mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

春爛漫、静かな秋ヶ瀬

2020-03-06 17:09:30 | 日記
 
 今朝、半年ぶりに秋ヶ瀬へ行ってきた。昨年の10月12日台風19号で水があふれ、秋ヶ瀬公園一帯が、立入禁止になった。荒川が溢れると、これまでもよくこういうことはあったが、19号による洪水は、これまでになく大規模であったのもかかわらず、最下流の墨田川も溢れることがなかった。その分、河川敷には水や土砂が押し寄せ、遊水地もいっぱいになり、ゴルフ場も野球場も、テニスコートも、浦和レッズの連取場も、何もかもが水と土砂の下になった。
 田島ヶ原のサクラソウ自生地のボランティアをしていたカミサンも、したがって、以来よりついていない。今でも秋ヶ瀬の何カ所かある駐車場には、立ち入りできない。ところが、カミサンの鳥仲間から「テニスコートわきの駐車場だけ使えるようになった」とお「お知らせ」が入った。鳥好きな人は、何度も何度も足を運んで、何処が使える/使えないというカベにぶつかって、身をねじいれる場所を探しているというわけだ。
 
  中に入れるのは、一カ所だけ。サクラ区役所の脇から荒川の土手に上がり、水が溢れたときの洪水の水流の勢いを弱めるために、流れを半ば堰き止めるように通られた堤防の上を走り、途中から河川敷の利用地に入る。テニスコートが南面かあるうちの一番外側の部分が使え、駐車場も開放している。すでに、わずかを残して、車が何台も駐車している。テニスコートでは、球を打ち合う音が響く。風は冷たいが、陽ざしを受けてそれだけで、春を感じさせる光景だ。
 
 菜の花が土手の斜面を黄色く染めて華やかだ。葉が出てほどないヨモギが美味しそうだ。餅を搗くから帰りに採って帰ると、カミサンはビニール袋を用意している。先着のペアが向こうの方でスコープを右上の方へ向けている。何をみているのだろう。
 と思ったところで、私は双眼鏡を忘れてきていることに気づいた。そういうとカミサンは、「近頃そういうことが多くなった。気を付けた方がいい」と口調がきつい。
 オオタカがいたと、先ほどのペアがカミサンと話している。べつの二人連れもやってきた。
 今日は、秋ヶ瀬公園の北側へ行ってみる。カワラヒワが木の枝に何羽か止まっている。裸眼で目視できる。その向こうにも何かいる。スコープを合わせたカミサンが、「アオジよ」と、スコープを交代する。いるいる。その下にもいる。やはりアオジだ。
 
  レッズの練習場を囲む金網には、洪水のときに流されてきたのであろう、流木や枯木の堆積がぶつかって金網を押し倒し、後、水は抜けて、ゴミのように溜まった樹々の切れ端が山のようにくっ付いている。道にもそちこちに堆積している。だが傍らの野球場やサッカー練習場は、すっかり取り払われて、今にも使えそうな状態になっている。まだ、こんな端っこの道までは手が回らないのかもしれない。ピクニックの森に近づく。向こうの枯れ木に何か止まっている。スコープを覗いたカミサンが、あれは枯葉だといいながら、しかし、スコープから目を離さない。「いたいた、ヒレンジャク」といって、目を離し、私に代わる。いる、3羽のヒレンジャクが50m向こうの木の枝に止まっている。見ているとそれがこちらに飛んでくる。すぐ近くの枝にとまった。逆光だが、裸眼で尾の朱いのが見える。カメラを構え、焦点が会わないまま、シャッターを切る。
 自転車に乗った大きな望遠レンズのカメラを持った人が、ナニ? と聞きたそう。カミサンがレンジャクを指さす。見ている真に止まっている位置を移すから、すぐにわかる。ズームを構える。シャッターを切る。だが、順光の方がいいと向こうへ行く。その様子を見ていたのだろう。また一人巨大ズームレンズをつけたカメラをもって、やってくる。彼もカメラを構える。どんどん近づいていくが、レンジャクが我慢してくれない。3羽とも、遠くの方へ飛び去ってしまった。
 だがカミサンは、「これで十分。今日ここへ来たのはこれだから」と、いつ帰ってもいいようなことを言う。
 
 ま、その先の森をひと回りしようと歩く。池にコガモがいる。ハジロカイツブリがいる。ツー、ツー、ツーとか細い、鳥の声がする。カワセミだとカミサンは言う。向こうの道を着た人が、スコープを構える。「カワセミでしたね。2羽いますよ、向こうにも」と別の池を指さす。また、ツー、ツー、ツーとか細い鳴き声がする。葦原の中のようだ。動くものがあるが、ヒヨドリだ。もう一つ向こうの池には、カルガモもいた。
 アオジが2羽目の前を飛んで藪に入った。もうペアリングが終わって、鳴き声をたてない。ウグイスらしい動きも見えた。ぴょぴょと鳴くメジロやエナガ、シジュウカラの群れも、コガラの姿も見た。 みな、少し冷たい風と明るい陽ざしを喜んでいるように枯れ枝を飛び交う。
 野球場の端っこを囲むように立つ高木の枯れ枝に何か飛び入ったようにみえた。カミサンがスコープを覗いて、「たくさんいるわ」と、見るように私に促す。覗くと、カワラヒワが何羽も、止まっている。裸眼では、何も見えないのに、いやこれは、すごいと、私も声を上げた。
 ウメは満開。モモの色づきが艶やか。ラクウショウやメタセコイヤの木の目が色づいて、春を呼ぶようだ。それよりも柳の薄緑が揺れて季節を言祝いでいるように見える。
 いい季節になった。そのうえ、車が立入禁止になっていて、人影が少ないのが、何よりいい。静かな秋ヶ瀬公園の半分を歩いた。