mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

一変する雪化粧に悲喜こもごも

2024-01-17 08:43:51 | 日記
 大雪注意報の出ていた関東北部へ、一昨日から昨日まで「ささらほうさら」の合宿に行ってきた。これまでの恒例は伊香保だったのだが、コロナ禍解除後の値上げと人手不足の扱いに少しばかり場を代えようかと奥日光へと車を走らせる。月曜日とあって、東北道はトラックが多い。だが混むというほどではなく、運転手はいろは坂から上の雪道の懸念を口にする。函館の生まれというのに、なぜそんなに心配するのだろう。
 これ、夏タイヤ?
 まさか、ちゃんとスノータイヤにしてますよ。でもね、雪が溶けてたり、圧雪が凍っていたりすると滑るんですよ。
 と、蘊蓄を語る。が、はじめての奥日光。知らない土地を走る不安なのだろうなと推測する。ところが日光道に入っても雪はない。いろは坂の入口でも外気温は4℃。雪はない。凍ってもいない。前後を走る車もない。合流点へ先についた車から電話が入る。
「店、開いてないよ」
 実は前日、月曜日だからお店開いてないかもよとカミサンに言われて、ネットで調べた。駐車場あり、年中無休とあったから、幹事にも問い合わせることはないと放っておいた。近場の店が開いていてそちらに変更した。そうだ、日光の冬は閉店する店が多い。店の方々も避寒のために「下へ降りる」。そもそも人が来ないのだ。だから山の会は、冬になるとここにやってきて泊まりでスノーシューを愉しむ。だがこんなに雪が少なくては、それすらできなくて困るだろうなあと営業方面を慮る。
 中禅寺湖は強い風に波立っていた。かすかな粉雪が風花のように待っている。その向こうの社山や黒檜岳の姿がいつもよりくっきりとみえる。もちろん男体山や女峰山、大真名子や小真名子山は東北道からも見事な山容を誇るようであった。
 車道の路面に雪が積もっていたのは、湯元のビジターセンター傍の三叉路を曲がったところから。すっかり圧雪されているが、凸凹しているほどでもなく走るのに障りはない。こうして宿に着き、会議を始める。合宿なので、第一日目と第二日目の二本の「レポート」。いずれも八十団子の鈴木さんと河上さん。いずれこれについては、触れることがあるかもしれません。
 小降りであった粉雪はいつしか蕭々と降り続いて湯の湖は霞み、ときどき視界を遮るほどになったりして、おつ、これホワイトアウトって言うんだっけと、目を外へ向けた口をついて出る。平地に暮らす埼玉県人は雪が珍しくうれしいのだ。
 二、三人しか入っていない風呂は、ちょうどの湯温が好ましい。露天風呂に入るのは外気の寒さを堪えなければならないが、湯船に入ってしまえば、顔に当たる粉雪も却って湯あたりをしなくて長湯を愉しめる。ぼーっと浸かる。
 翌日朝、積雪量に驚く。あんな粉雪が、こんなに積もるなんてという驚きがある。30センチは越えていようか。そのふかふかとした雪質がうれしい。今週末にスノーシューでここへ訪れるリョウイチさんの奥方はきっと素敵な雪上ハイキングを愉しめるに違いない。私は、伊香保と違い、雪をつけて黙々と佇む巨木を目の前に観ながら朝食を摂る、湯元の宿の醍醐味をやっと味わってもらえたと悦んでいる。
 ところがお昼近くに宿を出て車で出発してからが、大変であった。函館生まれの運転手がおどおどして、道が見えないとしきりにぼやく。背を屈めて少し見通しの利く曇りの取れたフロントガラスの下の方を覗いている。何だ窓のくもりがとれてないじゃないか。
 デフロスターをかけてる?
 かけてるよ。
 もっと強くしなさいよ、送風を。
 と、助手席や後ろの座席から声がかかる。あなたホントに雪国の人? とまでいわれて運転手は気分が腐りかけている。三叉路に差しかかる。
 ここで曲がるんですか?
 と運転手は聞く。そりゃあ曲がるしかないよと道を知ったワタシは呟いているが、どうも運転手は雪のせいで三叉路だと見えないらしい。右の方から車が来て、三叉路とわかったみたいだ。道路の雪と除雪した雪の壁とその向こうの雪景色の端境が見て取れず、おどおどしている。勝手知ったる日光ホームフィールドのワタシは、なにしてるんだと運転初心者かいと、言葉に棘が混じる。
 でもまあ、その頃には強くしたデフロスターのお陰で前が見通せるようになり、運転手も落ち着いてきた。でもスピードは30km/hくらいでのろのろと進む。後ろから車が来ていると、脇へ寄って道を譲る。初めての雪道体験者のようにみえるが、滑るんですよ凍っているとと呟きが漏れる。緊張しているんだとわかるから、声をかけるのをやめる。これがいろは坂を下りきるまで続いた。ふだんの倍以上の時間をかけていた。慎重な人なのだね。
 日光宇都宮道路へ入ると路面の雪はなく、急にスピードを上げて走り出す。東北道ではバンバン追い越して最高速度120km/hを超す速さで合流予定のPAへ辿り着いた。これなら大宮駅に3時、3時半頃に帰宅できると踏んでいたが、加須と久喜の間で事故があったらしく、渋滞。通過するのに1時間以上かかり、運転手はすっかり草臥れていたのではなかろうか。ときどき目覚ましの利くドロップを口にしていたから、心配したが、走り始めるとさすがに函館まで車で帰るほどの熟達者、さかさかと一般道も走って無事に送り届けてもらった。いやはや、お疲れさまでした。

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