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泉田新潟県知事の原発安全審査への批判「確率的に事故は起きるもの」- 池田信夫説は見事に完敗

2013-10-31 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今現在、原発再稼働を巡って二つの勢力がぶつかり合っている。
片方は電力会社の収益と政治力のあるエネルギー多消費型の大企業の利害のため、
電力料金の高騰を脅しの材料に使う再稼働推進派である。
(マインドコントロール下にあるイデオロギストも少し加わっている)

この勢力の特徴は、エネルギー政策を牛耳ってきた利権勢力を全く批判しない、
関西電力のように原子力依存度を高めたため赤字転落した経営判断の誤りを追及しない、
電力大手の火力発電のエネルギー効率の悪さを理解していないという三点である。

意図的なものであれば単なる利権擁護であるし、無知のせいであれば愚劣である。
どちらにしても日本経済にとって害悪に他ならない。

一方、原発再稼働反対派は福島原発事故の甚大な被害に衝撃を受け、
これまで電力会社の広告費で隠されていた暗部を知り原子力への根深い不信を持っている。

日本経済のためを思えば、再稼働反対の方が有益である。
何故ならこの人口減少・超高齢化社会で、巨大な有効需要が発生しているからだ。
だから原発再稼働を防げば防ぐほど日本経済は成長できる
合理的な市場はエネルギー効率を高めコストを低下させる省エネ投資を選ぶであろう。
原発再稼働を待っているような保守退嬰・依存型企業は市場から退場すべきだ。

…週刊朝日で泉田新潟県知事が現状の原発安全審査を批判しているが、
海外の過酷事故対策の事例を挙げつつ日本の安全対策の後進性を説き、
2007年の柏崎刈羽での経験を元に事故の際の備えが杜撰であることを指摘している。

安全対策においても我が国の原子力は信用できず、
経済的に見てもレント(利権)にしかならないのだから、
新規投資や成長率を抑制する核エネルギーは日本に不要である。

「自民党はそもそもイデオロギーに基づいて原子力を育ててきた政党であり、
 (原子力は非常に未熟な技術でタービンや風力、太陽光のようにコストが下がらない)
 大企業と癒着した電力族が要職にあるため「改革」などできないのが実態だ」

「今の日本の現状では、過酷事故や廃炉といった巨額のツケは国民に回すことによって
 エネルギー多消費型の大企業が安い電力コストを享受できるというのが「真実」である」

「我が国の原子力は、過酷事故の「実績」から考えて到底コストに見合わない。
 福島第一レベルの過酷事故が僅か50年程度で起きたのである。
 洗脳された連中が「1000年に1度の事故」などほざくのは架空の数字を捏造するためだ」

「原子力推進・維持の「口実」がくるくる変わってきたのは動かしようのない事実であり、
 真の理由が「洗脳」もしくは「利権」にあることを雄弁に物語っている」

原発再稼働推進派はエネルギー問題のリテラシーが低く、
原子力に好都合な情報しか喋らないので却って不信を買う自業自得の罠に陥っている。

 ↓ 参考

超えられない「小泉」、エネルギー問題を理解しない安倍首相-「日本は資源小国」「ドイツは電力融通可能」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1e728177db26a44706a2500cd9458bfa‎

また原発がガス火力に敗北、「原子力の終わり」が先進国の常識 - コスト面でも劣悪な原子力に未来なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e310cabda443acde48a3510c61abdec9

▽ 省エネによって成長率は高まるが、原子力比率は全く関係ない

『欧州のエネルギーシフト』(脇坂紀行,岩波書店)


泉田新潟県知事が激白! 「東電まかせではまた事故が起こる」(週刊朝日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131031-00000002-sasahi-soci
”東京電力柏崎刈羽原発の安全審査申請を「条件」付きで承認した泉田裕彦新潟県知事。しかし、原子力規制委員には大きな不満があると激白する。

――原子力規制委は、汚染水問題に手間取る東電の安全体制が信頼できないと、東電の広瀬直己社長との面談を終えるまで、適合審査を延期する構えです。規制委が作って7月に施行された原発の新基準については、どう思いますか。

 欧米ではメルトダウンが起きることを前提に対策を立てています。例えばヨーロッパでは、最新の原発にはコアキャッチャーという装置が付いていて、メルトダウン事故が起きても炉心をキャッチして冷却設備に流し込む仕組みを持っている。アメリカでは01年の同時多発テロの後、“B5b”というテロ対策を作った。どんなテロがあっても数時間で駆けつけて原子炉を冷却し、放射能の飛散を防ぐのです。その点、日本の基準は不備です。

――日本の新基準には、そういう項目はありません。

 今の基準はバッテリーが二重になっていて隣り合っていないかとか、機器や設備の性能に関するものばかり。メルトダウン事故がいかに起きないようにするかという、「第二の安全神話」を作ってしまっている。確率的に事故は起きるものなのに、いざというときに誰が危険な現場に突入するのかすら決められていない。福島のように、事故が起きてからその場でまた「決死隊」を募るんでしょうか。その辺りの法整備も、まったくできていません。

――原子力規制委の田中俊一委員長に面会を申し込んでいるのに、会ってくれないそうですね。知事を「かなり個性的な発言をしている」と批判しています。

 規制委に国民の命と安全と財産を本気で守るつもりがあるのか疑問です。守っているのは、電力会社の財産ではないか。規制委には地方自治に明るい委員が一人もおらず、断層のチームと原発設備のチームしかない。新潟県は中越沖地震のときに原発事故との複合災害を身をもって体験しています。渋滞で車が動かなくなって、緊急自動車もなかなか原発にたどり着けない。そういう話を、彼らは聞こうともしないのです。

――田中委員長は、原発再稼働と住民の防災計画は「直結しない」と発言していました。

 政府の中での役割として、原子力利用の安全確保に関することはすべて規制委の管轄なんです。例えば、甲状腺の被曝を防ぐヨウ素剤の服用について薬事法の改正が必要な場合などでも、規制委は他省庁への勧告権を持っている。原発の性能基準だけ審査して後はやりませんと言うのなら、責任回避以外の何ものでもありません。

――規制委は、自らの責任から逃げていると。

 例えば福島第一原発事故のように原子炉への海水注入が必要となったとき、誰が責任を持って決断するのか。規制委は「事業者の責任だ」と言うでしょうが、海水を注入して5千億円の原子炉をパーにする決断は、サラリーマンの現場所長にできるか疑問です。経営者も簡単にできないでしょう。万が一のときは安全のために国が補償します、というような制度を作るべきではないか。だから、福島の検証と総括が必要なんです。”

自治体の長としては至極もっともで、何も不思議はない。
福島に近く地域経済への深刻な打撃を目の当たりにしているからだ。

距離の離れた西日本の自治体や、原発立地から遠い東京で語る評論家の中には
所詮は他人事なので、つべこべ言わず安い電力を送れという傲慢なメンタリティの連中もいる。


安全審査を妨害する泉田知事が電気代を2割上げる(池田信夫)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51871621.html
”柏崎刈羽原発についての原子力規制委員会の安全審査を妨害して批判を浴びた泉田新潟県知事がインタビューで言い訳しているが、話が論理的に矛盾していて意味不明だ。
 彼が「建屋とフィルターベントの施設を一体化させてほしい」というのは地元の陳情にすぎず、そんなものにいちいち規制委が答える義務はない。そういう問題も含めて安全性を審査するのが規制委の仕事であり、泉田氏はそれに介入する権限も専門知識もない。ちなみにフィルターベントについては、NRCは新安全基準で義務づけを見送っている。
〔中略〕
 これまでも泉田氏は「福島の検証が終わらないうちは、柏崎の再稼働は認めない」と主張してきたが、彼は事故の「本質」をすでに知っているのだから、もう検証の必要はない。政府・国会に加えて民間事故調まで詳細な報告書を出しているのだから、検証は十分だ。彼も自分で言っているように、津波による電源喪失が原因である。
 「メルトダウンについて、誰が嘘をつけと言ったのか、東電は説明する必要がある」に至っては事実誤認だ。私が3月12日の記事で書いたように、東電の初期の報告には「燃料溶融」という言葉があり、枝野官房長官は「炉心溶融のおそれがある」と言っている。初期にmeltdownという英語を使わなかったのは、この意味が曖昧で、圧力容器や格納容器が破壊される全壊事故(breakdown)の意味に使われる場合があるためだ。福島では、最終的に炉心はすべて溶けていたが、圧力容器は破壊されていないので、狭義のメルトダウンではない。
 地元の柏崎市も刈羽村も安全審査の申請に合意しているのに、県が審査を妨害する法的根拠は何もない
〔中略〕
 本来は柏崎は安全審査の第1弾になるはずだった。東電の家庭用電気料金は8.5%値上げされたが、これは柏崎が動いているという架空の前提で算出したもので、このまま再稼働できないと、さらに8.5%(合計17%)の値上げが必要になる、と東電は言っている。自由化されている大口料金は合計2割以上は上がるだろう。これで関東地方から製造業が出ていったら、二度と元には戻らない。
 合計820万kWの柏崎を1年間止めておくと、東電は約1兆円のLNGや原油を余分に輸入しなければならない。これは今度、政府が支援を決めた汚染水処理費用470億円の20倍以上である。すでに東電は資金繰りに困る状況になっており、柏崎が動かないと汚染水の処理も遅れ、納税者の負担も増える。意味不明の「検証」を求めて安全審査を妨害する泉田知事は、今や日本経済の脅威である。”

さて福島原発事故以来とみに評価を落とした池田信夫氏の主張。
こうした原理主義者の尊大で虎威を借る態度が国民の不信を買うのである。

はっきり言っておくが、再稼働がなくとも日本経済の成長率は下がらない。
製造業全体の電力コスト平均は僅か数%でしかなく、
寧ろ省エネ投資で成長率は向上するのである。

あの電力事情の悪い中国ですら企業は進出するのだから、市場の成長性の方が重要だ。
どうしても電力コストの高い企業はごく少数だから、税制優遇すれば済む話。

東電にバカ高い値段でガスを買わせて顧客にコスト転嫁させるのではなく、
ガスコージェネで分散発電を行ってエネルギー効率を高めれば1兆円ぐらい軽く節減できる。
日本のエネルギー転換(=発電)部門の効率の悪さを全く理解していないのは論外だ。

事実上、電力自由化を妨害してきた電力大手の利害の代弁者に堕している以上、
執筆者はソ連や中国のような統制経済を支持していると考えざるを得ない。

▽ 原子力政策は旧ソ連そっくりの「計画経済」、多額の公費を蕩尽して不祥事だらけ

『新版 原子力の社会史 その日本的展開』(吉岡斉,朝日新聞社)


▽ エネルギー多消費セクターには雇用創出力は殆どなく、サービス業の方が重要

『グリーン経済最前線』(末吉竹二郎/井田徹治,岩波書店)


 ↓ 推進派が絶対に言わない「不都合な真実」

「気温40度を期待」「昔のように金で世論操作できない」- 原子力利権勢力の本音、公益より再稼働を願う
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e47039874adf99ed08ab2ec713967d9d

再生可能エネが2016年までに原発の2倍の規模に急拡大、1年で原発100基分の増加 - IEAの見通し
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/81df39252058c2f2d70d3f9d210b7fcd

池田信夫氏は原発停止で日本経済が大変なことになると警告したと記憶している。
勿論、見事に外れている。今後もまた外すだろう。名誉ある逆指標の称号を献呈しよう。
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