ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

国連女性差別撤廃条約の今後・・・・

2009年03月31日 | カンボジアのジェンダー規範



国連女性開発基金(UNIFEM)が主催で、国連女性差別撤廃条約をカンボジアで普及させるための3年間事業(2005-2008)の評価発表会が開催され、150名程度のジェンダー関係者が参加しました。わたしもコンサルタントで2年間ほど関わってきた事業なので、興味深く参加しました。



女性省大臣、国会・上院の有力女性議員も参加しての開会式。大臣からは、「国連女性差別撤廃条約の履行は関連省庁全ての義務なので、パートナーシップを大切にしてほしい」という発言。


今回の外部評価の結果は簡単に課題が発表されただけで、セミナーで多くの時間が割かれたのは今後の第2フェーズをより効率的に進めるにはどうすればいいかというグループワーク。




カンボジア人たちが「今後の提言」に話すと、まず最初に出てくるのは「開発パートナーにもっとこれもあれもしてほしい!」っていう提言。自分たちで何が出来るかをまず考えて、その案をもって開発パートナーのところに行かないとなあ・・・・





またごいっしょしたホーナム国会議員。「村で生活する女性は、自分たちの権利を分かってないから、暴力を振るう夫に対してもぐっと我慢して人権が侵害されてる。彼女たちに自分の権利を学んでもらわなければ」と発言され、その通り!と感動したのでした・・・ここまで発言できる議員さんが出てきたってことだけでも、カンボジアの人権状況が改善されている兆しかも。





男性のほうが弱い?

2009年03月30日 | 女性の自立
参議院で「法律トーク」というざっくばらんに法律を語り合おうという会が、幅広い分野で活躍する弁護士や学者を招聘して定期的に開催されています。準備委員会の影メンバーのわたし(委員は男性ばかり)、必ず女性のスピーカーをよぶこととと、国連女性差別撤廃条約について話してもらうよう主張。

今回は、ドイツ人弁護士(女性)が国連女性差別撤廃条約と家族法について発表したので、「国連女性差別撤廃条約を批准したことで、ドイツでは法改正がどう進んだかを紹介したらどうか」と提案すると、「ドイツでは女性のほうが強くて、男性が差別されてるって文句言ってる!」と説明。日本と同じで遺族年金支給問題があるらしく、男性を差別するって批判されているそう。

ちなみに、日本では1985年の国連女性差別撤廃条約批准にあたって、勤労婦人福祉法が男女雇用機会均等法へと改正され、国籍法も改正されて両親のうち一人でも日本人であれば子どもが日本国籍を得れることとなり、女性の地位向上に大きく貢献した経緯があるのだ。

結婚年齢規定について「18歳でないとぜったいだめ!」と主張したこの発表者。カンボジア男性が、「娘が16歳のうちに結婚させてしまいたい親がたくさんいるのに、そういう伝統はどうするのか(英語では Many Cambodian parents want to give their daughter to other men だったので、かなりむっとした私)」。わたしは、一般的には15歳でも16歳でもいいと思うけれど、カンボジアでの問題は本人の意思に反した強制結婚が多くある事実だろうなあ。他方日本での懸念事項は、結婚すると成人とみなされ、契約などが親権者の許可なく結べるようになる点かなあ。

若いうちに勢いで結婚してしまったほうが、えんえんと結婚できなくなるよりいいかもなあ。
結婚半年で妻に出て行かれた警察官のいとこが、離婚を経て素敵な男性になったという便りが日本から届いたところ・・・・








交通法規まもってよ!

2009年03月29日 | カンボジアで感じたこと




普段は車を運転しないものの、週末は自分で運伝するわたし。
「女性は運転が下手だ」という偏見を受け入れたくないけれど、運転下手なんだよなあ・・・・。


1997年にカンボジアに赴任する前に受けた日本でのブリーフィングでは、「車を購入して市内を移動してください」という指示。「車なんて買ったら盗まれちゃうんじゃない?」って思ったくらい車が珍しかったのに・・・そんなのはもう遠い過去のこと。連日の渋滞で、車の中で新聞を読みながら通勤するのがわたしの日常。

それにしても、車を運転してる時思うのは、なんでみんな交通法規守んないの!ってこと。赤信号でばんばんいっちゃう車は多いし、道の真ん中でUターンして邪魔する輩もいるし・・・ごきぶり化しているバイクも、両脇から次々現れるのでたまったもんじゃない。スピードは出てないとはいえ、おしゃべりしながら運転してたり電話したりしてるドライバーが多いので、なんとも危険!

そろそろ新年が近いので、酔払い運転も続出。夜中になると、無法地帯と化しているプノンペン。とても怖くて運転できない事態。交通事故の死亡者数もうなぎのぼりで、200名以上プノンペンだけで死亡者が出ているとの統計も。

行政には、最低の安全くらい確保する施策をとってほしいなあ・・と思いつつ今日もハンドルを握るのであった。



写真はとある農家で養育されている豚。そんなにひっつかなくってもいいのに・・・・


家庭内暴力の解決法?

2009年03月29日 | 女性の自立
これまで何度も顔を合わせてたのに、名刺交換したことはなかった参議院議員オック・コン閣下。

先日のセミナーで隣の席になったのでお話したら、「家庭内暴力の資料、もらえない?」って依頼。ちょうど参議院に行く用事があったので、「じゃ、持ってきますよ」。


参議院第一委員会(人権担当)の建物


お部屋に行くと、閣下はいきなり「人間の大切な4つの財産」についてレクチャー。人間として大事なのは、以下の4つらしい。

1.外見
2.ふるまい
3.知識
4.財産(お金)

「君は全部あってすばらしい」と言われたので、「ま、4番目は確実に無いですけど」。
閣下はすかさず、「いやいや、君はとにかく歯がきれいだ!」。さすが議員さんだなあと感心。





家庭内暴力について論文を書いていらっしゃる議員、家庭内暴力の解決法についてご自身の提言を聞かせてくださいました。20くらいある提言の中、優先順位の高い解決法は「夫と妻とその周囲の人たちで解決する」というもの。「家庭内暴力法はあるけれど、司法に訴えても、時間もかかるしお金もかかる、人々は司法を信じてない」。うーん、その通りなんだけれど・・・・立場上、ちょっとアプローチ変えないとますいんじゃないかなあ。

今後、論文を仕上げるために指導してほしいと依頼され、ま、参議院議員の家庭教師も悪くないかあと思っているところ。






ジェンダーの場所って?

2009年03月28日 | カンボジアのジェンダー規範


とある省のとある局長(女性)の、ランチテーブルでの話題。
10名くらいのほかの局長・副局長や行政官が同席(全員女性)。

彼女は2005年頃、日本に研修で招聘されたことがあり、各省庁からの研修生が男性ばかりの中で唯一の女性だったそう。


局長発言:「日本での研修中、みんなやさしくって、どこに食べに行ってもおごってくれたの。うれしかったわ。でも、東京でね、男たちは、ほら、ジェンダーの場所に行っちゃってねえ、はずかしかったわ。」


同席者一同「ジェンダーの場所って????」


要は、ポルノショップにみなさんで行って、色々買いあさったらしい。

局長発言:「男性のだけでなくって、女性のもあってねえ、すごかったわよ」
ショップで何を見たか簡単に説明した後、「用事があるからお先に失礼」。

テーブルに残されたわたしたち。
ある年配の女性が、「ねえ、男性のものってなに?」と質問したものだから、みんなで大騒ぎ!
これがカマトトでなく、ほんとの質問だから恐ろしい・・・・

「ジェンダー」って用語が、いかに幅広く使用されているか考えさせられたのでした。


写真は、食堂で見つけた素敵な笑顔。本文とは関係ありません。

スノッブなバー

2009年03月27日 | カンボジアの生活

一皿2万円の料理があるというTOPAZ。
スノビッシュな雰囲気が好きじゃなくって、毎日前を通るのに入ったことがなかったわたし。
仲良しの姉貴的存在の女性に誘われて、すでにかなり出来上がってたので「よし!」ってことで行ってみました。



雰囲気はなかなかよくって、でもやっぱりスノッブ。
こういう場所があるっていうだけでも、プノンペンが発展してるなあ・・・と感じてしまった。


素敵な女性といっしょに飲むのは至福の時。
この年齢になると、気の置けない友達もなかなかできないので、気持ちよく飲める同性ってほんとに貴重な存在。






「女力」について話し込んでしまった私たち。

ジェンダー専門家なんだから、自分のジェンダーにとらわれていてはいかんなあ・・・・・・とか思うのだけれど、二日酔いで目を覚ましたらアイシャドーの色と洋服のコーディネートをまた考えてしまうのであった。





障がい者の主流化?

2009年03月26日 | 女性の自立

参議院主催で、国際人権法の報告義務に関する国際会議が開催されました。

ケニアからの出席者が、「国連障がい者の権利条約」について、ケニアとパプアニューギニアの経験について紹介する中で、「障がい者を主流化しなければならない」と主張されていました。つまり、技術協力案件などで、かならず障がい者の視点を盛り込むということ。

この前、森林保護を主流化させなければならないって主張している人がいて、「うーんぴんとこない」と思ったばかり。主流化は、はやりなのかな?

こういう文脈では、maintreaming より、integrating のほうがぴんとくるのだけれどなあ。



会議では、カンボジア人権委員会委員長のオン・ミエン・テン閣下もカンボジアの人権状況について意見を述べられました。新聞で名前はいつも見るし、超有名人だけれど、実際に会うのは初めて。刑務所の状況が改善されていることや、女性の権利保護のために政府としてがんばってるって(かなり理想論でしたが)説明がありました。質疑応答で、「世界経済危機の影響ですでに51,000人の女性が縫製工場の職を失っている問題について、今後重大な人権侵害につながる可能性もあり、どう対策を考えていらっしゃるか」と聞いたら、「職業訓練の機会を与えて、将来異なる仕事に就けるように支援することが肝要」との普通の回答。でも実はお話できただけで感激だなんていったら、仲間の人権活動家には嫌われちゃうなあ・・・・


以下は、ある出席者が引用した印象的な文章。

Law is a bridge between is and ought. (Edgar Bodenheimer)

法律がどこまで個人の自由を保護しつつ制限できるのか?













農薬とジェンダーって・・・・?

2009年03月25日 | カンボジアのジェンダー規範



「ジェンダーと健康」と題する話題で、とある地方の女性省職員から出された疑問。


彼女の住む地域では、農薬が規制もなく使われていて、女性の健康に害を及ぼしているそう。男性にも影響はあるのかもしれないけれど、彼女としては女性がこうむる被害が耐えられないそう。

ジェンダー問題だし、何とか対処したい。でも、「農薬に対処するって?」

結局は、農業の専門家とタイアップするしか問題解決はありえないってこと。


ジェンダーって、ほんとにあらゆる分野にあるなあと思ってしまう。



写真は、カンボジア風にいうと「我家のジェンダー(女性)」、プノンペンで一番の美人にゃんこ、ごーじゃす。






百花繚乱:女性省総会

2009年03月24日 | カンボジアのジェンダー規範


3月23-24日、女性省の総会が開催されました。



女性省大臣、長官と副長官、全員女性という元気のよさ。



総会の目的は、女性省の5カ年計画「第三次ニアリーラタナ(女性は貴石)」を作成する過程に、24州の女性局の局長・副局長クラスに参画してもらおうというもの。


女性省の会議は、とにかく華やか。
ぜったい新調したんだろうと推測される素晴らしい伝統的な服を身にまとう大多数の女性たち。
ということで、わたしは黒いパンツで出動。





今後5年間で、女性省が戦略的に重要視していく分野には、
以下の6つの分野があるそうです。

1.女性と経済
2.女性と教育
3.女性に対する暴力
4.女性と健康
5.女性と政治参画
6.ジェンダー主流化促進

まあ、「女性、女性」っていっても、ジェンダーは男女を対象に考えていかなければならない分野。課題は多くって、なかなかむつかしいのであーる。

会議に来ていたとある若手の優秀な職員と、久しぶりに会いました。最近昇進したと聞いていたのでお祝いをいいつつ、「なんだか、すっごくやせたね」って言うと、「もう2週間もランチ時間に家に帰ってないの。週末も仕事。夫がよく我慢してくれていると思う。」とのこと。めちゃくちゃ忙しいらしい。

ワーク・ライフ・バランス問題。

そろそろカンボジアでもまじめに取り組んでいかなければならないようになってきたかな・・・・



写真は、女性省総会参加者160人分の食事を準備する男性たち。パーティーなどに呼ばれる調理人はほぼ全員男性。ジェンダー役割分担で、現金収入につながらない「家の中での料理」は女性でも、外で料理をするのは男性。
ま、おいしいければいいかな?