労働・職業訓練省主催で、「若者と雇用:ギャップを狭められるか?」という調査の発表会が開催されました。労働・職業訓練省の副大臣が出席され、200名程度の大学生が参加しました。
調査を実施したのはカンボジア雇用組合(Cambodian Federation of Employment、CAMFEBA) が労働職業訓練省・ILOと実施しました。CAMFEBAのHPは→
http://www.camfeba.com/
この調査では、学生たちに将来どうしたいかについて意識調査するとともに、雇用者たちにどういった技術などをもった学生を雇用したいかについて聞き取り調査し、2者間のギャップについて分析しています。ただ、雇用者側は情報内容も情報ソースが少なく偏っていて、分析にはちょっと弱いのが残念。
調査に応じたのは、若者が約2000名(女性数は45%程度)、雇用主が220名(約半数が外国企業)。
まず高校生に対する進学についての意識調査では、56%の男子と46%の女子が大学進学を希望しているとの回答。他方、進学を希望していない約半数の学生にその理由を聞いたところ、「両親に経済力がない」。カンボジア政府はかなりの数の学生に奨学金を提供しているのに、それでも両親に依存しないと進学は難しい様子。日本と違ってまだマクドナルドもなく、アルバイトなど簡単に見つからないので、どうしても両親に依存せざるをえないのでしょうか。
また、高校卒業後の進学についてどうやって決定するという問いには、59%が「両親と相談して決定」、11%が「両親が決定する」と回答しています。カンボジアでは子ども将来に両親が大きな決定権をもつことを示しています。
すでに就職している若者の意識調査でおもしろい結果は、「5年後の計画」について。「家を買う・建てる」ことが第1位(27%)、「自分のビジネスを始める」が第2位(23%)、「車を買う」が13%で第3位。これは男女ともにほぼ同じ割合で回答があり、日本の若者と比較しても面白い結果だなと思いました。
若者全員を対象とした質問で「職につきたい分野は?」についての解答は、経済関連が22%でトップ、農業・農村開発が2位で15%。公務員は4位で11%。他方、約31万人の若い女性を雇用している縫製業については、回答者の3%しか就職したくないとのこと。給与が安く労働条件も厳しいので、できれば仕事したくない分野だということでしょうか。
雇用者側の意識調査では、あまり面白い回答がありません。ただ課題として指摘できるのは、79%の企業が「大学などと一切連絡体制がない」と回答しており、今後は日本のように教育機関と連携して学生に就職斡旋できる体制構築が必須であると思われます。
また、必要な技能だけれどそれを持っている若者を見つけるのが難しい技能としては45%の雇用者が「経営力」をあげています。でも、経営力なんて、年齢に関係なく、なかなか能力のある人を見つけるのは難しい気がするのですが・・・・。
ジェンダー観点から面白いのは、働いている若者の将来に対する希望。男性は22%が結婚して子どもを持つことですが、女性は13%のみ。また同時に、「海外に行ってみたい・住んでみたい」と回答した男性は7%なのに、女性は15%。女性のほうが男性より冒険心が強いというのは、頼もしい結果だと思いました。