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「こういう組織の存続を許すこと自体が問題」-杜撰なもんじゅ点検漏れ問題、日本原子力研究開発機構に鉄槌

2013-05-15 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
国民の血税を何兆円も無駄にしてまだまともに稼働していない「もんじゅ」。
不祥事続出の「問題児」施設であることで名高いのであるが、
また驚くべき実態が明らかになった。

原子力規制委員会がもんじゅの再開に向けた準備作業をストップさせ、
管理体制の不備を厳しく批判したのだ。
「こうした組織の存続を許していること自体が問題」との糾弾まで出ている。

原子力規制側が漸く政治的圧力から解放されたお蔭で
(原子力擁護勢力からの歪んだ圧力はまだ続いているが)
漸くにして不都合な真実が明らかにされるようになった。

原子力規制委員会の調査によると、
現場からの意見上申に全く耳を傾けない「殿様体質」は相変わらずで、
まるでこの日本でソビエト連邦の「赤い貴族」が生き残っているかのようである。

飯田哲也氏が「幕藩体制」と呼んだ身分制度はまだ健在のようだ。
電力業界、原子力業界は「大政奉還」が行われない限り目が覚めないのであろう。

当ウェブログは少し前に以下のように書いたが、
核燃料サイクルにおいても状況は全く同じである。

「この日本では海外では通用しない奇妙なエネルギー議論が展開される。
 理由は簡単で、主に利害関係者がイデオロギーに汚染された
 非合理的な論理を使って無理に原子力を擁護するからだ」

「発信元はほぼ例外なく経産省か電力大手の関係者であり、
 余りにも意図が見え透いていて寧ろその厚顔ぶりに感心する。
 原子力推進のため次々と新しい口実を「発明」するのは彼らの得意技である」

原子力利権に固執する勢力の存在と電力大手の地域独占こそが
こうした醜悪な「エネルギー政治」の根源である。

ガスコージェネと太陽電池の自家発電によって電力大手のシェアを大幅低下させ、
利権勢力を極限まで締め上げ撃滅しない限り日本社会に未来はない。

彼らが生み出した数々の問題と政策介入、世論操作を見れば余りにも明らかである。
彼らの「業界」は利益相反とモラルハザードの巣窟だ。

 ↓ 参考

NHKが原発プロパガンダを放映拒否したのは当然の措置 - 資源エネ庁の外郭団体役員に公平中立は無理
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a493520dcf375fec2e27342bc52fd182‎

原発も除染もデタラメの温床、変わらない原子力業界の体質 - 偽装請負・搾取・安全軽視・隠蔽
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ec7aeb1086829fec446a856bca6f7aaa

▽ 原子力推進勢力はまるでソ連のような計画経済に保護されてきた

『新版 原子力の社会史 その日本的展開』(吉岡斉,朝日新聞社)


▽ 原子力業界の薄汚さを知るにはこちら(国内でカネを受け取った工作員どもが暗躍している)

『原発の深い闇』(別冊宝島 ノンフィクション)


もんじゅのずさんな管理体制指摘 規制委、見直し命令(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1503I_V10C13A5EE8000/
”高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に約1万点の機器の点検漏れが発覚した問題で、原子力規制委員会は15日、運営主体の日本原子力研究開発機構に管理体制の見直し命令を出すなどの処分を決めた。規制委の報告書からは、もんじゅのずさんな管理体制が浮かび上がる。早期の運転再開は難しく、政府の核燃料サイクル政策にも影響を与えそうだ。
 もんじゅの点検漏れは昨年11月に発覚。規制委は立ち入り検査などを通じて事実関係の確認作業を進め、同日の会合で報告書を公表した。
 報告書は、同機構の計画に機器の点検頻度だけが記され、具体的な点検時期が記載されていなかったと指摘。現場作業員への聞き取り調査で「実績管理の仕組みがない」「意見しても相手にされない」など組織への不満の声が上がったことも紹介した。また、トラブル続きで運転停止が長びき、職員の意欲が低下している点も問題視した。
 問題発覚後に事態を軽視する発言をした同機構の鈴木篤之理事長についても「職責を十分に果たしていない」と責任を追及した。報告書を受け、同日の会合では委員から「こういう組織の存続を許していること自体が問題」(島崎邦彦委員長代理)などと厳しい声が相次いだ。
 もんじゅは2010年に原子炉内への機器の落下事故を起こし、運転が停止している。原研機構は年度内の運転再開を目指してきたが、規制委は再発防止策などが整うまで再開に向けた準備作業を認めない方針。
〔中略〕
 使用済み燃料から取りだしたプルトニウムはもんじゅのような高速増殖炉で使う以外に、一般の原子炉で燃やすプルサーマル発電で利用する道もある。安倍晋三政権は核燃料サイクル政策の堅持を明言してはいるが、もんじゅの今後には言及していない。原発で出る放射性物質を減らす「専焼炉」に転用する計画も浮上するが、運転停止が長引けば存廃問題に発展する可能性も否定できない。”

この日経新聞の詳細な報道から分かるように、まさに自業自得。
寧ろ今まで放置されてきた異常さも糾弾されなければならない。
福島原発事故で漸くまともな規制監督ができるようになったということだ。

どっかの島国の首相が「日本の原子力技術は世界最高」と
つい調子に乗って口を滑らせたが、実態はこのざまである。

▽ フランスの原子力技術者は、技術力に劣る日本の原発過酷事故を予想していた

『原発大国フランスからの警告』(山口昌子)


虚構の環:第2部・政策誘導/2 視察後温泉、金券5万円…意見変えた委員(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20130418ddm002040114000c.html
” ◇「注射」と呼ぶ電力接待
 取材班は「電気事業分科会・鶴田委員他ご視察スケジュール」と題したA4判の1枚の文書を入手した。経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」の鶴田俊正委員(79)=専修大名誉教授=と友人男性が04年6月9日、東京電力幹部2人の案内で青森県六ケ所村の再処理工場を訪れる「視察」計画だ。当時分科会では原発で使用済みになった核燃料の再処理費用約19兆円を、国民が負担する制度のとりまとめが進んでおり、電力各社は早期決着を目指していた。
 鶴田氏が説明する。「青森空港経由で六ケ所に行った。視察後は浅虫温泉(青森市)に泊まって遊んだ。費用は全部東電持ち」。「視察」はこの時だけではない。山梨県の揚水発電所や新潟県の柏崎刈羽原発などにも行き、交通費や宿泊費を東電が負担した。
 電力による工作は、経産省内部で「注射」と呼ばれる。注射は視察にとどまらない。当時、鶴田氏が東電幹部と会食後、用意された車に乗り込むと座席に土産袋があった。中を見ると封筒があり5万円分の商品券が入っていた。海外旅行に行く前に餞別(せんべつ)名目で同額分の商品券を渡されたこともある。

 04年5月の分科会。鶴田氏は「使用済み核燃料を再処理せず地中に捨てる直接処分を考慮すべきだ」とする他の委員に同調する意見を述べた。直接処分を選べば再処理工場の破綻を意味する。
 六ケ所視察後、鶴田氏の姿勢は一変する。
同6月18日の分科会で直接処分が議題になっても無言を貫いた。経産省職員は変節とみた。鶴田氏が答えた。「確かに変わった。しかし商品券や旅行のせいではない。いろいろ見て理解したということ」。そのうえで「東電はえげつないことをやっている。その一環で学者の私にアプローチしてきた。東電が福島(の原発誘致)に出したカネに比べれば微々たるもの」と話した。
     ◇ 
 福島第1原発事故後、7人の有識者が核燃サイクル政策見直しについて議論した内閣府原子力委員会の小委員会。メンバーの一人が昨年2月ごろ「いろいろな財務諸表を見るが、あの会社ほど不透明な会社はない」と関係者に漏らした。
 「あの会社」は再処理工場を経営する日本原燃。トラブル続きで工場は稼働していないのに、人件費や減価償却費など年約3000億円もの固定費を計上する。「このメンバーは原燃に厳しい姿勢を示すのではないか」。内閣府関係者は予想した。ところが小委員会では「核燃サイクル政策変更によって企業に与える影響が大きい場合、セーフティーネット(救済策)を用意する必要がある」と原燃の主張に沿う発言をした
〔中略〕
 同8月公表の調査報告書によると、「説明」と称する電力側からの接触は7人中4人に及んだ。問題のメンバーに面会したのは原燃と電気事業連合会幹部。注射をうかがわせる証言はない。ただ姿勢が変わったように見える。確認のため取材を申し込んだが、メンバーは拒否した。(肩書は当時)=つづく”

毎日新聞が鋭い取材で腐敗した原子力利権勢力の本性を暴いている。
こうした買収行為が彼らにとっては「常識」「当然の業務」だったのである。

読売新聞や産経新聞ではこうした記事は絶対に出ない。
この手の取材は「社内検閲」を受けて封殺されるからだ。
情報操作されている読者はぜひこうした「不都合な真実」を知っておこう。


虚構の環:第2部・政策誘導/3 発行元示さず再処理の意義強調、議員に配布(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20130419ddm002040093000c.html
” ◇データ誇張、原燃が「怪文書」
 昨年夏、青森県六ケ所村の再処理工場を経営する「日本原燃」幹部が東京・永田町の与野党国会議員の事務所を回り、A4判13ページの文書を配布した。表題は「今後の核燃料サイクル政策について(六ケ所再処理工場の運転)」。
〔中略〕
 使用済み核燃料の取り扱い方法について、約70人の民主党国会議員が勉強会を作り、昨年2月「最終処分にめどが立つまで、国が中心になって廃棄物を保管する(責任保管)」とする提言をまとめていた。再処理を当面中断し電力消費地に分散して保管する案だ。「怪文書」はこれにかみついた。「責任保管は実現不可能。荒唐無稽(むけい)な無責任提案」
 昨年7月、若手議員が原燃幹部を呼び止めて言った。「消費地の議論を巻き起こすための提案。それを荒唐無稽と言うのか」。すると「そんな紙、この世にありません」ととぼけた。発行元を記載していないことを悪用し、文書の存在を認めない姿勢に、議員は「異常だ」と憤る。
 文書にはデータの誇張もあった。現存する約1.7万トンの使用済み核燃料からプルトニウムやウランを回収して発電に再利用すれば、約1.5兆キロワット時の電力量が得られると記載されている。原燃によると、使用済み核燃料を再処理して新燃料を生み出す割合(再生率)を26%と仮定している。
 内閣府関係者が異論を唱える。「回収ウランを燃料に変える工場は日本にはない。計画さえなく、今世紀半ばまでは実現しないだろう。現状で使えるのは回収プルトニウムだけだから再生率は10%」。そうなると、再処理後の発電量は約5600億キロワット時と4割弱にしぼむ。
原燃の広報担当者は「作成者は田中治邦専務。発行元を記載していないのは、社内用の文書だからだが(外部の人に)個別に見ていただく時に使用することはある。データについては、一定の前提で計算した一例であり、誇張ではない」としている。
     ◇
 電力10社で作る電気事業連合会も議員向けに文書を配布する。取材班は04年5月に配られたA4判37ページの文書「原子燃料サイクルについて-なぜ再処理を進めるのか-」を入手した。
 小出裕章・京大原子炉実験所助教が批判する。文書が「使用済み燃料の95%以上はまだ使えるプルトニウムやウラン」と表記している点について、小出氏は「93%は高速増殖炉がない現状では燃やすことができないウラン238。ばかげた資料だ」と語る。さらに「(再処理すると)廃棄物全体の放射能は10分の1程度に低減」との記載に対し「放射能(放射線量)は減らない。吸い込んだ時の人体への影響を示す数値(毒性度)と混同している」と指摘した。
 昨年8月末、電事連の幹部と関西電力の副社長が別々に、まったく同じ文書を持参して永田町の議員会館を回った。事故を反省する記載は一切なく「原発ゼロは電気料金の大幅な上昇を招く」などと再稼働を求める内容で、原燃同様、発行元を表記していなかった。(肩書は当時)=つづく”

原子力利権勢力がどのような策動を行っているかは
この報道からもありありと分かる。到底まともな勢力ではない。

かつてならメディアを黙らせる宣伝費で腐った実態を隠す隠蔽活動も容易にできたが、
今はそうではない。議論を拒否して情報操作を図る強烈な独善性は、
そのまま全てが日本国民からの不信となって跳ね返ってくる。
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