mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

風景全体が見所という公園(2)装う射爆場跡

2023-04-26 09:33:19 | 日記
 さて、栃木県「フラワーパーク」から茨城県「国立ひたち海浜公園」へ移りました。高速道路があってこその「日帰りツアー」です。
 海浜公園は広い。海に面して、南北二つの区画に分かれ、真ん中を高速からの連絡道路が貫いています。その半周ぐるりを回って駐車場に入ったから、その大きさがわかります。「国立の公園」だとその時気づきました。どうしてこんなところに? よく足を運ぶ東松山の「森林公園」も国営ですが、これは1974年設立の明治百年記念事業でした。立川の昭和記念公園は冠通りの記念事業。この「国立ひたち海浜公園」は何なのでしょうね。中央部近くに大きな観覧車が目に止まります。遊園地を意図したのでしょうか。帰ってきてから調べたら元米軍の射爆場であった土地が1973年に返還されて、「公園」とされたとありました。50年も前のこと。古い来歴を持っていたのですね。
 この時期TVや新聞で報道される如く、春のネモフィラと秋のコキアで知られています。後で考えてみると、観覧車はこの公園の象徴的なものでしたね。ネモフィラも一本一本はブルーポピーを小さくしたような花です。薄青いのが一般的。白いのもあります。一つずつをみる花というよりは、丘全面をこの花が覆って彩る景観がウリ。ここも、足利のフラワーパーク同様、風景全体がポイントでした。
 ネモフィラが植わった高さ30mほどの丘の上へジグザグに続く歩道をたくさんの人が上っています。花は一年草、周りを浅緑色のスギナなどが生え、ネモフィラの生長に必要な日影をつくっているのだろうか。でもほとんどそれは今ネモフィラの花の背景を務めています。ネモフィラは一年草だそうですから、毎年植え替えているのでしょうか。秋のコキアもこの丘に植えられて、夏の黄緑から秋の朱色へと葉色を変えていくのがウリになっています。やはり毎年季節毎に植え替えられているのでしょう。人の手によって丁寧に育てられていて、全体としての風景をみるべきものとしてつくっているのですね。足利の藤の花同様、出来上がりを見越して植え付け、剪定していく。これはもはや自然ではありません。壮大な盆栽。囲われた日本庭園のセンス。「日本の縮減文化」と韓国の評論家が言っていたか。
 野草観察を得意とする師匠もそれを感じ取っているのか、手を入れる人の作業を思いやって風景を味わっているようです。そうだ、観覧車はそれを見せようと公園の中央に位置してゆっくりと回っているのだと全体構図を読み取ったわけです。でも残念ながら観覧車には辿り着けませんでした。
 ネモフィラの咲く「みはらしの丘」に上ると、東に太平洋に向かって南北に広がる茨城港常陸那珂港区が見おろせます。その陸側には、火力発電所、日立建機やコマツといった名の知れた工場が建ち並んで、この公園に抱きかかえられているようでした。
 そこを降りて、公園の北側エリアの西の橋に行ってから中央を走る道路に渡した橋を通って、バスの駐車場に行こうと考えたのですが、1時間半の散策タイムではとても回りきれません。歩いている途中でそれに気づき最短距離を通ってバスに戻ったのです。集合時刻の5分前に到着したときには、ほかの方々はすでに席に座っていて、何だか遅刻したようなばつの悪さを感じました。
 実は足を運べなかった南側エリアには観覧車のある公園全体の監理中枢部。その南向こうにいくつものフラワーガーデンが設えられています。さらにその南には、砂丘ガーデンとか香の谷と名付けられた散策道があり、また米軍の射爆場の後だったと思われる大砂丘が広がっていると案内地図には記されていました。おそらく倍の散策時間があってもやっと回れるかどうかだと思いました。エリアの西中央部には休憩所やお店が軒を連ね、子ども連れが遊ぶにも十分な場所でもあるようでした。月曜日というのに、若い人が多かったのも、高度消費社会に入ったサービス業の時代を象徴していることのように思いました。
 そうそう、このツアーには、「いば旅あんしんクーポン」という地域応援クーポンが2千円/人、付いていました。師匠に聞いて知ったのですが、ツアー代金そのものも2割引。とすると併せて4千円/人の税金が投入されていたわけです。だがクーポンを使う時間も使える場所もありません。ガイドもそれを知っていてクーポンが使える高速SAに30分間休憩を取って使うことになりました。何とか2千円分を使おうとあじやほっけの干物などを買い求め、う~んこれって、いいことなんでしょうかね。心配になりました。