2012年中に終えておきたかったことはあまりなくって、中国人作家Yan Liankeが書いた 「Dream of Ding village」を読み終えることくらい。中国本土で発禁処分になっているというニュースを見て、ぜひ台湾で読もうと思ってKLで購入して台湾旅行に持参していたのだ。
Dream of Ding Villageは、実話にもとづくらしい、ある村と家族が崩壊していく様子を淡々と描いたフィクション。中国のとある村に住む貧しい住民たちが、血液を売って豊かになろうと期待したもののエイズが蔓延して村そのものが崩壊してしまう話。
ストーリーは、血液を売買することで大儲けした男性の幼い息子が語る形式なのだけれど、この息子は、父親のことを「エイズを蔓延させた悪人」だと思っている村人の報復の一環で毒殺されてしまっていて、天国から自分が死んだあとに村と自分の家族が崩壊していく様子を淡々と語っている。
↓チウフェンでお散歩する子ども、先週まで台湾だったんだよなあ・・・・
エイズの蔓延によって次々に村人が病に倒れて各家庭で看護が大変になる状況を打開するために、語り手の祖父が中心になって使われていない学校に患者を集めて集団生活をすることになる。多くの患者は30歳から45歳。血液感染してから10年後くらいにエイズが発生しているから、血液を提供していた若い世代が次々に病に倒れるのだ。エイズとともに生きる人たちが集団生活するその学校では、泥棒がでたり、内輪もめがあったり、いろんなドラマがあるのだけれど、語り手の叔父である妻帯者の男性と既婚の女性の恋愛を通じて、中国社会の複雑な男尊女卑と家父制度が描かれているところも興味深い。二人が学校の中で隠れて密会する場面の描き方が、さすが中国随一と称される作家だなあとうならせられるのである。
There, in that storage room, they recaptured what it meant to be alive。
死んだ人たちをマッチング(お見合い)して、結婚させるという不思議な習慣も出てきて、これはよくわからない。語り手も、6歳年上で病気で死亡した有力者の娘と結婚させられることになって、お墓が掘り起こされて、結婚式をちゃんと執り行って・・・・・という、ちょっと不可解な儀式が語られるのだ。
2013年もいろんな本を読んだけれど、Dream of Ding Villageは、かなり秀作だった。原作は中国語なので、もし中国語で読めたら漢字で理解できたので、もっと想像力をかきたてられただろうなあとちょっと残念なのだけれど。