ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

少数民族の女性がつくる加工食品

2008年11月30日 | 女性の自立
カンボジアに住む少数民族は、その多くが自給自足の生活です。でも近年は、グローバライゼーションの影響を受け、お金を使う生活が少数民族にも広がってきていてます。そんな中、がんばって経済的自立を目指している女性たちがいます。

写真にある緑色の小さい箱状のものは、「ナエン」と呼ばれる魚の加工食品です。
川魚をペースト状にして辛子やにんにくとあわせ、バナナの皮でつつむだけのお菓子。
大きさにもよりますが、写真サイズのものは50個購入して400円程度でした。

カンボジア全土で作られているお菓子ですが、写真はストゥントレンという少数民族が多く住む北東州で撮影したものです。
リエウ族の女性たちが、毎日手作業で加工し、クメール人の仲介人に販売を委託しているそうです。

日本酒や辛口白ワインにぴったりの「ナエン」。うまく商業ベースに乗せてブランド化すれば、きっと女性の自立支援につながると思いした。










素敵な警察官との出会い

2008年11月29日 | 女性の自立
わたしの人生の楽しみは、素敵な人とおいしいお酒に出会うこと。

ラタナキリで素敵な男性警察官と出会って、たくさんの元気をもらいました。


カンボジアでは、内務省管轄下にある警察の中に「人身売買担当警察」という役職があります。
写真のチャン・ヒエールさんは、ラタナキリ州警察の人身売買の担当で、ジェンダー担当でもあります。左腕の腕章が、人身売買という特別な任務を負っていることを示しています。

ラタナキリではまだ人身売買の問題は表面化していませんが、かなりの数の女性が性的搾取目的の人身売買の被害にあっている可能性があるそうです。ヒエールさんは最近、被害者が3名(17歳2名と15歳1名)いる事件を直接担当し、25歳女性容疑者の身柄を拘束する功績をあげられました。被害者は、「いい仕事がある」と容疑者にだまされ、カンダール州にある買春宿に売られてしまったそうです。被害者の保護者が「おかしい」と気づいて警察に届けたのですが、女の子たちを保護できたのはすでに被害にあってからでした。

わたしも人身売買の被害者保護にかかわってきた身。この問題に取り組むには、色々な意味で自分の生命が危険にさらされる勇気があることが最低条件です。もし配偶者や子どもがいれば、まず最初に加害者からの脅迫の対象になります。ヒエールさんにこの点についてざっくばらんに聞いたところ、「プノンペンと違ってラタナキリではまだ脅迫などはないです。でも、もしあっても、被害者を救出するために、全力を尽くしたい。こまっている子どもや女性が最小限の被害で救出されるように、がんばりたい」と笑って回答されました。

「お話きけて、すっごくうれしい。日本語だけどブログで写真入で紹介してもいい?」と私から聞くと、「たいしたことしてないけど・・・・」、はにかみながら許可をもらいました。

ヒェールさんの今後の活躍、ぜひ追跡調査したいです。これでひとつ、ラタナキリを再訪する目的ができました。








少数民族:女性の自立支援

2008年11月28日 | 女性の自立
ラタナキリに住む多くの少数民族は、森林など自然環境に依存する生活をしているので現金収入の手段がありません。多くの民族では、家父長制の伝統が根強く、女性は人生の多くの場面で男性に従属させられる生活を強いられます。そのような伝統を女性の権利擁護の観点から改革し、少数民族の女性のエンパーメントを目指している非営利組織に、CAN-DO ( Cambodian NTFP Development Organization)があります。

CAM-DOは、少数民族の女性たちの組合作りをし、これまで生活のために女性が生産してきた手工芸品を、観光客などを対象に商業ベースにのせる活動をしています。現在対象としているのはラタナキリ州にある3村で、女性は115人活動に参加しています。

写真はCAN-DOが事務所と併設するショップで、カンボジアの伝統手工芸品とはかなり異なる少数民族の伝統的な作品が販売されています。値段は、卸売価格ということもあって、破格です。織物や縫製の専門家が不在なまま支援活動を実施しているため、今後の課題はどうやって商品の質を向上させていくかだそうです。

ちなみに、CAN-DOの代表は若い男性。女性の権利向上が重要であるという力強い主張を、若い男性から聞くときほどわくわくすることはありません。大量に商品を購入してしまったのは、そのせいでしょうか。

ラタナキリに行く機会があれば、ぜひショップに立ち寄って、気さくな職員たちと少数民族の生活についてお話してみてください。


CAN-DO (Cambodian NTFP Development Organization)
代表者:Mr. Heang Sarim 
携帯電話連絡先:855-92-286-383
事務所/販売所:855-75-974-189
住所:Phumbei Village, Labanseak commune, Banlung town, Ratanakiri province, Cambodia

ラタナキリで一杯!

2008年11月27日 | カンボジアの生活


カンボジアは農業が重要な産業。多くの人たちは、お米から作られたお酒を飲みます。ラタナキリでは、一風変わった容器に入って販売されているお酒を発見しました。数名の男性が集まって、ストローで飲むお酒です。

写真は、レアック池のほとりの屋台で出会った男性がお酒を楽しんでいる様子です。「写真とってもいい?」っと声をかけて近づくと、ポーズまでとってくれるだけでなく、「一緒に飲む?」と誘ってくれました。さっそく試飲したところ、日本酒と変わらない味ですが、アルコール度数はちょっと高そうです。ちなみに酒のつまみは、孵化しかけの卵を蒸したもの。写真手前に積んである白い卵です。カンボジアの男性はこの卵を食べると精力が付くと信じていて、夕方になると屋台でこの卵を食べている人たちを多く見かけます。真実の程はいかにやら。

カンボジアは日本と同じで「飲みニケーション」がとても大切な国。お酒大好きなわたしにとっては天国です。でも、多くのカンボジア人女性はお酒を飲みません。スバイリエンなど地方によっては女性もお酒を飲みますが、一般的には「お酒を飲む女性はよろしくない」と考えている人たちもまだ多いようです。人生最大の楽しみの一つを、試すこともなく一生過ごしてしまうのは「もったいない」と考えるのは私だけでしょうか。



少数民族の恋愛:ちょっとクメール人とちがう!

2008年11月26日 | 女性の自立




カンボジアの北東にあるラタナキリに来ています。プノンペンから車で8時間程度、道路はとても整備されて快適なドライブです。人口は6万人程度、その大多数が少数民族で独自の生活習慣を守っています。

写真は、クルン族の婚姻にまつわる伝統を示す家です。「結婚相手探し」のために、適齢期の子どもがいる両親が子どものために準備します。背の高い家は婚前の男性用、低い家は婚前の女性用です。通常は家庭毎に必要に応じて建設されますが、写真は観光客用に男女の家が並べて紹介されています。

現在でも多くのクメール人は、両親が決めた相手と結婚します。他方、クルン族は、適齢期になると一人で生活する家を与えられ、一人で生活します。その理由は、結婚相手を自分の意思で見つける環境を提供する習慣があるからです。

独身女性は、気に入った男性を見つけると、自分の家に「お話するために」遊びに来るように誘います。何人違う男性を誘ってもまったく問題ありません。でも、男性が女性を招くことは禁止されています。女性にのみ、結婚相手を選ぶ権利があるのです。

ただし、「お話しするだけ」ではない人たちもいて、たまには女性が結婚前に妊娠してしまう時もあります。その場合は、妊娠した女性が「あの人が最後の相手だった!」と指摘する男性が結婚して「責任」をとらなければなりません。クルン族は一夫一妻制で、その点もカンボジア人の男性が多くの女性と関係を持つ習慣がある点と大きく異なっています。

それではクルン族は女性が一生を通じて自分の権利を主張できるかというと、そうではないそうです。「お話し」を終えて正式に結婚してしまうと、妻は夫に従順であることを要求されます。女性にとって、結婚生活で大変な生活を強いられることにも少なからずあります。それは、どの社会でも同じでしょうか。

この昔からの伝統は、現在でもクルン族の3割程度が守っているそうです。
でも、伝統なんて、みんなでつくっていくもの。固定概念に縛られず、自由に好きな人と「お話し」して、結婚なんかにしばられずに楽しく好きな人と一緒に生活できるような文化のほうがいいと思ってしまうのは、わたしだけではないはず。








オンナが30歳までにやっておくべきことって?

2008年11月25日 | カンボジアの生活
仲良し友達が、あと2週間で30歳の誕生日。「20歳代でやっておかなければならないこと」について話しました。

アイディアその1:寺で瞑想

アイディアその2:ダイビングしてマンタと泳ぐ

アイディアその3:かっこいいボーイフレンドを見つける


30歳になるっていう事実は、男性にとっても重要でしょうが、女性にとっては確かにとてもとても重要なこと。
でも、過ぎてしまえば気にもならないこと。
30歳までに何をするかではなく、30歳になった後何がやりたいか、そちらを検討したいものです。


写真は、マダガスカルで撮影した素敵な笑顔。









女性に対する暴力撲滅キャンペーン開始

2008年11月24日 | カンボジアの生活
11月25日から12月10日まで、「女性に対する暴力撲滅のための白いリボンキャンペーン」が開催されます。カンボジアでも、多くのNGOが政府と協力して各地でキャンペーンを繰り広げます。毎年恒例になっている活動として、わたしも白いリボンをつけてキャンペーンに参加し、人権活動家たちといっしょにリーフレットを配ったりします。


暴力の被害にあっている女性の多くは、暴力のサイクルから抜けられなかったり、暴力を受けたことを誰にも言えずに苦しんでいます。カンボジアだけでなく、これは世界共通の問題です。そういった女性たちを1人でも多くエンパワーし、自分に自信をつけてもらって自立するお手伝いをするのが、わたしのライフワークです。



UNIFEM(国連女性開発基金)のHPから、簡単に署名活動に参加できます。

http://www.saynotoviolence.org/



@写真はUNIFEMのHPからです。


情報交換は朝食で!

2008年11月23日 | カンボジアの生活

週末の朝は、長年つきあってるカンボジア人の友達といっしょに朝食をとりながら一週間の情報交換です。
人間関係が何より大切なカンボジア社会、どこで何がおこってるか常に情報をアップデートしておかないとうまく仕事も進みません。

今週行ったシャンゼリゼ・レストランは、今かなりホットなスポットです。ちょっとリッチで活気あふれる雰囲気から、最近の明るいカンボジア情勢が見えてきます。客層は、ランドクルーザーなど高級車で乗りつける現地の家族ずれや政治家ばかり。カンボジアでは普通ですが、朝の貴重な外交の場となっています。

素敵な笑顔といっしょにワゴンで出される飲茶は、朝からビールを飲みたくなるおいしさでした。

シャンゼリゼホテル
No 185 St 61 Bang Keng Kong






日本でびっくりしたこと

2008年11月22日 | 女性の自立
プノンペンにあるパンニャサストラ大学(英語教育のエリート大学)の学生が、文化交流事業で日本を訪問しました。
みんな初めての日本です。みんなでご飯を食べながら、日本で「びっくりしたこと」を聞きました。


その1:東京に10日間いたけれど、妊娠している女性を一人しか見なかった!

その2:宿泊施設には公共の浴場しかなく、ジーンズをはいたままお風呂のドアを開けたら裸の人ばっかりでびっくりした。「入るべきか入らざるべきか」って真剣に考えた。

その3:目の不自由な人が白い杖を持ってすたすた早いスピードで歩いてるのにびっくりした。


事業を終えてカンボジア人学生が帰国する際、日本の学生は「男子学生も」涙を流して別れを惜しんだそうです。わたしが学生だった頃には、とても考えられなかったこと。日本の男性も、自由に感情表現できるようになってきたのかなって、遠い日本について思いをめぐらせました。



女性の自立って?

2008年11月21日 | 女性の自立

地方にある「女性センター」を訪問しました。農村地域で生活する女性が自立できるようになるため、技術を学んでもらえるような機会を提供している政府のセンターです。訪問したセンターでは、美容・縫製・織物を女性が学んでいて、バイク修理を男性が学んでいました。写真は、女性の生徒が美容を学んでいる様子です。

カンボジアで人口の8割が生活している農村地域での生活は、とてもシンプルです。村で生活する女性たちの日常は、シンプルな洋服で働き、化粧もしていない女性ばかりです。他方、結婚式など、冠婚葬祭は女性がおしゃれできる貴重な機会です。多くの女性たちは、わたしたちがちょっと想像できないくらいの気合を入れて外出の準備をします。女性センターで美容を学んでいる女性たちは、村の女性たちがおしゃれして外に出かけるために貢献しつつ、自分たちの生活向上のために収入を得ることを目指しています。

男性も女性も、おしゃれして素敵になって自信をつけることは大事なこと。でもカンボジアでは、女性ばかりが一生懸命張り切っているのが実情です。男性も、もっとがんばってほしいものです。