私は絶望しない」という言葉とともに筆者の写真がついてる)

ペンセタリン先生の妹さんの本、クメールルージュ時代の経験について半分程度、日本に来てからとそのあとのカンボジアへのかかわりが半分くらいを占める本。

 

クメールルージュ時代、10−14歳だった筆者の経験。まさに、わたしが次にやろうとしている調査の対象。

申し訳ないながら、調査の内容として面白いと思ったのは、

  1. クメールルージュ時代の教育(筆者は革命教育を受けてる)
  2. 革命の歌などの記憶
  3. シャワーを浴びてたか、など、衛生や清潔に関する経験
  4. ベトナムが来たあと、どうやって家族と再会したか(子どもグループにいたため家族とは離れ離れになっていたはず)

家族を失った以外に筆者が経験した珍しい体験では、(1)妹がレイプされている、(2)少年が処刑係として働いていた記憶、(3)新住民だったので、古い住民から執拗ないやがらせにあった

この本も参考になったけれど、それ以外にも、大学の時に読み込んだ、バーチェット著「カンボジア現代史」。

今更ながら、読んでみると、1980年代にここまでよくかけたなあ・・・・と思うのと同時に、筆者がポルポト時代の指導者たちと実際にあって話しているのはすごいなと思うのである。クメールルージュが1950年ごろにすでにコンポンチャムに基盤をおいて勢力を拡大し始めていたっていうのも、そうだったのか・・って改めて歴史の勉強をしなおすのである。大学の時はカンボジアを訪問することなしにカンボジアの近現代史の勉強をしていたので、土地感覚とかなくって、研究者の卵としては失格の仕事をしてたなあと反省。

 

今書いている本がなかなかうまくまとめられなくてつっかえつっかえ進めているかんじなんだけれど、次の調査も9月下旬から始めたいので、質問票を精査していく必要があるのであった。

 

 

 

 

 

 


愛の力ーなかなか重い恋愛小説

2015年04月22日 | Books- Japanese

 

 

「男でもなく、女でもなく」をあっという間に読んでしまって、蔦森樹さんの本をもっと読みたくなったわたし。

↓ヤマツツジ、家の周りのいたるところで満開中

男とか、女とか、性別を越えて、もっと自由に生きれたらいいのに、って思わされる本。彼女が主婦として生活するようになって、経済的な収入はないけれど、家事労働をすることで自分の内面を新たに発見していくところが、なんとも共感できたんだけれど、やはり経済的自立が大事っていうところに行き着くのである。

↓こちらはちょっと珍しいタイプ

ツツジをみながら、ひつとつの花でも、いろんなのがあって(チューリップとかもだけど)、ジェンダーのことを考えてしまうのである。

↓こちらは、一応小説らしい

 

彼女がNepalに旅行にでてしまって、会いたいとずーっと思いつつ付けるトランス女性の思いを綴った力作。フィクションでは?って思うんだけれど、ノンフィクションみたい。

↓子供達があっという間に食べた愛知産、あさりの酒蒸し

LGBT ってひとくくりにできないって、改めて思う・・・・MTFにも、同性愛者はいて、女性のレズビアンと恋愛することだってある。男でもなく、女でもなく、異性愛者でもなく・・・・わたしたちって、複雑で、だからおもしろい。区別が差別にならず、多様が普通になるといいんだけどな。

 

 

 

 


Kafka on the Shoreー自由って何か

2015年02月06日 | Books- Japanese

 

 

Kafka on the Shore、シェムリアップで買って、ラタナキリとコンポンチュナムの滞在中、10日間以上、時間があれば、ちょこちょこ読み直してた。英語で読むのは初めてで、とても新鮮なかんじ。

↓毎日飲んでて、すっかり太っちゃった〜のはわたしだけではないみたい?

 

中日ドラゴンズファンの星野さんのスラングあるいはジョークは、英語ではちょっとわかりにくいのが残念だけれど、村上春樹を英語で読むと、新しい発見があるから大好き。

↓コンポンチュナムのビアホールで、モツがおいしい!!

 

Having an object that symbolises freedom might take a person happier than actually getting the freedom it represents.

 ↓こちらは唐揚げ、なかなかいいかんじ

「どこまでが自由なのか、誰にもわからないのさ・・・」っていうアルフイーの歌のタイトルは何だったっけ・・・・フロムをはじめ、自由にならないことを求める人間の心理がたくさん研究されているように、自由ってとても難しい。

↓定番の鶏肉KFC風、ビールにぴったり

 

自由かあ・・・・子どもを二人育てるっていう義務を背負っている人間としては、ほんとうに自由な時間ってなかなか得られないけれど、本当の自由って何なのか、そのほんとうの自由をほんとに欲しているのか、こういうことを考えると、トシ取ってきたかなと感じるのである。

↓よくわかんないまま食べてた・・・やわらかい肉

 

↓最近毎日ちょこちょこチェックしてるサイト、オシャレ情報がたくさんで楽しい

http://mi-mollet.com/

↓モツの香菜あわせ、とってもおいしけど、危険な感じが・・・・

 

カフカくん、結局最後までは読めなかったので、続きはどこで読もうかな?旅している人間にとっては、とってもとっても面白い本かな。