ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

クメールルージュのせいで兵士になった男性たち(BM1-BM2)

2015年10月17日 | Childhood in KR rese

 

バッタンバンでは、初めて行く村での調査、いろんな偶然とヒントがかさなって、新たな出会いというか発見があっておもしろい。

男性の調査をとることにしたら、いきなり連続で兵士だった男性2人にインタビューをとることに。

↓最初の月給は50リエルだった、村の軍隊に雇用された男性(BM1)

「教員か医者になりたいって小さい時は思ったりしたけれど、戦争のせいで人生がめちゃくちゃになった」と振り返った男性。

今は定年して、家で農業に従事している。「ニラディの人たち」っていう発言がでたのはこの人からで、この地域はタケオから派遣されたクメールルージュ兵士が管理していて、相当厳しかったそう。

↓93年のUNTACのあとに兵士として徴兵された男性(BM2)

初任給は150リエル。BM1と比較すると、軍に入隊したのが遅いから、給料も高くなってる。3時間くらいのインタビュー。

↓「クメールルージュ時代は、人間性をすべて奪われた時代だった」

「アンカーに褒められるため、クメールルージュはとてもいい、とかわざと嘘を言って大変な時代をすごした」。お腹がすいてたので魚を捕まえに行ったら屍体の足をひきあげた話とか、虐殺直後に偶然殺戮場を通って足だけばたばたさせてる屍体たちを見たとか、すさまじい話がたくさん。

男性のインタビューが2つ続いて、めちゃくちゃ面白かったわたし。女性が能力をのばす機会を奪われているのを実感したのである。幼稚園性と中学生との違いくらい、過去の理解について、過去に関する説明に関して、男女で能力の違いがあるのだ。

今後もっと分析が必要だけれど、戦争後は男性は公的な場にどんどんでていることや(そういう機会を与えられた)、この人たちは軍に長くいたこともあって、歴史について相当咀嚼して考えていて、とても幅広い視点で過去をとらえてる。

それにしても、二人とも長いインタビューだった・・・・・長時間じっと座ってるだけで大変だったけれど(写真とったりして途中何度か立ち上がって体を動かした)、水も飲まずにずっと対応してくれて感激。

 

 


今日からベトナム

2015年09月24日 | Childhood in KR rese

 

 

今日から5日間ベトナム。前回行き損ねたホイアンにいくのだ。ホテルと連絡を取り合ったりして、たのしみ!!

ただ、シンガポールにホイアンに、さらにマレーシアのホテルと連続で予約してたので、いったいなにがなんだか自分でもわからなくなってるところ・・・ 

さらにこども学校からの電話があったので、「今学期いつ終わるんですか?」って聞いたら(支払いが発生するため・・・)、」もう月曜に今学期は終了してますよ!!」って言われ、なんだかクレイマークレイマーのお父さんみたいだなと反省。でも幼稚園、スケジュールをくれないから、いったいどうなってんだかよく分からないのである。

 

で、ベトナム旅行。旅行といえばカバン。南ア行きのフライトで鍵がしっかり壊れたのであった・・・・えーん。

で、調査用のカバンも、もうぼろぼろなので、交代することに。

半年くらい、相当数の調査で使ったので、ほんとにぼろぼろで、よくがんばってくれたと思う。

↓小さいカバンが外付けになってて、レコーダーとか持ち運ぶのに便利だったカバン

↓今度のは、外付けポケットがたくさんのカバン

大学の新学期の混乱で、最初の調査予定が1週間遅れて開始になるのだけれど、多分合計6回のフィールドワークで、クメールルージュ時代に親から離されてグループで生活していた人たちのインタビューをとる。

この一年ほど、とーってもお世話になってる母校の教授に相談をして、シリーズでしっかり調査記録をとって、ぜひ出版しなさいって励まされ、がんばろう!!って思うのである。

↓阪大や広大からうちの大学にきてくれてた学生さんたちとの交流

この調査が、ぜひ将来の子ども兵の調査につながるといいんだけれど、まだまだ語る人があまりいない分野だから、どのくらいのかつての兵士に会えるかな?

 

来週から開始する地方での聞き取り調査に向けて、日本では大量に買った文具をいろいろ持ち出してきて、早速使って楽しんでいるところ。

 

とりあえず、ベトナム楽しもう。今回は鉄道でフエまで行く時間はないので、ダナンからの絶景を見れないのがちょっと残念だけれど。

 

 

 

 


戦火と混迷の日々-悲劇のインドシナ

2015年09月04日 | Childhood in KR rese

 

アマゾンでショッピングしていると、おすすめ本が次々出てくるのでありがたい。

「戦火と混迷の日々-悲劇のインドシナ」は、おすすめ本で気づいた。

近藤さん、ジャーナリストとして尊敬しているけれど、この本を読んで、ますます尊敬度が高まったのである。次の調査に直接つながるような情報がたくさん。

この本は、クメールルージュを生き延びた内藤さんという日本人の女性のインタビューを基本に書かれていて、ほんとうに貴重な歴史的資料。この本は1987年にかかれているので、まだクメールルージュ時代のことがあまり知られていなかった頃の本。わたしが大学でポルポトの調査をしていたのと同時期なんだけれど、この本を読んだ記憶がないので、学術書の分野として取り上げられていなかったのか、あるいは、あまりにも新しすぎてどの学術論文にも参照されていなかったから、見落としたのだと思われる・・・・今みたいにアマゾンのおすすめサービスがあれば絶対みのがしてなかっただろうに。

 

いくつか面白いポイントがあって、たとえば、以下がある。

1 クメールルージュの夜の会合では、夫婦喧嘩の裁定までなされていた

2 1年に2回結婚許可日がある

3 クロコダイルを子供達が食べされられていた(ことが虐待のように日本で報道されていた)

 

主人公の内藤さんは、カンボジア大使館にいた外交官のカンボジア男性と恋におちて結婚し、カンボジアにいたときにクメールルージュがきてしまう。自分の息子2人が死に、夫が死に、義理の娘(夫の前妻の子ども)も死に、家族全員を失う。最後に失った夫のつらさとショックから、絶対に生き延びようと決意した。

カンボジアに関心がない人にとっては面白くない本だろうけれど、カンボジアの悲惨な時代を経験した日本人の体験を知られるという意味では、ほんとうに貴重な歴史書。アマゾンに感謝して、この本との出会いをありがたいと思わないと。