HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

芸術という名のライブ

2007年05月27日 | 洋楽
5月24日(木)晴。真っ青なまるで夏のような空。大阪南港にあるZEPP-OSAKA。NIN(ナイン・インチ・ネイルズ)のライブ。

夕方16時頃につくとスペシャル会員の人たちが列を作っていた。なんかの特典があるのか、メンバーに会えるのか、そんな感じだった。17時から先行グッズ販売。2週間ほど前に来たグッドシャーロットの雰囲気とは違った。というかファンの雰囲気も違った。年齢層がやや高く、20代後半から30代が多い感じがした。そして外国人が驚くほど多くて、これって日本のライブだよね?っていう国際色だった。

今回はファン層がそういう感じだったし、でかい男の人がなぜか多い感じだったので、どれだけ暴れるか想像できないから一番前はやめて3ブロックぐらい後ろの柵の前に立った。ステージは結構良く見える場所だった。

とにかく、まったく知らないライブだから、CDで聴いている音楽がどのように展開されるのか心はまっさらな状態でのぞんだ。

予想外に前座なるバンドがいて、海外のバンドなんだけど、それはよくわからなかった。ただ、ベーシストの女性が素敵で、彼女だけを見ていた。

私の周囲には男性が多くいて、海外からの客もかなりいた。中には家族できていたんだと思うけど、高校生ぐらいの女の子が珍しくいて、私のいっしょにいった弟子Aとやっと同じぐらいの年齢の子を見つけた感じだ。

7時開演だったんだけど、本編が始まったのが8時ぐらい。スモークがものすごくたかれていた。
スタッフがマイクのチェックをして、そしてまだ会場の照明が落とされて無い時、そうまだ明るい時にトレントの歌が聴こえてきた。え?っていう感じでマイクの方を見ていたら、なんとそのマイクの前のスタッフがステージから下へ飛び下りるとその後ろにトレントが立って歌っていた。こういうびっくりさせるのが彼は好きなんだろうね。まだ会場は明るいんだよ。で、それを見た男の子のファンがどど~っと柵を越えて、いっきに前方へアリの大軍のように押し寄せた。それはちょっと恐い感じだったけど、その必死さに彼らの思いも感じた。

このライブをひとことで表すのはすごく難しい。全編がすべて計算されて、少しの狂いもないんじゃないかというような完璧さだった。スモークをこれでもかというほど焚いていた理由・・・それはステージを見ていてわかった。これは回りのすべてのでこぼこを消すというか、会場を一枚の絵にしてしまおうという彼の意図の現れなんだなと。一枚のカンバスなんだよね。そこにライトで色をつけていく。その色や幅や角度もすべて計算されていて、なんの抜かりもない。そのライティングはふつうの感覚ではできないセンス。なんかこの会場がどこかの野外で空まで突き抜けているような感覚になっていく。最初出て来た時には照明がついていたのでしっかりトレントの顔とかメンバーの顔が見えたけれど、照明が落ちて、スモークとライティングの世界になると、トレントたちはシルエットになったり、また浮き上がってきたり、はっきり見えたりと七変化していく。しかも消えたり現れたりも自由自在で、まるで忍者のごとく、歌声はしっかり聴こえているのにあれ?今どこって消えて、また意外なところから登場してくる。曲に応じて、マイクスタンドがトレント前に2本立ったり、1本になったり、無くなったり。そしてキーボードとパソコンとギターが登場したりと展開していくんだけど、そのタイミングはびっくりするぐらいうまく計られていて、間が開かないんだよね。まるで歌舞伎の場面展開のようにテキパキと空気を乱すことなく、スタッフとメンバーは動いていくんだよね。

トレントは5月17日生まれで今年42歳になったそうだ。オアシスのリアムがまだ34歳らしいけど、どっちが年上かわかんないかんじだった。とにかくよく動くし、マイク使いも歌い方もオリジナルといっていいんだろうね。固定概念を越えてしまっている。彼自身が絵の構図の中にちゃんといて、右向きになったり、左向きになったり、正面になったり・・・

ギタリストのハイテンションぶりもすごかった。最初からステージを全力疾走しまくっていた。ベース(リードギターとかもしてたけど)の人は走りはしかなったけど、かなりテンション高く弾いていたし、その端整な顔だちがほんとうに絵になる人だった。

キーボードのアレッサンドロの誕生日が24日だったようで、なんとトレントが会場の皆にそれを伝えて、いっしょにハッピーバースデーを歌おうって言って、みんなで歌った。こんなことってあんまり無いよね。そして、アメリカ人の美女がケーキを持って登場し、アレッサンドロがろうそくの火を消したとたん、パイ投げのようにその美女が彼に向かって投げて、彼は逃げたけれど、背中に命中した。で、そのまま演奏してた(笑)


トレントは日本人の通訳を連れてきて、自分の思いを伝えてた。

「自分は自国(アメリカ)のことを悪く言っているので目をつけられていて、帰れないかもしれない。その時は日本に戻ってくるのでよろしく。君んちのソファに寝させてくれたらいいから連絡先教えて。ブッシュは悪魔だ」

というような事を言っていた。

ちゃんと日本語訳で言ってくれるのがいい。そういえばマイケミの時もちゃんと通訳を入れてくれていた。そういう心くばりっていいな。


とにかく、このNINのライブを見て、これこそ大物のライブというんだなって思った。もちろんマイケミもグッドシャーロットも素晴らしかったけれども、年輪というのか、その生きて来た分の厚みがこのライブにはあって、そして端から端までぬかりなく、計算されている隙のないライブとなって見事に私たちの前に差し出された感じだった。オアシスは大物ではあったけれども、ホールでの座席指定だったので、ゆったりしたライブだったけれど、今回のはライブハウスでスタンディングなライブで、ここまで会場をひっぱって自分も動き回って、2時間やりつくすというすごさを見せつけられた。2時間だよ。終わったら10時回っていた。アンコールはなかったけれど、それもちゃんと含めて計算してやってくれたんだ。最後の2曲はふつうはアンコールでするだろうなっていう曲だったもの。最高に盛上がる曲でみんなが知っている曲。

なんかキーボードとかを会場にあげたりしていて、こんなのなら前に行っててもよかったかな~って思うほどだった。私の回りもグッドシャーロットの時とは大違いで押されることもなく、自分のペースでジャンプとかできるスペースがあって、心地よかった。それにしても私もいい年して、こんなに身体が身軽だったっけ?って思うほど飛びまくっていた。なんかすごく幸せだった。

ライトの色がとにかくきれいで、このグラデーションは何?っていうほどアートだった。

「HURT」というバラードの時はキーボードのアレッサンドロとトレントが2人でメインでやるんだけど、赤いライティングがほんと曲とともに胸にささってきた。涙があふれてきた。


言葉で伝えるのは本当に難しいと思った。今回のライブについては特にそうだ。NINの音楽というのはもしかしたら、ライブで初めて完成するのかもしれないって思った。


バラードの曲になると会場の人がライターに火をつけてペンライトのようにゆらす。ちょっと危なかしい気もしたけれど、何人かが静かな曲の間それをするとどこか荘厳な雰囲気になった。もちろん、動きのある時になるとすぐに消されたけれどね。

私はもっとトレントがクールな人だと思っていた。でも、実際のライブを経験して、彼の人間としての温かさ、何かといつも戦っている正義感、ものを作り上げる完璧主義そういうものをすごく感じた。

私は彼と10歳も違うわけではないので、彼と同じ時代を生きて来たんだと思うとなんだかうれしくなった。きっと同じ音楽を多感な時期に聴いて、同じニュースに一喜一憂してきたんだと思うだけで、なんとも言えない気持ちになった。


もともと大のファンはまだ16歳の弟子Aの方だった。彼女から聴いた方がいいって教えてもらったんだ。彼女の耳と感性にはほんと驚く。そんな彼女はギタリストとしてますます最近腕をあげてきていて、本当に音楽が好きなんだな~って感じる。


今はこれぐらいを感想として書くのが精一杯だ。また何か思い出したり、気持ちが整理できたら書くかもしれない。


トレント・レズナーっていう人はほんと凄い人だ。

コメント (5)
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