ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

クメールルージュ時代の女性に対する暴力と現在のジェンダー問題

2012年05月31日 | 女性の自立

 

「クメールルージュ時代の女性に対する暴力と現在の女性に対する暴力の相関性」に関する13回の連続セミナーが、クメールルージュ国際法廷主催で開催されることになり、第一回目のセミナーで講演することに。

↓ホテルインターコンチネンタルで開催

ジェンダーNGO,人権NGO,トランジショナル正義NGOからの出席者60名ほどがあつまって、クメールルージュ時代のトラウマをかかえているカンボジア人たちとどうやって現在のジェンダー問題(特に家庭内暴力とか)に対応していくかっていう協議をすることが目的。

ジェンダーNGOは、現在の問題(レイプとか家庭内暴力とか)に対応しているんだけれど、「じゃあ、その問題がクメールルージュ時代のトラウマとどう関連性があるか」という視点はほとんどない。家庭内暴力は、実のところ、クメールルージュ時代の家庭崩壊とか強制結婚に問題の根源がある場合が多くて、カンボジアのコンテクストでは、過去と現在をつなげて対処することがとても重要なのだ。

↓Transitional Justiceっていう難しい概念の講義

わたしは、過去と現在をつなげるって試みを、自分の調査でやったことがあるので、今回呼ばれて参加。自分の大学の学生たちが、あまりにも過去に対して無知・無関心であることに危機感をおぼえて、学生たちにクメールルージュ時代の女性に対する暴力の調査をやってもらうことを通じて、過去の問題が現在の問題にどう関連していて自分たちの生活にどう直結しているか考えてもらったのだ。

↓組織のジェンダー主流化についても協議するわたしたち、ちょっと視点がちがうかも・・・・

↓女性に対する暴力にかかわる人たちの課題について協議

セミナー自体は、内容もおもしろかったし、協議の内容も新しい視点からでよかったのだけれど、何とも許せんことに、議事進行は基本的に英語・・・・クメールルージュ裁判所は、3人も通訳を雇用してたのに、同時通訳はなしで、英語で話さずをえないってかんじのセミナー。通訳の3人は、数か所で通訳が必要な人たちにはりついて同時通訳してて、なんともやりにくセミナーだったのである。なんたるこっちゃ。

裁判所、もし一流ホテルでセミナーする予算があるのであれば、同時通訳ブースとヘッドフォンくらい準備すればいいのに・・・・って、久しぶりに、セミナーのロジの大切さを感じたのである。活動家の人たち、クメール語でとても貴重な情報共有をしてくれたんだけれど、どのくらい英語スピーカーにつたわったのか・・・・・あーあ、いい通訳がいないからセミナーの質がおちちゃうなんて、ほんとにもったいなあ。

 

 

 


ヒラリークリントンがやってくる☆

2012年05月30日 | カンボジアの生活

 

 

7月にカンボジアで開催される、ハイレベル女性の政治対話会合、「メコン下流地域イニシアティブ会合」。アメリカ国務省とカンボジア女性省で共催するので、準備に駆り出されているわたし・・・・・女性に対する暴力がセッションのひとつになってるので、ペーパーを準備したり、お役所的にやらなければならないことが山ほどあるのだ。

そういえば、最近、まともに女性に対する暴力について考えてなかった・・・・・そもそも頭を使う仕事してなかった・・・・・と反省しつつ、会合で配布するブリーフノートをちょこちょこと作成。

そういう仕事をしてみると、いやはや、統計の重要性を改めて痛感。カンボジアは、ともかく統計が弱い国。女性に対する暴力も、まともな統計がなくって、えーん、家庭内暴力の被害にあった女性(過去12か月)は、12%っていうちょっと信じられない統計なのだ。結婚したことのある女性に、結婚生活で一度でも暴力の被害にあったことは、っていう質問をすると、22%になるんだけれど。

強かんについては、2009年に警察に報告があった件数は、たったの365。NGOだけでも、1000件くらい取り扱ってるんじゃないかしらん?

いろいろとペーパーを準備してみても、メディアが聞きたいことは、きっと土地問題に関連する人権侵害とか、マレーシアへの移住者の人権侵害とか、たぶん役所が話したくないことに集中するのでは・・・・・??むむむ、どうするかなあ。

↓エッフェル塔周辺をお散歩

 

 


「命に会いたい」:不妊治療

2012年05月29日 | 女性の自立

 

 

「命に会いたい」は、穴井夕子さんという歌手が書いた、ご自身の不妊治療の体験談。

 

穴井さんって、わたしは知らないけれど、有名な人なのかな?配偶者は、ゴルフの横田真一さんらしいけれど、さらに知らない人。

2年間の不妊治療の経験を書いているのだけれど、人工授精1回目で妊娠に成功しているので、相当ラッキーなのだと推察する。

とにかく夫が理解のあるよくできた人格者だなあと思うのである。

穴井さんは、出産のとき、とてもとても痛い(のは当然)ので苦しむのだけれど、「赤ちゃんはうまれてきたいんだ!!やるしかない!」って自分に言い聞かせる。すごいなあと、尊敬してしまうなあ・・・・自分の出産のときは痛くていたくて、子どものことなんて考えられなかったなあ・・・・・。

↓パリでお散歩してたのが、遠い昔のことのよう・・・・・

友達が不妊治療に成功して、双子を妊娠中。「排卵日になると、母親が電話かけてくるのよ・・・・」っていうすさまじいストレスの生活を半年以上耐え抜いて、やっとさずかった子どもたち。無事にうまれるといいな。

 

 

 

 


クメールルージュ時代の女性に対する暴力

2012年05月29日 | 女性の自立

 

クメール・ルージュ時代の女性に対する暴力に関する調査が、カンボジア弁護士の会(Cambodian Defenders Project)によって実施され、調査報告書のお披露目会が開催。この分野のパイオニアと称されるわたし、お披露目会にも招待されるのである。

↓80名以上が参加

今回の調査も、私の実施した調査と同じような結果が出ていて、やはり女性に対する暴力が「日常茶飯事」だったのだと証明されることに。インタビューされた人の8割は当時暴力があったことについて知っていたと回答、5割以上が実際に犯罪の目撃者。

クンメールルージュ(中央政府)による「道徳犯罪」の禁止が、末端レベルではほとんど意味をもたなかったこともあきらかに。

今回のお披露目会、準備は万端だったはずなのだけれど、主催者側は、ちょっと大きなミスをしてしまったのだ。というのも、カウンセラーを招待していなかったこと。今回の調査員の男性の一人が、お披露目会で調査結果を報告しているうちに、感情的になってしまって、泣きだしてしまったので、対応できない主催者側のせいで会場はしーんとなってしまい・・・・・・。彼は、これまで誰にも言えなかった自分の両親の苦しみ(父親は殺され母親は強制結婚させられた)を語り始めたのだ。何度も声をつまらせて、涙をクロマーでぬぐいながら語った彼に対して、誰も手を伸ばさなかったのだ。

昨年ケープタウンで開催された性暴力調査の世界レベルでのネットワーク会合に行ったときの最後のセッション議題は、「調査員が自分の感情をどうコントロールするか、トラウマとどう向き合うか」。わたしもそうだったけれど、性暴力の被害者からインタビューをとるっていうのは、想像を絶するエネルギーを消耗するし、わたしも調査直後はひどいトラウマに苦しめらて、調査結果を見たくもない時期があったのだ。

今後、被害の実態を語ってくれた人たちをエンパワーメントして、次世代にもこの問題を語り継いでいくことが重要だなあと、改めて使命感をかんじるのである。

 

 

 

 

 

 


おとなになったら、なんになりたい?

2012年05月28日 | カンボジアの母子保健

 

 

「Dreams、おとおなになったら、なんになりたい?」は、世界中の子どもたちの夢を紹介した本。子どもの写真や生活風景(家族とか)がメインで、将来の夢がちょこっと紹介されている、写真集。

カンボジアの子どもの夢も紹介されているし、子どもたちっていろんな夢をもってるんだなあって考えさせられて、とてもおもしろい。

 「獣医になりたい」、「牛の世話をする」、「海軍の兵隊」、「お姫様」、「大統領」、「宇宙飛行士」などなど、子どもたちの夢は幅広いのである。立派だと思ったのは、ベトナムの子ども、「両親のためになりたい」(ちょっと共産主義的かしらん)、おやっ???て思うのはラオスのこどもの夢、「税関の人」(理由がちょっとかなしい事実に基づいてる気がするなあ)。

以前、全員国籍が違うジェンダー専門家の飲み会の場で、「私には夢があって・・・・・(将来バーを併設するシェルターを作って、女性の自立支援をしたいetc)・・・・・で、みんなの夢は?」って聞いたら、夢を持ってるのはたった一人で、「幼稚園を経営したい」。「夢かあ…持ってた時もあったなあ・・・・」。 平均年齢が40歳を超えてた飲み会だったからかもしれないけれど、夢を持ってる人って、あまりいないのである。

いつまでも、夢は持ってたいな。

 

 

 

 


あるカップルの24時間

2012年05月28日 | カンボジアのジェンダー規範

 

久しぶりに、学生相手に「あるカップルの24時間」ゲームをすることに。これは、ジェンダーって何かを考えてもらうための基礎的なゲームで、何度やっても賑やかで楽しいゲーム。

内容は簡単で、あるカップル(子どものいる夫婦)が朝から夜まで何をやってるか、一時間きざみに書き出して、男女の役割を比較するだけ。

↓6つのグループに分けて討論

「ジェンダー学だから女性の学生が多いんですか」と聞かれることがおおいのだけれど、一般教養科目のジェンダー学なので、学生は圧倒的に男性がおおい。僧侶も数名いるところが、カンボジアらしい。

↓このグループは女性は一人のみ

みんなで協議したあと、グループ発表。

↓僧侶が「妻」、女子学生が「夫」として自分の役割を紹介

3つのグループは、プノンペンに住むカップル。3つのグループは、プレアビヒアの超田舎に住むカップル。

↓図の左端が時間、真ん中が妻の仕事、右が夫の仕事

どのグループも、一目瞭然で、妻がほとんどの家事を担当しているのが明確。

ただ、若者たちは、なかなかえらくって、「時々、夫も、夕食の準備をてつだう」とか、「妻が料理しているあいだ、夫は子どもの宿題をみる」とか、夫が家事や子育てに参画する?したい?っていう意欲をみせるのである。

面白いのは、どのグループも、夜1-2時間、夫婦が「お話」の時間をもっているとしたこと。「将来のことについて話し合う」とか、「お金をどうやってもっとかせぐか相談する」とか、「子どもの相談にのってあげる」とか、その内容はいろいろ。日本の夫婦って、そんなに会話してるんだろうか?食後はテレビみたりネットやったり、個々人が好きなことしてるんじゃないだろうか?などなど、カンボジアの家族の在り方について、考えるのである。

 

 

 


選挙キャンペーン2012

2012年05月27日 | カンボジアの生活

 

早朝のプノンペン。今週末の選挙にむけて、選挙カーが大挙して終結しているのである。

選挙運動に参加したら、与党の場合、2万リエルくらいもらえるらしい。野党だと1万リエル?だそうな。味の素をもらえたり、Tシャツをもらえたり、選挙ってとってもおカネがかかるのねえ。

↓バンドを積んでるトラック、にぎやか~

 

若者を動員しているみたいで、うじゃうじゃと若い人たちが広場に集まってるのである。

選挙は、一大イベント。圧倒的に与党が強いカンボジア、野党の人たちはちょっとさみしそうに選挙活動を展開中。

マニフェストとか、ないんだよな・・・・・・選挙公約とかないんだよな・・・・・・むむむむ、なんたるこっちゃ。

 

 

 


パリのお肉屋さん・お惣菜屋さん

2012年05月26日 | カンボジアで感じたこと

 

久しぶりのカンボジア生活。仕事に専念するため、外食をひかえて、ひたすら作業をするわたし。パリでおいしいものばっかり食べてたから、ちょっとは質素に生活して、体調維持を心がけるのである。仕事のためには体力と健康が一番大切☆

でも、パリの写真をみてると、楽しかったなあ・・・・・

↓パリで近所にあった肉屋さん

↓おいしそうなソーセージがたくさん

↓子どもが大好きなパテ

↓サラダも充実

パリには、町のいろんなところにこういうお惣菜屋さんとか肉屋さんがあって、食生活が豊かだなあと思うのである。

 


信じられない裁判

2012年05月26日 | 女性の自立

 

 

もともと活動家なので、人権侵害事案が発生すると黙ってられないわたし。

今回、久しぶりに許せん事件が発生。

女性13名が土地問題の抗議活動中に逮捕されて、即座に裁判が行われて(それも3時間ちょっとの裁判)、最長2年半の実刑判決。

ありえん・・・・・・・・絶対ありえん・・・・・

刑事裁判では、逮捕から裁判まで8か月くらい待たされるのが通常のカンボジア(それもすごい人権侵害だけれど)。こんな速攻で裁判できるなら、ほかの事件もさっさとやれ!!!!

久しぶりに、大型の人権侵害事案が発生したので、国際社会がどう反応するか・・・・

↓パリでお散歩したパッサージュ

 

 


女性最高ジョーク賞受賞作品

2012年05月25日 | 女性の自立

 

親友がメールで送ってくれた、「女性が選ぶ最高ジョーク賞」受賞作品。そんなのあるのかな?

 

ある男性が、自分は毎日仕事に行って大変な思いをしているのに、妻が家にいるのに腹がたって、「どうかわたしをオンナにしてください」と就寝前に神様に祈ったところ、祈りがかなって、朝目覚めると彼は妻になっていました。

オンナになれた彼は、さっそく一日を開始。朝食をつくって、子どもたちをおこして学校へと送り出す準備やごはんをたべさせてお弁当をつくり、子どもを学校へと送って行って、帰宅途中にクリーニングを受け取り、銀行によって用事をすませ、買い物をして、家に戻って猫の砂を片付けて犬にシャワーをあびさせ・・・・・、するとすでに午後1時。

急いでベッドメーキングをして、洗濯と掃除をすませ、キッチンを片付け、学校へと子どもを迎えに行き、子どもたちのお菓子を準備して宿題を手伝い、テレビをみながらアイロンがけ。

4時半に夕食の準備をはじめ、夕食後は片付け、雑用、子どもたちを寝かせたと思ったら、すでに夜9時。疲れ果ててたのだけれど、まだ仕事は終わってなくて、ベッドにいくと夫が待っているので、文句も言わずにお勤めを果たす。

翌朝、目覚めた彼は、神様に、「こんなはずじゃなかった。私は間違ってました、オトコにもどしてください、なんとかお願いします!!」とお祈り。 

神様の回答は、

「息子よ、いい勉強になっただろう。もちろん願いをかなえてあげよう。でも、9か月待ちなさい。昨夜妊娠してしまったのだから。」

 

 

 最高のジョークかな?