デズモンド・モリスは、動物行動学者なのだけれど、「裸のサル」で一世を風靡して以来、ジェンダー学では重要な人物。でも、じっくり読んだことはなかったかな・・・忘れてるな・・・と思って、「舞い上がったサル」を読み直すことに。
いやはや、社会学的な観点ではなくって、動物行動学的観点から社会学・ジェンダー学を考えると、なかなか面白いのだ。
↓旗振り山から海を眺める子ども
「愛の生物学」という章では、男女の性行為について、人間のそれが動物の性行為といかに違うかを詳細にわたって紹介しているのだけれど、読んでるうちに、性行為というのは人間のDNAにインプットされてて自分たちは単にその軌道にのって、見えない糸にひっぱられてるだけではないかと思ってくるのである。
モリスによると、性行動における大きな変化は、人間のメスに4つの面で見られるそうな。
1.性交のクライマックスに強烈なオルガズムを経験する(ほかの霊長類には例がない)
2.セックス可能期間が長い(ほかの霊長類は生理の前後しか性交しない)
3.排卵の時期がわからない(ほかの霊長類では排卵期に性器がふくらむなど目に見える変化がある)
4.妊娠中でもセックスができる
以上、4点をふまえて、モリスは人間がもっともセクシーな霊長類であると断言。じゃあ、男性は霊長類とそう変わりないのか・・・・っていうと、そうでもないんだろうけれど、精子レベルでの進化程度みたい。
↓子どもは、まだサルほどに賢くない・・・・・
彼の主張では、
「セックスについての猫かぶりと清教徒的な純潔主義こそ、わたしたち人類には不適切な行為規範なのであって、感応性とエロティシズムはそのかぎりにあらずなのだ。」
でも、実際にはそうではないので、モリスはその背景を分析していくのである。面白いのは、その分析方法。男女がで会った瞬間から性的接触を楽しむまでの性的経過を詳細に観察して結論をみちびく。
↓子どもは、どんなジェンダー形成をしていくんだろ?
女性に焦点があてられているけれど、「イギリスでは既婚男性の6割と既婚女性の5割が配偶者以外とセックスする」というデータをもとに、「強い精子」と「ほかの精子の前進を邪魔する精子」についての発見も、なかなか興味深い。ほんとかな?って思っちゃうんだけれど・・・・・。そもそも、男性は性体験を3倍多く申告するというし、女性は3分の1しか申告しないってデーターもあるんだから、イギリス社会はとんでもなく国教会的ではないってことになるのだ。
日本にいると、読書の時間がとれるので、とっても勉強になるし、リフレッシュになるなあ。来学期からのジェンダー学の講義にもいろいろとモリスのことを紹介したいなあ・・・でもちょっと過激すぎるかなあと思うのである。